カルメ焼きを作ってみたいと思っていた。砂糖、あの砂糖がですよ、何かの術をほどこすと、ぷくーと膨らんでシャクシャクしたお菓子になる。
ただ親の世代ならいざ知らず、自分の経験上、夜店でカルメ焼きを買ってもらったことはなく、カルメ焼きに特別な思いを抱くということはなかった。が、図書館でカルメ焼きを紹介した ある本を何気なくめくると、こんな記述があったのだ。
「では、太田胃散でも膨らむかどうか、やってみましょう!」 えー!
※2006年4月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)
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準備からしてけっこう面倒
ある漫画で、お母さんが昔を思い出してカルメ焼きを作るシーンがあったが、そのお母さんも試行錯誤を重ねた末、成功することはなかった。つまり何度やってもプクーっとふくらまなかったのだ。
その印象が強く、なかなか重い腰を上げずにいた私だったのだが、図書館の子供用の棚にこんな本を見つけた。
内容は、カルメ焼きなどのわかりやすい現象を通して、理科をやさしく解説するというものだったのだが、この「カルメ焼きを作ってみよう」という箇所に、くだんの「太田胃散」の言葉を見つけたのだった。
♪やるなら今しかね無ぇ~♪ 太田胃散で膨らむのかも興味あるし、カルメ焼きを作るいい機会でもある。しかも仕事でやるのである。
上のアルミのオタマ、作り方にもわざわざ「アルミ」と書いてあったので、探しに出かけたのはいいが、なんとハンズにも売ってなかった。近所の金物屋でやっと見つけた「青い鳥」オタマなのである。
実は事前に、家にあったステンレスのオタマで実験していたのだが、どうも熱の伝わり方がアルミより遅かった。それゆえのアルミ指定なのだろうか。
ではざっと作り方をば。
しかも予想通りの難しさ
冒頭の「ある漫画」で、お母さんが失敗を重ねた絵が頭をよぎる。ふわっと膨らむはずのカルメが、これでは火星のシドニア平野ではないか。しかも「かりんとう」並みに固い。
何がいけないんだ、温度か?かきまぜる速さか?それらのタイミングか?前世か?
予習で1度失敗しているだけに、本番で1度で成功させるつもりだった私は奮い立った。午前2時のロック・ミー・トゥナイトだ。
この後にもまた1回、うんともすんとも言わない砂糖に逆上し、そしてコレが最後と思い定める。
理想の、とまではいかないが、膨らんだ!ぷーっと膨らんでいく様を拝むことができました!
このあとにも調子に乗って量産♪と思い、作ってみたが、失敗した。「調合に3年、焼きに5年、混ぜ一生」ってことなのか?カルメ焼き。
Oh!退散(分包)
太田胃散を買ってきた。普段まったくお世話になっていないお薬、まさかこんなところでご挨拶となるとは。
そもそもなぜ太田胃散か。先に使った重曹は単純に「炭酸水素ナトリウム」で出来ているわけであるが、太田胃散もその成分のほとんどは「炭酸水素~」で出来ているのだった。
まあ、わざわざ太田胃散で作って人に食べさせるとかいった意図ではなく、実験という形で成分の特質を知る、ということで、ご了承ください。(おこさまは おとなのひとといっしょに やりましょう)
関係ないが、カルメ焼きの調理中は、動作を止めて写真を撮ることが出来ない(そんな暇まったくない)ので、三脚に固定しインターバルタイマーで10秒置きに撮っている。焼き中の写真が全体に粗いのはご勘弁願いたい(あとで見てみたら8割は混ぜているだけの写真だった)。
さて太田胃散。私の腕のせいでうまく膨らまなかったことは明らかだ。だって2回目はこんなだもの。
と、とにかくなんとかカルメ焼きと呼べそうなものが3つほどできましたので、試食ターイム。
味は、プリミティブな砂糖の味ですな。甘いものが不足していた時代にもてはやされた味。決め手はやはり、空気をいかに含ませ、さくっとした食感を得られるかどうか。そうすれば味が軽くなる。今度実家行って聞いてまわってみます。
太田胃散のほうは、意外と「ハーブ入り」と思えばいけるのではと思う。健胃消化薬だし、「薬膳カルメ」といったところだろうか。本当か。