島根では神々も愛する酒と海鮮たこ焼きをいただくべし~地元の人頼りの旅 in 出雲市~

デイリーポータルZ

ガイドブックに頼らずに、地元の人に個人的に好きな場所を聞いて周る、数珠つなぎの旅。
行き当たりばったりだから、最後どうなるのか分からないドキドキワクワクの旅だ。

今回の舞台は、数々の神話が根付き「縁結び」のパワースポットとして知られる島根県出雲市。
いったいどんな旅になるのだろうか。

※これまでいろいろな場所で取材をした記事を読めば誰もが知ったかぶりできるはず。「知ったかぶり47」は、デイリーポータルZと地元のしごとに詳しいイーアイデムとのコラボ企画です。

土砂降りの雨からスタート!

出雲市駅にやってきた。
雨予報ではあったけど、この旅シリーズ始まって以来初めての嵐であった。

出雲市駅前にやってきました!嵐です!
荒ぶる神々が私を出迎えてくれている!

駅で買ったばかりの傘が暴風のため役に立たない。
長いこと格闘するもどうしても傘がひるがえり、全身ずぶぬれだ。

このあと原付バイクを借りて周る予定だったけど、急きょキャンセル。
駅の観光案内所でお姉さんたちに聞いていた場所に逃げ込むことにした。

屋根があるって素晴らしい…

いくつかおすすめを聞いていたが、嵐の中いける所はもうここ、アーケードのある中町商店街しかなかった。
しまっている店は多いものの、駅から近くて助かる。

おすすめスポットその1:出雲大社のお神酒が試飲できる「旭日酒造」

一発目から酒を飲むことにした。

真昼間だが、もう今日はバイクに乗らない事になったし、凍えた体を温める必要があるし、他にいく所はないのだ。仕方ないのだ。

ここ、旭日酒造さんは出雲大社にお神酒として使われる「八千矛」をつくっている老舗だった。

大正15年に建てられたお店。受付にいたお母さんはのんびりしていて面白いし、居心地よし!
なんと100円で試飲が6種類楽しめます!最高!
クー!!

100円で6種類の試飲!

100円を渡すと、コイン6枚と交換される。
それを機械に入れて、好きなお酒のボタンを押すと適量が出てくる仕組み。
スッキリ飲みやすいものからパンチのきいたお酒まで、順番にいただいた。

日本酒ってこの味の違いがおもしろいんだよなあ。

お母さんのおススメでもあり、娘さん(栄里子さん)ご夫婦がちょうど行こうとしていたお店

おすすめスポットその2:元気が出る食事ができる「発酵文化研究所」

お次は歩いてすぐの食事処へ。
旭日酒造の杜氏(酒造りの最高責任者)をされている娘さんご夫婦にご一緒させてもらうことにした。

せいろ蒸しランチ。季節の野菜をふんだんに使い、元気が出るというセット。島根の特産、シジミが入ったお味噌汁も。あたたまる~!
デザートは甘酒のアイスにシナモンティー。イケメンシェフが薬膳や陰陽五行などに詳しくて、食材について質問するときちんと説明してくれる。

発酵文化研究所は、食事スペース以外にも「人と人との発酵(化学変化)」が起こるようにと和室のレンタルスペースがあったり、ワークショップを開催したりする総合施設だそうだ。

美肌がテーマの島根のセレクト品なども並んでいる。
そういえば島根の方は美肌のイメージがあるなあ。

奥にはレンタルスペースがあったり、庭があったり。素敵な空間!

食べ終わり荷物を取りに旭日酒造さんに戻ると、栄里子さんが「ちょっとこっちへ」と移動し秘密の特製ドリンクを飲ませてくれた!

話の中で私が酸っぱい好きだという事を知った旭日酒造の栄里子さん。秘密の酸っぱドリンクを飲ませてくれた!これが超好みだった!

そんな栄里子さんのおススメは、近所に流れる高瀬川にある像。

おすすめスポットその3:冬にみかんを握らされる「大梶七兵衛さんの銅像」

大梶さんは昔、斐伊川という大きな川から高瀬川を引っ張ってきた偉人。
子供の時から学校で教えられるそうだ。

生活用水や遊び場として昔から愛される高瀬川。その川をひいた偉人・大梶さんの像
冬になると子供のイタズラでみかんを持たされることがあったそうだ。ほっこりするなあ

「ねがいびな」もやっておこう

なお、この高瀬川には「ねがいびな」というのがある。
ちょうど切実な願い事があったのでやっておこう。

100円の紙に願いを書いて、
近くの八雲神社にお参りして、
紙を折り畳んでお内裏様とお雛様が並ぶように折って、
流しスポットから流す! 紙は流れながらすぐ溶けた。

この時、嵐はおさまっていたけどまだ小雨が降り、手袋をするほど寒かった。
まだ旅は始まったばかりなのでとにかく良い天気になることを願う。叶うといいな。

(自分で見つけた)おすすめスポットその4:呉服屋の「絹練りソフトクリーム」

寒いと言いながら、すごく気になるお店を発見!

「かげやま呉服店」という老舗の呉服屋さん
着物に重要な絹。食べられる絹のパウダーがあることを知り、アイスに練りこんでみたらしい
それがこちら!絹の味は全く分からないけど、かわりになぜかマスカルポーネの味がする!

ものすごく滑らかで、単純なバニラではなくてさわやかなチーズの風味がした。それを伝えると「そうなんです!まだあまり出回っていない最新の機械使ってるからかなあ?」と素直に言っていた。

絹の味ではなく、最新の機械だから美味しいのか。
どちらにしたって美味しいのでぜひみんなに食べてほしい味だった。

歴史にも詳しくて、たくさん教わりました!

おすすめスポットその5:センスがよく落ち着ける喫茶店「Cafe naka 蔵」

呉服屋さんがおススメしてくれたのは、米蔵を使った人気の喫茶店だった。
素敵なお母さんが笑顔で出迎えてくれた。

コーヒーカップは、お客の雰囲気に合わせて選んで出してくれる。嬉しい!

発行文化研究所もそうだけど、こうやって、昔の建物を素敵に活かしているところが多いんだなあ。
建物もまさに発酵するかのように、経年することで変化しいい味がでてる気がする。

息子さんは他にも「出雲デニム」を開発したり、ウェディングプロデューサーをしていたり面白そうな活動をしていた。もし出雲に移住したら雇ってもらう約束をした。
店を出ると雨はやんでいた。「出雲らしい空」だそうだ。見惚れる。

ああ楽しい。
最初は嵐でどうなるか不安だったけど。

次ページへ続く!

願いかなって、次のページで晴れます!

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