Googleの対話特化型AIとスマホで語り合えるアプリ「AI Test Kitchen」が自然すぎて完全に中の人がいるレベル

GIGAZINE



Googleが、2022年5月12日から催されている年次開発者カンファレンス「Google I/O 2022」で、同社の自然言語処理AI「LaMDA 2」と、そのデモアプリの「AI Test Kitchen」を発表しました。

AI Test Kitchen
https://aitestkitchen.withgoogle.com/

Google I/O 2022: Advancing knowledge and computing
https://blog.google/technology/developers/io-2022-keynote/

近日公開予定のアプリ「AI Test Kitchen」は、Googleの対話特化型AIである「対話アプリケーションのための言語モデル(Language Model for Dialogue Applications:LaMDA)」の第2世代を、スマートフォン用のデモに落とし込んだもの。記事作成時点では、サイト上でアニメーションとして公開されている「Imagine It」「List It」「Talk About It」の3つの機能を体験できます。

◆Imagine It
Imagine Itは、ユーザーが現実または架空の場所を提示して、LaMDAがそれについて説明するモードです。デモでは、例として「海の一番深いところ」と入力しています。


すると、LaMDAは「あなたは海の底にいます。頭の上には巨大なウミヘビが泳いでいます。ウツボもいて、波のようにうねっています」と回答。さらに、会話を広げる選択肢が4つ示されました。


選択肢のうち、「他にはどんな生き物がいる?」を選ぶと、LaMDAは「周りには巨大な光るクラゲが見えます。とてもきれいで、別世界の生き物に囲まれているような気分です」と答えました。


想像力豊かな子どもと海の底について話しているような自然な受け答えですが、これは人があらかじめ手作業で回答文をプログラミングしたものではありません。Googleのサンダー・ピチャイCEOによると、土星の輪やアイスクリームでできた惑星についてなど、非現実的なものも含めたあらゆるシチュエーションについて語り合うこともできるのだそうです。

◆List It
List Itは、特定のタスクを達成するための手順やアイデアをリストアップしてもらう機能です。ここでは「菜園を作る」と入力しました。


すると、「どんなスタイルにするか選ぶ」「場所と土をどうするか考える」「種をまくか苗を買う」といった手順がリスト化されました。


◆Talk About It
最後のTalk About Itは、特定の話題について文章でオープンに語り合うモードです。まだ犬の話題にしか対応していないので、「Talk About It (Dogs Edition)」と名付けられています。入力欄に「犬のバンド名を考えよう」と入力すると……


LaMDAは「『The Zoomies』はどうでしょう?犬のバンド名としてはぴったりだと思います」と提案してきました。なお「Zoomies」とは、犬が突然走り回ったり、ぐるぐる回ったりしてエネルギーを発散させる行動のことです。


どうして犬がZoomiesをすると思うのか質問すると、LaMDAは「それは、犬たちが生きることにとてもワクワクしているからだと思います。生きていることがうれしくて、とにかく走り回って遊び、そして楽しみたいのでしょう」と返してきました。話題が犬に限定されているとはいえ、犬の習性を理解した上で当意即妙に回答をしており、とても自然で高度な会話という印象を受けます。


ピチャイCEOは、AI Test KitchenとLaMDAの展望について、「これらの言語モデルを実用化するにあたっては、課題があります。安全性を向上させているとはいえ、不正確な回答や、不適切で不愉快な答えが生成されてしまう可能性もあります。そこで、アプリでフィードバックを収集し、問題の報告に協力していただけるようにします」「今後数カ月かけてアクセスを解放し、AI研究者や社会学者、人権の専門家まで幅広い関係者とフィードバックを慎重に評価しながら、プロセスを繰り返していく予定です」と述べて、まずはアプリを専門家向けに公開し、順次対象を広げていく考えを示しました。

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