旅行再開 に向け動き出す、 コンデナスト ・トラベラー:国境を越えたチームをどう活かすのか?

DIGIDAY

パンデミック中、誰もが旅行を諦めていた。しかしいま、人々は大きな勢いを持って旅行を再開している。このことはコンデナスト・トラベラー(CondéNast Traveler:CNT)のようなメディアブランドの編集者たちにとってはこれまでにない朗報だ。

2020年3月の時点で、ほかの旅行雑誌と同様、CNTは編集の軸を変え、旅行制限に関するニュースを増やすと同時に、旅行先の候補地の紹介は減らしていく必要があった。しかし、それ以来、同社の方針はある程度元に戻って来ている。今では、この2年間に行われた組織変更と、蓄積してきた海外とのコラボレーションコンテンツを抱えている。

CNTはコンデナスト・インターナショナル(CondéNast International)傘下のブランドのひとつであり、ひとりの編集ディレクターの下で、7つのグローバル版のすべてがリンクするように再編成された。そのような体制で、CNTは米国、英国、イタリア、スペイン、中東、中国、インドのライターや編集者による国境を越えた寄稿を含む、多くのエディトリアルパッケージや企画を作成している。

この国際的なコラボレーションによって、生まれた変化がある。ロンドンを拠点とするグローバル編集責任者のディヴィア・ターニ氏とニューヨーク市を拠点とする副グローバル編集責任者のジェシー・アシュロック氏は、チーム運営、そして複数のタイムゾーンをまたがって編集を指揮する方法を変えてきた。

DIGIDAYポッドキャストの最新エピソードのなかで、ターニ氏とアシュロック氏は、「旅行の再開」をどのようにモニタリングしてきたか、また国際的な再編の後に編集戦略をどのように拡大してきたかについて議論している。

以下、会話のハイライト部分をわかりやすさを考慮し編集・要約してある。

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戻ってきた旅行トレンド

アシュロック氏:昨年の夏に少しの段階的な回復があった。その後、ダムが決壊したような形だ。メモリアルデー(米国の戦没将兵追悼記念日。5月30日)にはもう完全にダムは流されてしまうと思う。(パンデミック中に)失われた時間を埋め合わせようと、人々は多くの旅行を計画するとともに、旅行へのアプローチを見直している。彼らはパンデミック前にしなかった旅行のことをいま、考えている。

なぜなら、パンデミック前であれば彼らが望むときにいつでも旅行できたのに、パンデミックがやってきて数年間、旅行ができなかった。そしていま彼らは「週末の国内旅行じゃなくて長いバケーション、ずっと行きたいと思っていた旅行先、夢のような旅行をしないと!」と思っているからだ。

ターニ氏:この1年は、いくつかのストップ、スタート、一時停止があった。この状況は今後も続くかもしれない。しかし、いま起きていることは、人々が外に出ていく準備ができているということだ。ここ数カ月のあいだに私たちが見てきた大きな違いは、世界にどのような変化が起きようとも、人々は旅行をキャンセルしなくなったことだ。

何かの理由で国境が封鎖されたり、感染者数が増加したりした場合、旅行者は旅行をキャンセルにはせず、旅行先を変えているだけ。彼らは別の目的地に乗り換えているが、旅行のキャンセルはもうしていない。

そして人々はとても楽観的だ。彼らはずっと先の旅行の予約を入れている。今年の夏、ギリシャの宿泊地を予約するのはもう不可能に近い。

必要に迫られて生まれた国際コラボレーション

アシュロック氏:私たちは2020年にいくつかの問題を完全に取り除く必要があった。それは、パンデミック中に多くの人がしたことだ。実際、ディビア(ターニ氏)がどんな人で、どれだけすごい人なのかということに初めて気付いたのは、彼女が「ひとつの空の下(Under One Sky)」と呼ばれるグローバルなコラボレーションを提案したときだった。今回のグローバルな組織再編がコンデナストで起こる前に、私たちの全エディションが一堂に会したのは初めてだったし、私たちはグローバルな旅行コミュニティとの連帯の表明としてそれをおこなった。

ターニ氏:それは完全に組織内から自発的に起きた動きだった。世界中から7人の編集者が集まり、自分たちが何をすべきかを考え直さなければならなかった。当時、世界中の誰も旅行をしていなかったからだ。コンデナスト・トラベラーにとっては、そのような環境のなかで自分たちがどんな存在になりたいのかを真剣に考えるチャンスだった。そして、この時初めて全員が一致団結し、旅行業界のパートナーが最も困難な状況にあるときに、共に立ち向かえる場所でありたいと考えるようになった。

また素晴らしい方法で互いに協力し合うことで、ひとつのテーマをもとに、それぞれの地域のオーディエンスのために異なるプレゼンテーションをすることもできる、ということも教えられた。このことはいまでもトラベラーにとってとても重要だと思う。

ひとつのインターナショナルなチームになるためのロジスティクス

ターニ氏:時差のせいで死にそうになることもある。時差が大きく違っているにも関わらず、これほど多くの異なる市場を相手に仕事をするのは非常に疲れる。しかし、その多くは成長に伴う痛みだと思うし、初めて一緒に仕事をするときは、同じ部屋にいようが同じチームにいようが関係ない。もちろん、パンデミックが発生したことで状況は複雑になったし、私たちはお互いに会うことができなかった。しかし、私たちはZoomを通じてでさえ、本当に素晴らしい関係を築くことができることを学んだと思う。

コンデナストは、編集チームがさまざまな方法で団結できるように、非常に協力的だ。私たちが抱えている仕事は非常に大きいものだ、という点をよく理解してくれているし、非常に助けとなっている。与えられた課題は難しいだろうが、一緒にやっていくことで解決していくんだ、という姿勢が会社全体にあった。それはまさに痛みを感じ始めた時に響いた言葉だった。それは真実だと思う。

インターナショナルであることの利点

ターニ氏:私たち全員にとって大変な年だったが、この新しい年には、組織変更が生んだメリットを実感できた。そして、それを本当に信じるためには、その効果を実感する必要があると思う。私たちはいまその段階にいて、あらゆる変更が生み出したプラスの効果を目にし始めている。世界中のチームのすべての人たちと一緒に仕事ができるようになったのもそのひとつだ。

(私たちは)その地域の専門性や知識はもちろんのこと、ほかの方法では決してアクセスできないようなアイデアやストーリーを世界中から得ることができる。私たちは、これらのどの場所からでも誰にでも電話して、「このホテルやこの地域について質問があるのだが」と聞くことができる。

[原文:With the return of travel, Condé Nast Traveler puts its new global team to the test

Kayleigh Barber(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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