河野氏「責任はプーチン氏のみ」 – 河野太郎

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プーチンの命令により、ロシア軍がウクライナ侵略を始め、多くの犠牲が出ています。

この責任は、ロシアに、プーチンにのみあります。

なぜプーチンの暴走を止めることができなかったのでしょうか。

バイデン米大統領が、米軍をウクライナに派遣することはないと発言したことにより、プーチンがアメリカの弱腰を見切って侵略に踏み切ったという声があります。

たしかにバイデン大統領が米軍を派遣する可能性を匂わせていれば、プーチンの判断はより難しくなったでしょう。

しかし、もはやアメリカが一人で世界の警察官の役割を果たせる時代ではなくなっています。

アメリカ国内でも、ロシアへの強い制裁は支持されていても、軍の派遣は支持されていません。

アメリカ一人に負担を求めることはできない時代なのです。

バイデン大統領を批判することは簡単ですが、では、日本は何をするのかという問いがブーメランのように戻ってきます。

自分には憲法9条があるから、軍事的行動はできないけれど、あなたお願いねというのは自分勝手だと批判されるでしょう。

国連の安保理にロシアと中国が拒否権を持って座っている以上、この両国が関与する情勢で国連軍を組織することは、今後もできないでしょう。

ならば、共通の価値観を持つ国々が、兵力を出しあって平和を守る枠組みをつくることはできるでしょうか。

そうなったら、日本は憲法を変えて参加するでしょうか。

このウクライナ侵略を中国は息を潜めてじっと見ています。

もし中国が台湾を侵略したら、国際社会はどう反応するのか。

アメリカは、日本は、ヨーロッパは、どのように反応するのか、どのような経済制裁を科そうとしてくるのか、経済制裁はどれだけの影響を及ぼすのか、今回のウクライナ侵略に対する国際社会の反応を見ているでしょう。

もし中国が台湾を侵略したら、日本にも影響が出ます。

その時にアメリカだけでなく、ヨーロッパも行動をしてくれるでしょうか。

今、ロシアのウクライナ侵略にあたって日本ができること以上のことを、中国が台湾を侵略したらヨーロッパに求めるのでしょうか、ヨーロッパはそれに応えるでしょうか。

プーチンは、おそらく思ったようにウクライナ侵略が進まないのを見て焦ったのか、核兵器をちらつかせ始めました。

これは非常に危険です。

しかし、これを抑止する有効な手立てもなかなかありません。

使ってはならないはずの核兵器がこんなに簡単に脅しに使われるようになると、やはり頼るべきは核兵器だと、キム・ジョンウンは思うでしょうし、新たに核兵器の開発に手を染める独裁政権が出てくるかもしれません。

NPTの運用検討会議を控えて、不拡散体制に大きな影響を与えてしまいました。

プーチンは、ウクライナに傀儡政権を打ち立て、ロシア軍を駐留させることを目指しているのでしょう。

プーチンにとって、ベラルーシとウクライナは自分の子分のはずだという認識なのでしょう。

そのウクライナがこれまで勝手なことをやってきたから懲らしめなければならないぐらいの認識なのでしょうか。

安倍元首相の呼びかけで、日ロは平和条約の交渉を加速化しようとしてきました。

北方領土問題を解決しようという意気込みで、かつて私も交渉に当たりました。

残念ながら今回のプーチンの暴挙で、平和条約交渉は仕切り直しです。

平和条約交渉があるからといって日本が国際社会の中で、対ロシア制裁を緩めることはできません。

経済制裁によって、プーチンや政府関係者だけでなく、多くのロシア国民に影響が出ます。

侵略しているロシア軍にも多くの犠牲が出ています。

ロシア国内で、プーチンに対する批判が強まってくるでしょう。

独裁政権ですから、国内のそうした声をすでに弾圧し始めています。

しかし、勇敢なウクライナ国民の抵抗が続いていけば、ロシア国内の厭戦気分は強くなり、政権への風当たりも強くなります。

ウクライナ国民がどこまで抵抗を続けられるか、国際社会がどこまで団結し、ひるまずにウクライナを支援し続けられるか、ロシア国内の良心的な人々がどこまで声を上げられるか、プーチン周辺のプーチンに対する忠誠心がどこまで持ちこたえられるのか、今後の展開は、そうしたことにかかってきます。