【山田祥平のRe:config.sys】天災、人災、防災グッズ再考2022

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 2011年3月11日から丸11年が過ぎた。あの日を経験して、本当に災害は来るのだという覚悟ができたし、昨今のコロナ禍は、別の意味での危機感を育んだ。もう、世の中、何が起こるかわからない。原油入手難などによる電力危機についても覚悟して備える必要があるかもしれない。

持ち出す非常用グッズ、持ち出さない非常用グッズ

 震災後、毎年3月が来るたびに、身の回りの防災グッズを点検し、必要に応じて見直すようにしてきた。幸い、用意した防災グッズは、一度も使わないままに、この10年間を過ごすことができた。無駄だったけれどもそれでいい。うれしいがっかりだ。

 今年、2022年は、Ankerの最新ポータブル電源製品として「535 Portable Power Station (PowerHouse 512Wh)」が、一般的なポータブル電源の約6倍の長寿命ということなので、そこに期待して追加、さらに、常用の懐中電灯の充電端子がMicro USBなので、これをUSB Type-Cで充電できるものにリプレースしようと、製品を物色中だ。

 緊急時に持ち出す電子機器用ユーティリティと、日常の外出時や出張時に携行するグッズは似ているようだがちょっと違う。また、緊急時とはいっても自宅にこもっていられるうちは、たいていのものが手元にある。先に書いたポータブル電源のようなものもそうだ。ただ、重量が5kgを超えるようなポータブル電源を、緊急時に徒歩で持ち出すというのは無謀だし危険だ。

 日常的に持ち出す可能性があるカバンの中には、

・USB PDアダプタ
・USB PDバッテリ
・USB Type-Cケーブル
・折りたたみ傘

を入れてある。出先であれを忘れた、これを忘れたということがないように、いくつかあるカバン全部に似たようなセットを入れてある。

 ただ、コロナ禍で外出の機会が激減し、出張もないので、これらの利用機会も少なくなってしまっている。さらに、出先で電子機器の充電が必要なことはほとんどなくなってしまった。そんなに長時間外出していることがないからだ。バッテリ劣化を抑えるために、ノートPCの充電は8割程度に抑えるように設定し、日常的にはノートPCをシャットダウンするようにしているくらいだ。ノートPCのバッテリ駆動時間がせっかく長くなってきているのに皮肉な話ではある。

 出かける機会があって、出先での電子機器利用が頻繁にあれば、そのメンテナンスに使うグッズについても正常作動を常に確認することができて安心だ。USB PDアダプタやバッテリ、そしてケーブルは、見かけだけでは正常に使えるかどうかがわからないので、定期的に正常に使えるかどうかを確認しておく必要がある。

 3月11日の震災の日と、9月1日の防災の日は6カ月ごとの区切りとして、各メディアがいろいろと防災関連の話題を取り上げるので、チェックしなければならないことを思い出しやすい。このタイミングをうまく利用しよう。もっとも、今は、電子機器の心配をする前に、マスクの予備、布巾代わりに使える不織布、アルコール入りスプレーボトルといった装備のことを第一に考えるべきかもしれない。

非常用を日常用にも使う

 いろいろな状況の変化を考えつつ、現状を反映した電子機器用の防災グッズセットを考えてみた。避難所のような場所に待機したり、病院に入院、あるいはホテルなどに隔離されるといった以前では考えられなかった事態に遭遇したときにも使うことを想定している。PCとモバイルディスプレイ、複数台のスマホは当然、同時に携行していると仮定する。

セット1

・USB PDアダプタ
20W+45Wの2系統の出力が可能なものとして「Anker PowerPort lll 2-Port 65W」。ポートの1つはPC、もう1つはスマホに使える。ポート1つだけを使う場合は、65W出力ができる。重量136gで比較的軽量。

・USB PD対応バッテリ
PC用に使うことも想定しUSB PD 60W出力対応の72Wh容量のバッテリとして「MOTTERU MOT-MB20001」入力も30W対応で高速に回復できる。重さは約350g。PCが実用に十分なバッテリを搭載しているなら、半分の容量で重さも半分の174gの「MOT-MB10001」も国内最小最軽量級でかさばらない。

・ケーブル
両端Type-Cのケーブルは2mのものと50cmのもの、長短1本ずつと、Lightningケーブル1本。ナイロンや布素材で覆われた高耐久のものを選び、ラフな環境でも安心して使えるように備える。

・短いACタップ
ダンゴ状のアダプタでコンセントが無駄にならないようにするために用意。100均で調達。

セット2

・コンセントタップ
 コンセントタップとしてサンワサプライの「700-TAP049」。6口の差し込み口が個々に回転する機構で複数のアダプタ類を装着しても干渉しにくい。理想的には3mケーブル版が欲しかった。

・小型USB PDアダプ

Anker PowerPort III Nano 20W」などを3つと短いType-Cケーブルを3本。このセットだけでも単独で機能するようにしておく。3つのアダプタで合計60gの保険だと考える。

 この2種類のセットを非常用に用意しておき、できるだけ頻繁に日常用としても使う。両セットともに、透明で中身が見えるポーチ類を用意して各種ユーティリティを入れておく。透明ポーチを好むのは、外から内容が確認できるので安心だからだ。100均の化粧ポーチの売り場あたりを物色すると、ちょうどいい感じのものが見つかる。透明のものは限られているようなのでいろいろと探してみるといい。

 非常時用飲食料や懐中電灯、スリッパ類、マスクの予備、不織布布巾、アルコールスプレーボトル、常備薬など、非常時グッズは人それぞれだと思うが、それらを入れてあるカバンやバックパックにセット1とセット2を追加しておき、非常時には全部を持ち出すという運用を想定する。仮に緊急事態で自宅等にこもることになっても、両セットはポータブル電源等と組み合わせて重宝するはずだ。

 日常的も非常時用のグッズをできるだけ取り出して使うようにし、使わなくても半年に一度は点検する。放置した結果、ウェットティッシュなんかがカサカサになっているかもしれない。日常的に使えば、不具合等にも気がつきやすく対応もできるが、念のために半年に一度の定期点検は欠かさないようにする。いざというときにケーブルの断線でうまく充電できなかったり、バッテリが自然放電で半分しか容量がないといった最悪の事態は避けたい。

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