パンケーキの代わりに、かぼちゃもちを食べよう

デイリーポータルZ

「かぼちゃもち」という食べ物がある。

いももちの親戚で、北海道の郷土料理のひとつだ。

漉したカボチャに片栗粉を加えて練り、焼いてみたらしやバター醤油で食べるのが定番である。

どちらかといえば素朴な料理なのだが、これをパンケーキの代わりとして食べても美味しいことを発見した。

もちもちのワンダーがある、かぼちゃもち

こちらは以前つくったいももち。バターで揚げ焼きにして砂糖醤油で食べるカロリー爆弾

以前、「超ハイカロリー郷土料理、いももちの拡張レシピを考える」という記事を書いた。

その中でいももちの食べ方についてのアンケートをとったのだが、「かぼちゃバージョンもあり、どっちかというとそっちのがプレミア感があった」など、かぼちゃもち推しのコメントがいくつかあった。

このかぼちゃもち、作ってみたら大当たりだった

油で揚げ焼きにして砂糖醤油で食べるのがいももちと同じく定番なのだが、ある時なんとなく洋風にしたいとバターを混ぜ素焼きにしたのだ。

それがうまくいった。

カボチャそのものでありながら、しっとりモチモチしている。

いももちに比べても元のカボチャとの食感のギャップが大きく、おもしろい。

緑黄色野菜らしさと主食らしさが高い次元で共存している。

そしてこれ、妙にパンケーキっぽい。

これからパンケーキ風かぼちゃもちを試していきます

関東ではいももちの影に隠れがちなかぼちゃもちだが、パンケーキっぽくすることで令和の新食感スイーツとして大流行…!なんて妄想を膨らませながら、パンケーキ風かぼちゃもちのポテンシャルを探ってみたい。

超シンプル、だけどちょっとめんどくさい、でも楽しい……かぼちゃもちの作り方

まずはさっくりとかぼちゃもちの作り方を紹介したい。

簡単なので流し読みで大丈夫です。

かぼちゃ1/4を少量の水とともにレンチンする
材料はこれらと牛乳(水でもよい)
まず、やわらかくなったかぼちゃを大まかにつぶしてバター10g~20gと混ぜる
次に網でこす。ここが一番めんどくさくて楽しい作業
にゅるっと出てくるのが楽しい。けどぞわっとする人もいるかも
かぼちゃ1/4でだいたい350g~400gほどになる
片栗粉をまぶして
しっかりと混ぜてから牛乳を入れる

ここで大事なのが片栗粉と水分の分量比。

カボチャはジャガイモに比べて水気が少ないので、水分を足す必要がある
また、先に片栗粉と水分を混ぜると固くなってしまうので注意
こんな風に混ざりにくくなるため、前述のように片栗粉→水分の順に入れるとよい
あとはこねてまるめるだけ
並べるとちょっとかわいい
油をひかずに弱火でじっくりと両面焼く。けっこう焦げやすいです
両面にこれぐらいの焼き色がついたら最後に電子レンジに1分ほどかけて完成

揚げ焼きと違い、素焼きの場合は最後にレンチンした方がずっとモチモチ感がアップする。もっと丁寧にやるならレンチンした後、もう一度フライパンで表面を軽く焼くと外カリ中モチになる。

パンケーキに比べると時間がかかるスローフードだ。

ここからは、4種類のパンケーキ風かぼちゃもちを試してみたい。

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まずは基本のパンケーキ風かぼちゃもちを食べる

追いバターとメープルシロップをたっぷりとかけていただく
見た目どおりジューシーで間違いのない美味しさ

かぼちゃもち、パンケーキに比べてしっかりと食べ応えがあるのに、後味は緑黄色野菜そのもので、なんとなく健康的な心持ちになるのがよい。

表面の焼き目の香ばしさも、パンケーキにない魅力だ。

また、かぼちゃ自体に甘みがあるため、メープルシロップは少しでも美味しい。

片栗粉の量によって食感が大きく変わるため、かぼちゃ感強めが好きかモチモチ感強めが好きかで調節するといいかもしれない。

 

主食兼野菜担当、朝食風かぼちゃもち

食事系パンケーキのイメージで作ってみた

見た目としても栄養としても、主食&野菜を担当することに二刀流のなったかぼちゃもち。

パンケーキ界の大谷翔平だ

「ごはん」として見たかぼちゃもちはどうだろうか。

食べ応え優先の片栗粉30%。みーっちり詰まっている。30%はコシがある
これは炭水化物…いややっぱり野菜!…でもめっちゃお腹にたまる…て感じ

ボリューミーで腹持ちいいが思ったより炭水化物感はひかえめで、野菜としての一面を忘れていないところがよい。

味に関しては、間違いなくどのおかずとも合う。

じゅわっとソーセージにも合うし
バターソテーした平茸とも相性は最高だ
半熟の黄身に浸しても最高

この2個でだいたいカボチャ100g(93kcal)+片栗粉30g(99kcal)+牛乳&バターでカロリーは230kcalほど。

1枚250kcalくらいあるパンケーキに比べるとしっかりヘルシーなのに、食べ応えがあってガッツリ系にも思える。

何とも不思議な満腹感なのだ。

まだ、かぼちゃもちの食べ応えに満腹中枢が慣れてない感じがして面白い。

 

美味しい!…が、課題もみえたチョコバナナトッピング

チョコソース、チョコアイス、バニラアイス、バナナ、クルミ、焼いたかぼちゃの皮

今度はお洒落なパンケーキ屋さんにありそうな感じをイメージして作ってみた。

見た目以上にお腹にたまりそうだ

これもしっかりと美味しくて、お店にあってもおかしくない、むしろオーガニック系のカフェには最適な味だと思った。

バナナとも合うし、
アイスとも合う

…のだけど、だんだん背景のお皿が汚れてきているのがおわかりだろうか。

そう、かぼちゃもちはパンケーキと違いソースを吸わないのだ

見た目も食感もパンケーキっぽいのに、かぼちゃもちは溶けたアイスクリームやチョコソースを吸ってより美味しく進化することがない。

これはトッピングで食べるパンケーキの代わりとしては、けっこうネックになるかもしれない。

トッピングはフォークにささるくらいの固形物と合わせた方がよさそうだ。

 

ラストは和風パンケーキなかぼちゃもち

あずき、バニラアイス、抹茶と合わせてみ

そういえば、かぼちゃ&あずき豆のいとこ煮ってあったなあ、と思い作った和風かぼちゃもち。

アイスもこれぐらいの量ならかぼちゃもちと一緒に食べきれそうだ。

フォークにあらがうもっちりとした弾力感が面白い
わりとしっかりいとこ煮の味がする

定番の組み合わせだけあって、かぼちゃとあずきは合う。

その相性がスイーツ感の中でそのまま活きている感じがする。

抹茶との相性もよい

抹茶のほどよい渋みも、かぼちゃのまったりした甘味に合う。

全体的に甘すぎず、老若男女誰もが楽しめそうな自然な口当たりだ。

撮影が終わったらスーパーカップ全部のせしていきました)

まとめ

さて、ここまで試してみての感想としてはどれもそつなく合う。そして、妙に満腹感があって健康的な気分にもなれるのが素敵だ。

ただ、ユーティリティプレイヤーでありつつも、特別ベストマッチな組み合わせはまだ掴めていない。

最初に食べた何もつけない素焼きかぼちゃもち、あれに一番おいしさの驚きがあったかもしれない。

そのファーストインパクトを超える拡張レシピが見つかったらまた報告したい。

そういえば、いももちって最初はジャガイモに含まれるでんぷんによる食感変化を楽しむ料理だったのだろう。

ホクホク食感だったものがこねるとモチという”ハレ”の食感に近づくのが面白いのだ。一方でかぼちゃもちは結構片栗粉(これもジャガイモでんぷんだ)に頼っている面もある。

これなら、片栗粉と混ぜたらなんにでも餅になるんじゃないか。

にんじんもち、ブロッコリーもち、バナナもち……。青森産にんにくもちなんかもできそうだ。次はなんでもモチにしてみたい。

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