ワン・パブリッシング(東京都台東区)が発行する月刊「ムー」5代目編集長・三上丈晴氏が2022年6月2日、『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(学研プラス)を出版した。同書では「ムー」が1つのジャンルとして取り上げてきた「陰謀論」についても言及がある。新聞などでも度々取り上げられる昨今の「陰謀論」をどう見ているのか。三上編集長に詳しく話を聞いた。
(聞き手・構成/J-CASTニュース編集部 薄雅也)
70年代を小学生で過ごした人は、少なからず怪しいものにハマっているはず
――2022年6月2日に『オカルト編集王 「月刊ムー」編集長のあやしい仕事術』が出版されます。本書が初めての単著になるのでしょうか。
三上丈晴編集長(以下、三上):そうですね。色々書いたものもありますけど、三上丈晴の名前で出す書籍は初めてですかね。
――本書のプロローグで、「ムー編集長の仕事術なる本を出してみないかというお話をいただきました」と書かれていましたが、数あるジャンルのうち「仕事術」というコンセプトで依頼されたのは、何か理由があるのでしょうか。
三上:元々「ムー」は学研(学習研究社)が創刊し、現在の学研プラスが発行していたんですが、そこから市販部門が独立した「ワン・パブリッシング」となり、あるとき、古巣の学研プラスの編集の方に企画を提案されたんです。
――なるほど。
三上:「仕事術」と銘打ってるけど、内容的には「仕事術」じゃないんですよね。偉そうに仕事はこうすべきだとかいう立場ではないことは自覚しているので。本書は、月刊「ムー」ってこういう雑誌なんだよとか、「日本一あやしい雑誌」の編集の裏側ってこうなんだよといったことを書いてます。でも非常に書き方が難しかったですね。
――具体的にはどのような難しさがあったのでしょうか。
三上:月刊「ムー」の歴史を書いたり、入社してから30年間で体験した現場でのエピソードを書いたり、一応「仕事術」と銘打っている以上はメソッド的な要素も入れなきゃいけないとか。思いつくまま面白いことをとりあえず書いて、それをテーマごとに組み立てました。
――本書は、三上さんが大学を卒業してから学研に入社するところから話が始まります。三上さんはいつ頃から超能力やUFO、都市伝説、古代文明、UMAといったものに対して興味を持ったのでしょうか。
三上:1970年代は、今と違ってテレビでは超能力や心霊やネッシーなどを扱った番組が沢山あったんですよ。特に小学生なんかは、色んな話題の中でもやっぱり怪しいものが好きじゃないですか(笑)。学校に行くと心霊写真集とか持ってくる奴がいて、そうすると昼休みに人だかりができて「うわっコレ!」みたいになったりとかね(笑)。70年代は、ある種「夢」みたいなものが溢れていた。70年代を小学生で過ごした人たちは、少なからずそういった怪しいものに関心があって、一度はハマってるはずだと思うんですよ。