リップ・プランパー のブームが復活。空前の成長を後押しする、5つの人気ブランド【Glossy&ローンチメトリックスリサーチ】

DIGIDAY

2004年に流行した唇をふっくらさせる「リップ・プランパー」の、ブームが再燃している。複数のブランドがプランパーの領域に参入して新製品を発売した一方で、既に参入していたブランドはこのカテゴリーが繁栄し続けているのをみてきている。3月末にはリサ・リナ(女優)のブランド「リナ・ビューティ(Rinna Beauty)が、製品ラインにプランパーを加えた。ローレス・ビューティ(Lawless Beauty)は、ブランド全体の全体の軌道を変更した「フォーゲット・ザ・フィラー(Forget the Filler)」の成功により、そのフランチャイズを拡大し続けている。当初は透明なプランピング・グロスを販売していたが、その後5色のシェードを加えた上に、オーバーナイト・マスクも追加した。

アルタ・ビューティ(Ulta Beauty)では、このカテゴリーの成長は顕著だ。「昨年はリップ・プランパーのカテゴリーは、化粧品の品揃えの中でも前例のない成長を遂げ、リップカテゴリー内でもいくつかの他製品を上回った」と、アルタ・ビューティの広報担当者はGlossyに語った。「この成長は、我々の幅広いポートフォリオのすべての価格帯でみられ、マス層およびプレステージ層の両分野でもっとも人気のオプションがある。リップ・プランパーへの関心は2021年5月ごろ、顧客がパンデミックから回復して、交流や活動を再開し始めるとともに高まり始めた。この成長は2022年も続いている」。

さらに「インターネット上では、リップ・プランパーという単語の検索数は週当たり38,000件を超え、昨年から大幅に増加している。そして、リップ・プランピングやプランピング・リップ・グロスなどの単語はTikTokなどのソーシャルプラットフォームで、数百万ビューに達している」とも。TikTokでは #lipplumper というハッシュタグが、3億7400万回以上再生されている。

メイクアップ・バイ・マリオ(Makeup by Mario)は、1月にモイスチャー・グロー・プランピング・リップ・セラム(MoistureGlow Plumping Lip Serum)を7色展開で発売した。2色は1時間以内に、他の色もすべて24時間以内に完売した。現在、Sephora.comでは5色が品切れのままだ(2022年4月17日時)。また1月には、クリーンさを謳う美容ブランド「キャリレイ(Caliray)」が、グレーズド&インフューズド・リップ・プランパー・グロス(Glazed & Infused Lip Plumper Gloss)を6色展開で発売した。そしてアルピン・ビューティー(Alpyn Beauty)も4月1日にウィロー&スイート・アガベ・プランピング・リップ・マスク(Willow & Sweet Agave Plumping Lip Mask)を発売した。一方で、新しい臨床スキンケア・ブランド「アワーセルフ(Ourself)」は、プロが施術したかのように唇をボリュームアップするという塗るタイプのリップフィラー製品を、145ドル(約17,700円)で発売したばかりだ。

タルト(Tarte)は、ベストセラー商品「マラクージャ・ジューシー・リップ(Maracuja Juicy Lip)」のプランパー版を2月に発売した。「マラクージャ・ジューシー・リップ・プランプの原料であるマラクジャ(パッションフルーツ)は、アマゾンの女性のみで運営する協同組合がサステナビリティに配慮して生産したものを使っている。それに加えて、見てわかるほどに唇をふっくらさせ、潤す効果もある、10種類以上のスーパーフルーツやヒアルロン酸も配合している。当社の顧客である『タルトレット(Tartelette)』たちはこの製品を気に入り、新発売からわずか5日以内に完売した」と、タルトの創設者であるモーリーン・ケリー氏は語る。

ローンチメトリックス(Launchmetrics)はGlossyとの独自リサーチで、3月にもっとも話題に上ったプランパー製品のトップ5を、メディアインパクトバリュー(MIV)に基づいてランキングした。MIVはインフルエンサーや紙媒体、セレブリティー、オフィシャルなサードパーティー・パートナー、ブランドのオウンドメディアなどのインパクトを測定する同社独自のアルゴリズムだ。首位に立ったのはフェンティ・ビューティー(Fenty Beauty)のグロス・ボム・ヒート・ユニバーサル・リップ・ルミナイザー+プランパー(Gloss Bomb Heat Universal Lip Luminizer + Plumper)で、僅差の2位はトゥー・フェイスド(Too Faced)のリップ・インジェクション・エクストリーム・リップ・プランパー(Lip Injection Extreme Lip Plumper)。ディオール(Dior)のディオール・アディクト・リップ・マキシマイザー・プランピング・グロス(Dior Addict Lip Maximizer Plumping Gloss)、シャーロット・ティルブリー(Charlotte Tilbury)のコラーゲン・リップ・バス・グロス(Collagen Lip Bath Gloss)、マック(MAC)のパワーグラス・プランピング・リップ・グロス(Powerglass Plumping Lip Gloss)がこれに続く。

トゥー・フェイスドがプランパーの領域に参入したのは2004年、共同創業者兼最高クリエイティブ責任者であるジェロッド・ブランディーノ氏がバイアグラのCMに触発されたことがきっかけだった。似たような成分や技術を、唇をふっくらさせるのに応用できないかと考えたのだ。その結果生まれた製品であるリップ・インジェクションはすぐに好評を博し、以来同ブランドのトップセラーに君臨し続けている。「この製品は即座に大ヒットし、私の最初の家が建つほどだった」とブランディーノ氏は振り返る。

その後も同社は拡大を続け、2005年にはリップ・インジェクション・エクストリーム(Lip Injection Extreme)を発売した。この商品は、ふっくらさせる効果が4時間持続するとされたオリジナル商品よりも、さらに効果が長持ちするという。同商品は2019年にカラー展開をした後、2020年にはプランパーにある程度慣れた層に向けて、「より強力」で即効性と持続性を謳うプランパー「リップ・インジェクション・マキシマム・プランプ(Lip Injection Maximum Plump)」を発売している。

「このトレンドが始まったのは、非外科的な施術への評判が高まった2000年代初頭だった。当時からボトックスはあったが、しばらくの間は『この奇妙なものは一体何?』という扱われ方で、それが次第に受け入れられるようになった。ヒアルロン酸を注入してボリュームを足すリップ・フィラーは、とても新しいカルチャーだ。メスを使う美容整形手術の他にどのような美容整形があるのかを、我々は知らなかったのだ」とブランディーノ氏は語る。

リップ・フィラーを代替する施術で、唇にボトックスを注入するリップ・フリップ(lip flip)も、TikTokによって流行している。

「ふっくらと魅力的な素晴らしい唇を実現する、本当によく効く製品を発見すると、人々はもうクリニックに予約を入れて医師を訪れて大金を使いたいとは思わなくなる」と語るのはトゥー・フェイスドのグローバルマーケティング担当バイスプレジデント、ソマー・テジワニ氏。「彼らはアルタの店頭で製品を購入し、好きなときに使いたいと望むのだ」。

[原文:Glossy x Launchmetrics Research: The 5 lip plumpers fueling the category’s ‘unprecedented growth’

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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