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有名なニューヨークのeスポーツ団体であるアンドボックス(Andbox)が、映画制作者でビジネスマン、そして物議を醸している作家でもあるジェームズ・フレイ氏を初代CEOに迎えた。これによって、同団体は競争力のあるゲームチーム、という存在から幅広いエンターテインメントブランドへの進化を遂げようとしている。
アンドボックスはニューヨークに拠点を置く最大のeスポーツ組織で、専属コンテンツクリエイター群に加えて、オーバーウォッチ(Overwatch)、ヴァロラント(Valorant)、コール・オブ・デューティー(Call of Duty)といったゲームのチームを抱えている。この組織はスターリングVC(Sterling.VC)によって設立された。同VCは、元ニューヨーク・メッツ(New York Mets) の親会社スターリング・エクイティ(Sterling Equities)傘下のベンチャーファンドだ。2017年の創業以来、アンドボックスは主にいくつかの大手フランチャイズeスポーツリーグの参加チームとしての取り組みに注力してきたが、この1年間、同社は独自のビデオやポッドキャストコンテンツを制作するなど、エンターテインメント業界のアプローチの多くを起用している。
フレイ氏は2021年10月にアンドボックスに入社して以来、同社と同社が運営するeスポーツのエコシステムの両方について学びながら、陰で仕事をしてきた。「私には途方もないほど学ばないといけないことがある」と彼は言った。「就任するなり、eスポーツの知ったかぶりをするつもりはない、私はeスポーツを熟知している訳ではないからだ」。3カ月間のeスポーツ業界での経験を得たばかりのフレイ氏はいま、eスポーツ団体の前面に立つCEOとしてデビューする準備ができている。
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さまざまな物議を醸してきたキャリア
しかし、フレイ氏はゲーム業界の素人ではない。アンドボックスのCEOに就任する前は、『クイーン・アンド・スリム(Queen and Slim)』などのハリウッド映画と、YouTubeシリーズの 「アルファ・ベータ(Alpha Betas)」などのビデオゲーム風コンテンツの両方を開発する世界的なエンターテインメント企業、3ブラックドット(3BLACKDOT)のチーフ・コンテンツ・オフィサーを務めていた。フレイ氏の3ブラックドットでの仕事はハリウッド側での業務が中心だったが、フレイ氏は同社での仕事を通じて、新しい形態の物語コンテンツを生む場所、またインスピレーションの源としてのゲーミング分野の成長を目の当たりにする機会を得た。
3ブラックドット以前のフレイ氏は、グルー・モバイル(Glue Mobile)やナイアンティック(Niantic)などのゲーム開発会社と協力し、ゲームと並んでIPの開発を支援してきた出版会社、フル・ファゾム・ファイブ(Full Fathom Five)の創設者兼最高経営責任者だった。
フル・ファゾム・ファイブを設立する前、フレイ氏は作家としてフルタイムで働いていた。作家として彼のもっとも有名な作品は2003年に出された『ミリオン・リトル・ピース(A Million Little Pieces)』で、アルコール依存症や麻薬中毒の彼自身の体験を回想したものだと主張していたが、後に記述の一部は誇張されていたり、真実ではないと批判された。この本の信憑性をめぐる論争は、2006年にトーク番組「オプラ・ウィンフリー・ショー(The Oprah Winfrey Show) 」 への同氏のゲスト出演を通じて追求され物議を醸したが、その間、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)ベストセラーリストで15週間トップになった。
CEOとして魅力的な候補者だった理由
現在、別の業界で波風を立てているフレイ氏だが、このスキャンダルについて、究極的にクリエイターとしてもビジネスマンとしても彼を強くしてくれた体験だったと述べた。「物議をかもすプロダクトを作ると、新しい分野を切り開いたりすることもあれば、人々の感情を逆撫でしたり、人々が鏡に映った自分自身を見てぎこちなく感じさせることが多い」とフレイ氏。「率直に言って、我々はアンドボックスのいくつかの事業において、これらすべてのことを行うつもりだ」。
「彼は長いキャリアを持ち、彼自身の才能で素晴らしいことをたくさん行ってきた」と同社のプレジデントで共同ファウンダーのファーザム・カメル氏は語った。「(この論争は)関連性がないように思う」。
実際、フレイ氏がCEOとして魅力的な候補者だったのは、エンターテインメント業界での数十年にわたる経験があったからだ。「我々は、我々がすでに保有するノウハウと同じような経験を持った人材は求めていなかった」とカメル氏は言った。「彼は、ファンにとって何が文化的に興味深く、何が面白くないのかを知ったうえで、(大胆な経営ができる)十分に『危険な』存在になると思う。私は彼がチーム管理業務の基本に関わる必要はないと思う」。
外部からの視点で、組織全体を活性化
eスポーツ団体たちが新たな収益源へと拡大するにつれ、エンターテインメントなどの外部業界から役員を採用することが増えるだろうと予測する専門家もいる。
この現象は、アクティビジョン(Activision)が30年前にネスレ(Nestle)やユニリーバ(Unilever)といったブランドの役員たちを雇用したのと似ている、とeスポーツエンターテインメント企業スーパーリーグ(Super League)のCEO、アン・ハンド氏は述べる。「彼らは外部大手企業が持つ専門知識と厳格さをすべて取り入れることで、巨大かつ、非常に繁栄している企業に転身した」とハンド氏は言う。「プロのeスポーツ組織が、人々が(ゲーミングの)部外者だと見なすような存在に対して門戸を開き始めている。ここにおいて、(同じ現象が)再度、おき始めていると思う」。
フレイ氏が持つ外からの視点は、すでにアンドボックスのフロントオフィスを揺さぶっている。フレイ氏は詳細については明らかにしなかったが、同社は彼らが抱える人材のパーソナリティに基づいた物語的なコンテンツの制作を検討しているという。カメル氏によると、フレイ氏の存在は「組織全体を活性化」しており、同社にゲームとeスポーツエンターテインメントの世界を征服するために必要な自信と経験を与えているという。
「私たちは一流のeスポーツ組織になるだけでなく、一流のエンターテイメントブランドになることを目指している」とフレイ氏は語った。
ALEXANDER LEE(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)