毛深!
ほ乳類の体毛って気持ちいい。特に猫。あの触り心地といったらなんだろう? 撫でてるだけで癒される。そんな猫の触り心地を、普段良く触る物で代用してみてはどうだろうか? つまり、身の回りのものを猫の様に毛むくじゃらにするのだ。
という訳で、今回は身の回りの物を毛むくじゃらにしてみた。
※2006年3月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
触り心地の良さのイメージは猫バス
いきなり私事で恐縮なのだが、僕には4才の娘がいる。その娘が、ちょっと前まで暇さえあれば「となりのトトロ」のDVDを見ていた。それまで「となりのトトロ」を見た事のなかった僕も、娘と一緒に何度も見ているうちにトトロの虜になってしまった。特にあの「猫バス」なんて最高じゃないか。最近では、娘よりも僕の方がトトロを見たいくらいなのだが、娘の関心は「ふたりはプリキュア」に移ってしまい、トトロに飽きてしまった。
それはさておき、今回はあの「猫バス」の様な触り心地を目指したい。
目指したい、と言っても実際に「猫バス」に乗った事も触った事もないので、そこは想像で「猫バス」の触り心地を実現するしかない。
服地の専門店へ
そこで訪れたのが服地の専門店「ユザワヤ」だ。ここなら「猫バス」ライクな触り心地が見つかるはずだ。
店員さんに「猫っぽい触り心地の生地はありますか?」と聞くと、フェイクファーのコーナーに案内された。色々な毛並み、色々な色のフェイクファーがごっそりと積まれている。
「猫バス」の特徴は、
・茶色い
・フサフサしている
の2点だろうか。
「猫バス」に適当と思われるフェイクファーをいくつか触ってみる。その中から一番触り心地のいい布を選び店員さんに切り分けてもらう。どれくらい必要か検討がつかなかったので、1メートル幅×3メートル購入した。
ユザワヤの大きなビニール袋いっぱいになってしまい、こんなに買ってしまってどうしよう、と帰りの京浜東北線の中で軽く後悔したが、仕方ない。この布をフルに活用して身の回りをフサフサさせていきます。
身の回り品に毛を生やしていく
普段一番良く触るものって何だろう?
携帯電話かマウス、そのどちらかじゃないかと思い、まずはマウスをフサフサさせてみる事にした。
↓
「猫バス」の毛を生やしただけで、マウスに命が宿った様に見えないだろうか?
ネズミなのに猫の毛を生やすという皮肉な状態ではあるが、僕にはマウスが生き物に見える。放っておくとどこかへ行っちゃいそうだ。
続いては椅子。
座り仕事が多い僕にとって、椅子との触れ合いも大切にしたい。
個人タクシーの座席カヴァーみたいになってしまった。
手で撫でれば確かに気持ちいいのだが、座ってしまうと猫毛の気持ちよさがあまり伝わらない。
椅子はちょっと残念な結果に終わったので、もう少し、デスク周りをフサフサさせていこう。
フサフサ化はネクストステージへ
フサフサ化は第2段階に入る。
身の回り品をフサフサさせるだけではなく、自分もフサフサさせていくのだ。全身を「猫バス」の毛で覆ってしまい自分自身を猫バス化していく。
手始めに手の甲をフサフサさせてみた。
手の甲がフサフサした。わあー、俺、気持ちいい。などと、自分で自分の右手をさすってしまう。
よし、いけるぞ。
この要領で、全身に猫毛を生やしていきます。
全身タイツとボンドで猫バス化する
全身を猫毛で覆う為に、土台となる全身タイツを購入した。全身タイツの上に猫毛を貼付けていき、猫バス化を図る。
「猫バス」の毛はまだまだいっぱい余っている。全身を覆うのにも十分だろう。
布用ボンドのシンナー臭が強く、途中から頭がクラクラしてくる。
昔、スネークマンショーに「シンナーに気をつけろ」っていうネタがあった。ペンキ職人が壁を塗っているうちにシンナーにやられておかしくなっていくのだが、そんな事になってしまったら大変だ。窓を開けて作業を続ける。
難航する猫バス化
しかし、この作業が予想以上に難しく、全身タイツ全体にムラなく猫毛を貼付けるのに5時間ほどかかってしまった。布用ボンドも2本使い切った。ボンドでどうしても固定出来ない部分は糸で縫った。後半一時間はタイツを着ながら調整していったので、シンナー臭と暑さとでかなり辛かった。
そんな苦労を経て、ようやく猫バス化が完成した。
とにかく暑い。
来年のウォームビズにはこの服装を薦めたい。
それでも、暑い事を除けば当初の目論み通り、全身どこを触っても猫バスの触り心地を実現出来ている。気持ちいい~。
犬が喧嘩した後みたいに散らかってしまった事務所の掃除は後回しにして、猫バス状態のまま出かける事にした。
猫バスだからバスに乗るよ
せっかく猫バスになったので、都バスに乗る事にした。
猫バスはバスなんだから都バスに乗ってどうすんだ、と指摘されても仕方ないと思う。でも、どうしても猫バスでバスに乗りたかったんです。
20時台に新橋行きのバスは2本しかなく、あと20分ほど待たなくてはいけない。そうなんだ。トトロでも猫バスはそう簡単には現れないのだ。いや、違う。猫バスは僕なんだから、もう現れている。ただ、都バスの本数が少ないだけだ。
定刻より5分ほど遅れてバスがやって来た。
運賃200円を払ってバスに乗り込む。
バスの中に乗客は2人。アイドリングストップバスだったので、車内は本当に静かだった。本当に猫バスが現れそうな、そんな雰囲気である。いや、猫バスは僕だ。
しばらくバスに揺られるうち、気分が悪くなってしまった。
全身が締め付けられる様な感じで、シンナー臭もまだ残っている。一番後ろに座ってしまったので揺れも強い。
降りよ。
3駅先のバス停で降りて、歩いて帰ってきた。
猫バス、車酔いである。
帰り道、すれ違う人たちが「あっ、イエティ」とか「チューバッカ」とか言っているのが聞こえた。
猫バスなのに。
ナマハゲでもないし。