「ブロワー」と呼ばれる工具をご存じだろうか? 風を送り出す送風機で、落ち葉や塵(ちり)などを吹き飛ばす清掃機械として活用されている。
風を送り出す? ということは、熱を冷ますのにも使えるのではないのか? ということで、アツアツのお湯を注いだカップ麺を冷ますのに利用してみたら、ヤバいことになった!!
佐藤「皆さん、こんにちは! 佐藤とあひるねこです。今日はピクニックにやってきました」
佐藤「ピクニックといえばカップ麺。外で食うカップ麺はウマいんだよねえ。天気のいい日は外で何を食ってもウマいんだけど、カップ麺は別格のおいしさだよなあ。な! あひるねこ」
あひるねこ「……」
佐藤「じゃあ食うか」
佐藤「あ、あひるねこ。お前の分ないからな。俺が食うとこ見とけ」
あひるねこ「大丈夫です。最初からあなたには何ひとつ期待してませんから」
佐藤「こうしてな、粉末スープをかけてな」
佐藤「じゃ~ん! お湯~!! ちゃんと水筒にお湯を入れてきたんだよ。準備がいいだろ?」
あひるねこ「そこまで段取りしてるのに、後輩にカップ麺ひとつ準備できないとは、最悪の先輩ですよね」
佐藤「ひがむな、ひがむな」
佐藤「おお~、朝沸かしたお湯がまだアツアツだよ。な! あひるねこよ」
あひるねこ「……」
佐藤「よし、そろそろいいかな。熱湯ではないので、長めに放置してみた」
佐藤「もう良かろう」
佐藤「では、いっただきま~す!」
佐藤「まずは出汁の味をたしかめて……」
佐藤「おげえ! アチィーーーーッ!!」
佐藤「アツすぎるだろ! ふざけんなよ!!」
あひるねこ「自分で沸かしたお湯に、「ふざけんな」ってキレる人、初めて見た」
佐藤「おいコラ、あひるねこ! 人の不幸を鼻で笑うとは何事だ。仮にもお前の先輩だぞ。その態度を見過ごせるほど、俺は優しくないぞ、コラ!」
佐藤「冷まさんかい! カップ麺を冷まさんかい!!」
あひるねこ「どういう理屈でカップ麺を冷ませと言っているのか?」
佐藤「つべこべ言わずにその扇子であおげ。心を込めてあおげ。それがせめてもの償いだ」
あひるねこ「熱がっている姿を「ざまあみろ」と思ったことは認めます。でも、その償いにしては理不尽じゃないか……」
佐藤「いいからあおげ」
佐藤「そうじゃない、あおぎ方がなってないぞ。風が麺に垂直に当たるようにしないと」
あひるねこ「うるせえな、こだわりがあるなら自分であおげよ」
佐藤「教えを乞う相手に対して、うるせえとは何事だ。まったく、どこで教育を間違ったんだろうか」
あひるねこ「あんたの教え子だった覚えはない。師匠気取りか」
佐藤「もういい! 話にならん。今日は帰ったら扇子あおぎ1000回だな」
あひるねこ「何の部活なんだよ、これは」
佐藤「どれ? 冷めたかな?」
佐藤「う~ん……」
佐藤「!!!!!!」
佐藤「アチィーーーーーー!!」
佐藤「コラ、あひるねこ! 元より熱くなっとるやないか!! どんなあおぎ方してんねん、コラ!」
あひるねこ「熱くなる訳ねえだろうが! ごちゃごちゃうるせえなあ。わかったよ、そんなに冷めた麺がいいってんなら、やってやるよ!!」
あひるねこ「待っちょれ!」
あひるねこ「いくぞ、コラ~~~ッ!!」
佐藤「えええええええええっ!」
はたしてブロワーで麺は冷めるのか?
そして佐藤の運命は!? 次のページへ急げ!
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24