ロシアの侵攻が続くウクライナの隣国ポーランドを訪問中のジョー・バイデン米大統領は26日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が権力の座にとどまってはならないと述べた。ロシア政府は、「バイデンが決めることではない」と反発している。
バイデン米大統領はポーランド・ワルシャワでの演説で、プーチン氏について「本当にまったく、この男が権力の座にとどまってはならない」と述べた。
ホワイトハウス当局者はその後、バイデン氏は「体制転換」を要求したのではなく、プーチン氏がこの地域の近隣諸国に対して実力行使することは許されないと強調したのだと説明した。
これについてロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「それはバイデンが決めることではない。ロシアの大統領はロシア人が選出するものだ」と述べた。
プーチン氏は「虐殺者」=バイデン氏
バイデン氏はワルシャワ市内でウクライナ難民と面会した際、ウクライナ侵攻を続けるプーチン氏を「虐殺者」と呼んだ。
ポーランドには現在、200万人以上のウクライナ人難民が避難している。
ロシア政府のペスコフ報道官は、バイデン氏の発言によって両国の関係修復の可能性が狭まったと述べたと、ロシア国営タス通信は伝えた。
これに先立ち、バイデン氏はウクライナのドミトロ・クレバ外相とオレクシー・レズニコウ国防相と面会した。
クレバ外相とレズニコウ国防相がウクライナを離れてポーランドに向かったのは、ロシア軍に対するウクライナの反撃への自信が高まっていることを示すものだと受け止められている。
米国務省の報道官によると、会談ではアメリカの「ウクライナの主権と領土保全への揺るぎないコミットメント」について話し合われたという。
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バイデン氏はポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領との会談後、北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛は「神聖な責務」だと強調。「あなた方の自由のため、そして我々の自由のために(中略)頼りにしてもらいたい」と、ドゥダ氏に述べた。
燃料貯蔵施設にロケット砲
ポーランドに近いウクライナ西部リヴィウなどでは、この日もロシア軍による攻撃があった。
リヴィウ州のマクシム・コジツキー知事によると、燃料貯蔵施設と工場がロケット砲の攻撃を受け、5人が負傷した。
ロシア軍によるものとみられる攻撃は、リヴィウから約400キロ離れたポーランド・ワルシャワでバイデン氏が演説している最中に起きた。
リヴィウのアンドリー・サドヴィー市長は、「侵略者は、ポーランドにいるバイデン大統領への挨拶として攻撃を行った」と述べたと、ロイター通信は伝えた。
リヴィウはこれまでのところ、ウクライナの他地域と異なり、ロシア軍による連日の砲撃をあまり受けていない。そのため、国内各地から逃れてきた数十万人の難民を支援する拠点となっている。
地元当局によると、ロシア軍はチョルノービリ(ロシア語でチェルノブイリ)原子力発電所の作業員が多く住むスラヴチチを占領した。地元住民はウクライナ国旗を振り、愛国歌を歌って抵抗した。
ウクライナ議会によると、北東部ハルキウ(ハリコフ)にある核研究施設がロシア軍の攻撃を受けた。同市ではロシア軍の砲撃が続いており、施設の被害状況は確認できていないという。
ロシア軍の将軍がまた死亡=ウクライナ
ウクライナ国防省は、南部ヘルソン近郊での空爆で、ロシア軍のヤコフ・レザンツェフ中将が死亡したと発表した。
レザンツェフ氏はロシア南部軍管区第49軍司令官。西側当局者は、ロシア軍の将軍が死亡するのは7人目だとしている。中将の戦死は2人目で、ウクライナ侵攻開始以降、最高位だという。