2018年8月26日の記事を編集して再掲載しています。
日本だと線香の臭いとかになってオカルト味が増しますが。
40歳以上のアメリカ人を調べてみたところ、するはずのない臭いがする幻臭にしょっちゅう悩まされている人が15人に1人ぐらいもいることがわかりました!
調査はアメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究員主導のもので、主著者の国立ろう情報センター研究員のKathleen Bainbdridgeさんによると、幻臭の調査としては過去最大規模とのこと。「個々の症例の報告はあっても、どれだけ多くの人がかかっていて、どんな人に多い症状かはわからなかったんです」と、取材に対しメールで答えてくれました。
そこで調査班が注目したのが年1回米国政府が実施している国民健康栄養調査です。この2011年から2014年までの40代以上の7,417人の回答を調べてみたところ「何も焼けていないのに焼けているような嫌な臭いがすることがある」と答えた人が全体の6.5%(534人)もいた、というわけです。
原因は不明ですが、調査では次のような傾向が観測されました。
・症状を訴える女性は男性の2倍
・症状を訴える人は歳をとるほど減る(女性の場合)
つまり加齢による嗅覚の衰えとは全然関係ないんです。面白いですね。Bainbdridgeさんも、「40歳未満の方が多く出る症状なのかどうか非常に気になる」と言っていますよ。
さらには、次のような条件にあてはまる人に多い傾向も確認されました。
・頭部のけが
・口の中が渇く
・経済的に苦しい
経済的に苦しいと全体的に体調不良になるので、そのせいで幻臭のリスクが高まるのかもしれないし、体調管理のため服用する薬が原因になっているかもしれないと研究班は見ています。喫煙経験も関係ありそうでしたけど、年齢と経済社会状況ほどではありませんでした。一般の調査でわかっているのは、幻臭を感じるとき「煙くさい」臭いが多いということぐらいです。
本当に謎だらけですよね…。症状が何日続くのか、トリガーは何なのか、放っておくと悪化するのか、それとも快方に向かうのか。病気と関連があればわかりやすいのだけど(発作、心の病など)、それも調査では言及されていません。
症状を感じる人のうち、医師に相談にいった人はわずか11%でした。診てもらっても症状が止まる処置は受けられていないとBainbridgeさん。研究成果を見て原因究明に乗り出す人が現れ、悩んでいるのは自分ひとりじゃないと知るきっかけになればと期待しています。論文はJAMA耳鼻咽喉科ニュースに掲載中。
Source: JAMA