「コロナ禍のコミケ」知られざる舞台裏 11万人参加も「本来の姿ではない」…運営が語った葛藤

J-CASTニュース

   世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」(コミケ)が2021年12月30日・31日、2年ぶりに東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。コロナ禍で開かれたイベントとしては国内最大級の規模とされる。

   イベントを運営する団体「コミックマーケット準備会」は、今回の開催にあたって、政府の「ワクチン・検査パッケージ」を導入するなど、感染対策の徹底に尽力した。

   こうした取り組みもあって、準備会の発表によれば、陽性が確認された関係者は数人いたものの、「会場外かつ会期外の行動により感染した可能性が高い」。クラスターは発生しなかった。

   イベントの準備から無事に終えるまでの運営側の胸中は――。J-CASTニュースは2022年1月27日、準備会の共同代表を務める安田かほるさんと市川孝一さんに取材した。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

  • 安田かほるさん(左)と市川孝一さん(右)

    安田かほるさん(左)と市川孝一さん(右)

  • 当日の感染症対策(画像:コミックマーケット準備会提供)

    当日の感染症対策(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • ワクチン・検査パッケージを導入(画像:コミックマーケット準備会提供)

    ワクチン・検査パッケージを導入(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • ワクチン・検査パッケージを導入(画像:コミックマーケット準備会提供)

    ワクチン・検査パッケージを導入(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • ワクチン・検査パッケージを導入(画像:コミックマーケット準備会提供)

    ワクチン・検査パッケージを導入(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • 会場内の様子(画像:コミックマーケット準備会提供)

    会場内の様子(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • 会場内の様子(画像:コミックマーケット準備会提供)

    会場内の様子(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • 屋上のコスプレエリア(画像:コミックマーケット準備会提供)

    屋上のコスプレエリア(画像:コミックマーケット準備会提供)

  • 次回C100は8月13日と14日に開催予定(画像:コミックマーケット準備会提供)

    次回C100は8月13日と14日に開催予定(画像:コミックマーケット準備会提供)

「人との繋がりが切れてしまうのがコロナだと思い知らされました」

   コミケは1975年から続く同人誌即売会。個人が趣味で制作した本「同人誌」などが売買されるイベントで、例年であれば年2回、夏と冬に開催される。

   「全員が参加者」という現在のコミケの理念を作ったのは、第2代代表・米澤嘉博さん。2006年からは米澤さんの指名を受け、安田かほるさん、筆谷芳行さん、市川孝一さんの3人が共同代表に就任し、運営が続けられている。

   ただコロナ禍の影響で、2019年冬を最後にコミケの無い期間が続いた。2年ぶりの開催をどう振り返るのか。安田さんと市川さんの2人が取材に応じた。

    ――イベントが開催できなかった2年間、どのような心境でしたか。

安田かほるさん: 「これまでずっとコミケ中心の生活を送ってきました。たくさんのスタッフの仲間たちとどうコミケットを運営したらいいか、ずっとワイワイガヤガヤと取り組み続けてきました。
そうした場面が急になくなってしまったことで、まるで1人で放り出されたみたいに感じた時もありました。それでもなお続けようという気持ちを保ち続けるっていうのは結構つらかったですね」

市川孝一さん: 「イベントができなかった2年間、中止や延期が相次ぎ、『我々が本当にイベントを開催できるのか』という不安が正直付きまといました。
オリンピックの開催に伴い、(東京ビッグサイトの)東展示棟が使用できなくなり、会場を有明地区と青海地区の二ヶ所に分割するなど様々な方法を模索したのが2019年です。2020年になって、新型コロナウイルス感染症が現れ、オリンピックも延期されました。状況が日々変わり続ける中で、どうやったらコミケットを開催できるのかを考え続けてきた2年間でした」

    ――この冬に開催できなければ、コミックマーケットの存続が危なかったという声も耳にしました。

市川さん: 「2年間はすごく長い期間だったと思います。我々コミックマーケット準備会というのは、ボランティアで集まっている団体ですのでノウハウの継承やモチベーションの維持が大きな課題でした。
ほとんどのスタッフも専業で取り組んでいるわけでないし、運営の技術は外部で磨けるものでもありませんので、2年も経つとノウハウが失われていってしまう。また我々も2年歳を取り、その分体力、気力が低下してしまいます」

    ――準備会としては、存続のためにどんなことに取り組んできたのでしょうか。

市川さん:「特にボランティア組織は人と人とのコミュニケーションによる結びつきが大事だと思います。エアコミケ(オンラインイベント)を実施してみたり、オンライン会議にも積極的に活用して、何とか技術とモチベーションをキープしようとしました。
しかしこの冬やってみて、やはり繋がりが薄れているなと感じるところはありました。コミケのスタッフは最大で3300人ほどいたのですが、今回の登録は約2500人。そのメンバーと連携が取りづらくなった結果、当日の報連相などがうまく回らなくなる場合もありましたね。人との繋がりが切れてしまうのがコロナだと改めて思い知らされました」

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