「月から持ち帰った土」で初めて植物の発芽・生育に成功

GIGAZINE



植物が地球外の環境において現地の資源を利用して生育可能なのか、アポロ計画で持ち帰った月の土壌を用いて植物を育てる実験が行われ、発芽・生育に成功したことが発表されました。ただし、重度のストレス形態を示しており、成長は困難だとのことです。

Plants grown in Apollo lunar regolith present stress-associated transcriptomes that inform prospects for lunar exploration | Communications Biology
http://doi.org/10.1038/s42003-022-03334-8


A first: Scientists grow plants in soil from the Moon – UF/IFAS News
https://blogs.ifas.ufl.edu/news/2022/05/12/a-first-scientists-grow-plants-in-soil-from-the-moon/

Plants will grow in lunar regolith, but they don’t like it | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2022/05/plants-can-grow-in-lunar-soil-but-very-poorly/

Cress seeds grown in moon dust raise hopes for lunar crops | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2022/may/12/cress-seeds-grown-in-moon-dust-raise-hopes-for-lunar-crops

A Tale of Moon Dust at the University of Florida – YouTube
[embedded content]

将来的に人類が地球外に暮らすようになったとき、植物が現地の資源で育てられるかどうかは大きな問題です。すでに国際宇宙ステーションでは野菜の栽培が行われており、地球から月面に持ち込まれた植物の発芽・生育も確認されていますが、「月の土壌で植物が育つのか」は未検証でした。

中国の月面探査機内で綿花が発芽、月面で初めて植物が成長する – GIGAZINE


フロリダ大学のアンナ・リサ・ポール教授らは、アポロ11号、アポロ12号、アポロ17号が持ち帰った月の表層部(レゴリス)のサンプルと、鉱物学的には組成が同じだという模擬物質JSC-1Aの4種類を用いて、シロイヌナズナの生育に挑みました。

研究に携わったロブ・フェル教授とアンナ・リサ・ポール教授

UF/IFAS photo by Tyler Jones

その結果、いずれのレゴリスでも、シロイヌナズナが発芽したことが確認されました。ただし、その発育具合はかなり異なり、3種類の月のレゴリスに植えられたシロイヌナズナは、JSC-1Aに植えられたシロイヌナズナほどには育ちませんでした。特に、アポロ11号のサンプルを用いたシロイヌナズナは、アポロ12号・アポロ17号のものと比べてもはるかに状態が悪いことが見て取れます。

下記画像はシロイヌナズナの生育具合を示しており、左端から一列ずつJSC-1A、アポロ11号、アポロ12号、アポロ17号のサンプルで育てたものです。


月のレゴリスで育てられたシロイヌナズナは、それぞれ育ち具合は異なりますが、いずれも強いストレスを受けていることを示していました。

ポール教授らは、月のレゴリスを「植物の生産に役立つ可能性はありますが、ものはあまりよくない」と表現。今後、植物とレゴリスとの相互作用をさらに解明していき、月のレゴリスを効率的に用いることができるようにすることが必要だと締めくくっています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました