臨床心理士が教える「生きづらさ」を解消するために捨てるべき5つの神話

GIGAZINE
2022年03月05日 20時00分
メモ



人は誰しもなんからの信念や固定観念を持っていますが、そうしたものの中には知らないうちに自分を束縛してしまう思い込みもあります。人付き合いをぎくしゃくさせたり、息苦しさの元になったりする「人間関係を妨げる神話」を、心理学の専門家が5つにまとめて解説しました。

5 Myths that are Hindering your Relationships
https://www.quickanddirtytips.com/health-fitness/mental-health/relationship-myths-schema

ニューヨークで活躍する臨床心理士のモニカ・ジョンソン氏によると、人は多かれ少なかれ何らかの信念を持って生きていますが、その中には人間関係の妨げになる間違った信念も少なくないとのこと。ジョンソン氏は、こうした「真実ではないにもかかわらず多くの人が信じ込んでしまっている神話」とその解消方法を、次の5つ紹介しました。

◆1:自分には欲しいものを手に入れる資格はない
何かを手に入れたいと感じるのは自然な感情のはずですが、自分はそれにふさわしくないという観念に縛られると何かを始める前から諦めてしまうことになります。ジョンソン氏は、こうした考えから脱出する方法を、次の2つ提案しました。

1つ目は、過去に目を向けて「何がこの考え方の原因になってしまったのか」を探ることです。典型的な例としては、子ども時代の親の言動や交友関係、苦い恋愛経験の思い出などが挙げられます。もし自分だけの力で原因を見つけることができない場合は、セラピストの力を借りるのも一考とのこと。

2つ目は、現在の自分に向けて「誰かのため何かをしてあげるのは大切なこと?」と自問してみることです。ほとんどの人はこの質問に「イエス」と答えますが、ジョンソン氏は「その『誰か』に自分を含めない理由はないはず」と指摘。他人を思いやるのと同じように自分自身も思いやることで、やましさを感じることなく自分の欲求を満たすことができるとアドバイスしました。


◆2:助けを求めると弱い人間だと思われる
人前で弱音を吐くことができない人は、他の人から「プライドが高い」とか「ガードが堅い」と言われがちです。ジョンソン氏によると、自分の苦労を人に打ち明けられないと、誰かと親密になったり心の距離を縮めたりするのが難しくなってしまうそうです。

ジョンソン氏は、こうした性格のクライアントに対しては、「他の人を気にかける時は、相手にもあなたを気にかけていることを示すチャンスになるような隙を見せてあげなければいけませんよ」とアドバイスしているとのこと。同氏はまた、「他の人の助けを拒否することは、人間関係だけでなく人生の中で何かを成し遂げることも邪魔してしまう足かせになります」と述べて、誰かに助けを求めることは弱さではないと強調しました。

◆3:私は人から拒絶されることに耐えられない
誰にとっても、人から否定されることは気持ちのいいことではありません。事実、ジョンソン氏は臨床心理士としてのキャリアの中で、「ノー」と言われることを恐れるあまり人付き合いそのものを避けてしまい、これが原因で孤独に苦しんでいる人を何人も見てきたそうです。

こうした固定観念にとらわれている人に対して、ジョンソン氏は「拒絶されることが最悪な出来事なのは確かです。しかし、あなたはもう子どもではありません。自分でイメージしているよりずっとダメージに強く、多少の挫折ならきっと乗り越えられるはずです」と述べて、傷つくことを恐れないようにアドバイスしました。


もし、拒絶されるのが恐ろしくて立ちすくみそうになる場合は、「拒絶されたらどうなるか?」などの結果に目を向けたり、その事態になった時にどのように立ち直るかを考えてみるといいとのこと。やみくもに拒絶を恐れるのではなく、あえて拒絶された時のことを考えることで、思っていたより「ノー」と言われる可能性は低いことや、もし否定されても十分に対処できることが分かるはずだとジョンソン氏は述べています。

◆4:他人のために自分を犠牲にするべきだ
基本的に、人のために尽くすことはいいことです。しかし、この固定観念にとらわれている人は自分を犠牲にしすぎている傾向があるとのこと。そうなると、誰かに付け入られたり利用されたりする可能性が大きくなってしまいます。

そのため、ジョンソン氏は「誰かを利用する人を悪者扱いするのは簡単ですが、楽な方に流れるのは人間の宿命です。ですから、そういう場合はこれ以上は踏み込んではいけないという一線を見極めて、相手にそれを尊重してもらいましょう。これをやると、あなたから離れていく人もいるかもしれませんが、あなたとの人間関係の改善に取り組む気がないような人は見捨ててしまっても問題ないのです」と話しました。


◆5:人は私が何を望んでいるか知っているので、私の方から物事をお願いする必要はないはず
ジョンソン氏によると、「わざわざ言わなくても自分がやってほしいことを相手が知っているはずだ」という考えを持っている人は少なくないとのこと。確かに、長い付き合いであればお互いのことをよく知っているので、何をして欲しいのか分かる場合もありますが、だからといってその人が超能力者というわけではありません。

ジョンソン氏は、無意識のうちに誰かに期待しがちな人に対して、「IKEAで買った家具に説明書がついていなくて、IKEAのサポートセンターの人にも『組み立て方法くらい知っているはず』と言われたら、誰だってイライラしてしまいます。ですから、信頼している人や、これから信頼関係を築こうとしている人には、説明書を渡すべきです。あなたときちんとやっていこうと思っている人なら、きっとその説明書に書いてあることを守ってくれるはずです」とアドバイスしました。

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