紆余曲折ありましたが、いくつか改善施策の実行ができましたね。
紆余曲折の部分はまたスピンオフの記事でやりましょう(笑)!
いろいろありましたが、「はげます会」のトップページとか変えましたよ!
世界平和を目指すという話を前回しましたよね(笑)。どんなビジュアルになったのか楽しみです!今日は実施した改善施策の内容と結果を見てみましょう。
緊張するぅ~!
実施した施策を確認してみよう
井水: まずはどんな改善案があったのか振り返りましょう。この中でやってみたのはどれですか?
林: やってみたのは以下の5つです。
- 「はげます会」のページ訴求力を上げる
- 「はげます会」ページのメインビジュアルのデザイン変更
- 「はげます会」ページのボタン位置の調整
- 新規登録の遷移率アップと入会ステップの簡略化
- 新規登録の遷移率アップ施策
- 入会ステップの簡略化
- TOPから「はげます会」ページへの誘導
- 改善案1 トップページにバナーの設置
井水: 重要度が高いものは実行できましたね!では早速見ていきましょう。
結果1:「はげます会」のページ訴求力を上げる
井水: まず改善案5「はげます会」ページのメインビジュアルのデザイン変更と、改善案6ボタンの調整ですね。
林: そうです。
井水: それぞれの施策の結果を見てみましょう。
「はげます会」ページのメインビジュアルのデザイン変更
井水: まずはメインビジュアルの変更です。入会のメリットとDPZの世界観を伝えるデザインにしようという話でした。
井水: ここで注意点です! メインビジュアルを変えたから、すごく成果が出るかというと、そうではありません。成果を出すには、こういった施策をたくさんやっていかなきゃいけないので、この施策が改善につながっているかを適切に判断して地道に頑張りましょう。
林: 一発逆転というわけにはいかないんですね。
井水: 地道な改善が大事です。変更したメインビジュアルを見てみましょう!
井水: いいですね! 入会のメリットが4つあることもわかるし、金額も月額1,100円とわかるようになっていて、以前に比べて大分親切なデザインになりましたね。「ご入会はこちら」の上のテキスト「\あなたも今日からはげまシストに!/」も良い感じです。
林: よかった~。
井水: これはデザイナーさんに頼んだんですか?
林: そうです。久しぶりに頼んでみました。そしたら、プロに頼むと全然違うなってことがわかったっていうね(笑)。
井水: そうですね(笑)。「ご入会はこちら」のボタンも見てみましょう。
「はげます会」ページのボタン位置の調整
石川: 「ご入会はこちら」のボタンの上にもメッセージを入れました。
井水: 施策6の話ですね。
林: ファーストビューに見える位置に持ってきて、「あなたも今日からはげまシストに!」とテキストを載せています。
改善した「ご入会はこちら」ボタン。ボタンの上にテキストを載せ、月額も記載
石川: デザイナーに頼んで初めて自分で作っちゃダメだっていうのがわかりました。でもメインビジュアルから下は相変わらず自家製です(笑)。
井水: では結果を見ましょう。メインビジュアル変更前後1か月間の数値です。
井水: はげます会の入会数が変更前22件に対して、変更後は34件と54%アップしました。
林&石川: おぉ、増えてる。
井水: 初回のヒアリング時に申し込みの月平均は30件ほどというお話がありました。しかし内訳を見るとキャンペーンをやった時期が極端に多く、何もキャンペーンをしていない月は十数件という申し込みが続いていました。それを考えるとキャンペーンをしていない月で30件を超えたのはよかったのではないでしょうか。
また施策実施前のセッション(訪問数)数と比較後のセッション数を比較すると、11%ほど減っていました。セッション数が減ったにもかかわらず申し込みが増えたことはメインビジュアルの影響が合ったといって良いでしょう。
林: ちゃんと申し込みページに誘導できたんだ!
井水: より詳細を確認するために、このメインビジュアルから「新規登録」ページにどれくらい遷移したのかを見ても変更前の2,205セッションから2,682セッションと21.6%増えています。
新規登録ページへの遷移も21.6%増加
林: やっぱり、ちゃんとやると変わるんですね。
井水: はい、「ちゃんとやると」ですね(笑)。
結果2:新規登録の遷移率アップと入会ステップの簡略化
井水: 次は、以下の施策を確認しましょう。この2つもできたんですね!
- 新規登録の遷移率アップ施策
- 入会ステップの簡略化
1つずつ確認していきましょう。
新規登録の遷移率アップ施策
石川: まず新規登録の遷移率アップ施策として、入会ページを新規登録の人向けにデザイン変更しました。①「ログイン・新規登録」の部分は「はげます会・新規登録」に変更。②はげます会はAmazon Payで決済という旨のテキストをボタン上に載せています。③「Amazonアカウントでログイン」のボタンを「Amazon pay Amazonアカウントで支払い」ボタンに変えています。
井水: 素晴らしいですね! 新規ユーザー向けの案内になりましたね。やっと(笑)。
入会ステップの簡略化
井水: 次の、入会ステップの簡略化はどうしましたか?
石川: 利用規約とお支払い方法の選択を同じページにして、1ステップ減らしました。
井水: だいぶスッキリした感じになりましたね。では結果をデータで見てみましょう。ここでは実数ではなく、遷移率がポイントです。
井水: 上図の①新規登録ページからの遷移率は、前回が8.44%だったのに対して改善後は11.25%になりました。2.81ptのアップしました。②規約ページや、支払い方法を経ての申し込み完了ページへの遷移率は、前回が44.74%だったのに対して48.15%と3.41ptアップしました。
林: おぉ、これも良くなっている。
井水: 微増の場合は改善前後のタイミング的な誤差の可能性もあるのでその後の数値も見てみましたが、改善前より悪い数値の月はなかったのでこちらもよくなったと判断できますね。
石川: 変えてよかったー!
井水: 実はこの改善では、もう少し数値がアップすると思っていたのですが、でも良かったです!また数値の良し悪しはもちろんですが、こういった手続きの箇所はユーザー視点で不便や紛らわしいと思う表現はどんどん変えていきたいですね。
結果3:TOPから「はげます会」ページへの誘導
井水: さて、最後はせっかく「はげます会」のメインビジュアルが良くなりましたし、もっとたくさんの人に来てもらうための施策ですね。
林: 来て欲しいですね!!
トップページにバナーの設置
井水: 改善案の一覧でも紹介したように、誘導するにはサイトのトップページにバナーなど目立つものを置くのが良いですが……。
石川: 上の方が良いと思いつつも、広告や人気記事など盛りだくさんなので、やはり「今日の見どころ」の下に入れることにしました。
井水: あとはどんなキャッチコピーで目を引くかですね。
林: ……「“特に安くなっていない”キャンペーン実施中!」です!
井水: コピーがデイリーっぽい(笑)。とりあえずクリックしたくなります。
石川: そしてやはり、デザイナーに頼むって大事ですね(笑)!
井水: ではこちらも結果を見てみましょう。バナーがコンバージョンに貢献したかを測るために、今回はコンバージョンをした中でもTOPページの直後にはげます会ページへ遷移したセッションに絞ることで把握しましょう。それには、セグメント機能の[シーケンス]を使います。TOPページの直後のステップをはげます会ページに設定してセグメントします。
井水: これでTOPページ→はげます会ページに遷移したユーザーのみのデータが見られます。
井水: ただし、1点注意点として左上のチャネルのチェックマークが緑ではなく黄色だと要注意です。セッション数が多いため、実数ではなく特定の期間のデータをサンプリングして表示されます。今回は15.10%のセッションを基に作成されているので、正確な数値を判断することは難しいですね。
石川: えっ、そうなると月ごとの数がわからないんですか?
井水: そういう時は……、期間を数日単位で区切って 計算します!
林: なんかすいません(笑)。
井水: 集計した結果は以下の表です。
3か月前 | 2か月前 | 前月 | 改善後 |
---|---|---|---|
5 | 3 | 6 | 16 |
林&石川: 増えてる!
井水: 誘導バナーを設置した後の、TOP→はげます会ページのコンバージョン数は16でした。こちらも過去3か月のコンバージョン数をみたところ3〜6だったので効果があったと考えて良いですね。
林: 安くなっていないキャンペーンが成功した(笑)。
井水: ホント良かったです(笑)。より成果につなげるべくこういう施策はどんどん実行していきたいですね!
改善をやってみて
井水: 数カ所の改善で効果が出てきましたね。実際やってみてた感想を教えてください。
石川: 「はげます会」はこれまでわりと「なんとなく」で運営されていましたが、この改善企画を始めて、編集会議などで運営方針について話題があがる機会が増えました。
たとえば、筋トレを始めると、波及して健康管理全般を気にするようになって、ふだんの生活でも階段を使いはじめたり夜食を思いとどまったりするじゃないですか。あんな感じで、直接の施策の効果だけじゃなく、改善企画から波及して編集部全体の「はげます会をしっかり運営するぞ」という意識が高まる、という良い副作用があったと思います!
井水: それは良かったです!一番大事なことかも知れません。今回実施した施策でも分析するまでもなくやった方が良いことってあったのですが、わかっていても中々できない。動けない企業さんが実は多いのです。
石川: 思い当たる節あり(笑)。
井水: 分析をいくらしていてもサイト自体は成長しないので、改善する文化を組織内に作っていくというのが伸びる企業さんの特徴です。そのために初めは現状の課題を数値化して社内を説得したり、施策後の効果をちゃんと数値で検証して良し悪しを判断していくことが重要です。
石川: わかってきました!
井水: デイリーポータルZは改善のポテンシャルはまだまだあるサイトですので、20か所、30か所と改善を重ねていくとすごく成果につながると思います。林さんはいかがでしたでしょうか?
林: ライター、編集って、人が思いもしないことをやって驚かせてやれという根性が基本にあるんですが、それをUIでやると戸惑わせるだけってことが分かってきました。
井水: むっちゃ重要な気づきですね(笑)。
二村: 良い感じに結果も出てまとまりましたね。連載はここで一旦終了ですが……読者の方々からも好評の企画でしたので、スピンオフの短い記事も公開できたらと思います。
さらに井水さん、林さん、石川さんの御三方には企画の裏側として、アクセス解析してみてどうだったか、改善施策をやってみてどんなことに困ったかなど振り返って喋っていただけると嬉しいですね! 11月のイベントとかで……(笑)。