中華圏No.1の出前アプリ『EASI』を東京で利用したら『阿呆炒飯』に出会ったと、以前に本サイトの記事でご紹介した。詳しくはそちらをご確認いただくとして、今回は『EASI』のスタバに焦点を当てたい。
覚えておられるだろうか? 『EASI』上でスタバが「STARBABAS」になっていたことを。今回、そのスタバで注文してみたところ……中国から電話がかかってきたので報告しよう。
何があったのかについて説明する前に、まずは『EASI』について簡単に説明しておこう。日本で浸透しているとは言い難いだけに、知らない人も多いだろうから。
超ざっくり言うと、『EASI』はフードデリバリーアプリ。つまりUber Eats(ウーバーイーツ)や出前館の仲間であり、大きな特徴としては中国系の人が多く利用していること。
実際、アプリに表示される中華料理の比率は圧倒的。開いた場所を問答無用で中国に変えるアプリとも言える。
東京でも利用可能で、言語設定で日本語にも切り替えられる。ただし、日本語に切り替えてもあまり意味はない。言語設定に関係なくアプリ内は中国語だらけで、メニューがさっぱり分からないからだ。
さらに、アプリ上に登場するスタバやKFCのロゴがどこかおかしいことは以前の記事でお伝えした通り。
・スタバで注文できたもの
さて、実はそのスタバを開くと、カートに入れられるメニューが1つだけあった。価格は199円。なぜ1つだけなのか。そもそもこのメニューは何なのか。
中国語がまったく出来ない私にとっては飲み物なのかどうかさえ分からないが、カートに入れられるってことは注文できるってことだろう。
実際には食べ物じゃないかもしれないが、なんでもいい。ただただ、何が届くか知りたい気持ちで注文。送料を支払うと……
なんと、速攻で中国から電話がかかってきたのだ。どうすべきか躊躇(ちゅうちょ)したものの、出ないわけにはいかない。恐る恐る「応答」をタップしたところ、ものすごい勢いでまくしたてられる中国語が耳に飛び込んできた。
最初の「ニーハオ」以外、まったく聞き取れない。私が唯一分かったのは、電話先の相手は女性で、彼女はおそらくコールセンターっぽいところから電話をかけているということ。
口調からして怪しい相手だとは思わなかったが、この状況をどう打開していいかも分からなかった。ただただ戸惑うばかり。
そんな私の気持ちを無視するかのように、電話先の女性が私に質問してきた。語尾が上がったのだから、どう考えても何か聞いているだろう。一体どう答えたらいいのか?
どうしよう。
どうしよう。
一体どうしたら……!?
あぁぁぁああああああああああああああああ!!
・悩んだ末の回答
テンパッた挙げ句、私が発した言葉はこうだ。
「ィィィィィィイイイイイイイイイイイエエエエエエエエエエエエエッッッス!」
渾身の気合で放ったYES。その迫力に気圧されたのか、女性は一瞬黙った。時間にしておよそ2秒の沈黙。それを破ったのは、彼女の「シェイシェイ。バイバイ」だった。
同時に電話は切られ、あっという間に返金処理が終わった旨の通知が来た。
──以上が、『EASI』でスタバの謎商品を注文した顛末(てんまつ)である。まとめると、『EASI』は日本でも対応しているが、中国語が話せないなら安易に使うなってことになる。
怪しいアプリだとは思わなかったが、中国語が話せない日本人にとって使いやすいとは言えないだろう。
・「スターババス」まで行ってみた
ちなみに、『EASI』に表示された「スターババス」の住所まで実際に行ってみると、そこはちゃんとしたスタバだった。「STARABABAS」ではなく、「STARBUCKS」である。よかった。いや、よかったのか?
複雑な気持ちで入店。アプリでは注文できなかったので、店内に入りソイラテをオーダーした。最初からこうしておけばよかったのだ。スタバなんてどこにでもあるのだから、わざわざ出前アプリで注文する必要なんてない。
ましてや、言葉が分からないアプリで注文する必要が一体どこにある? 無理に使ったところで何が届くか分からないし、相手に迷惑をかける可能性だってある。
そもそも、返金処理でお金が戻ってきたとしても、イエスを放ったと同時に失われる自尊心は戻ってこないのだから。
──と、湧き出るような後悔と反省を喉の奥に流し込んだ。ソイラテはいつもよりちょっと苦かった気がした。
執筆:出前アプリ研究家・和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:EASI(iOS)