WWDCでのAppleの動きやいかに。GAFAMのメタバース&XR事情をおさらい

GIZMODO

週に100時間以上「VRChat」にログインしているユーザーがテレビで取り上げられたり、誰もが猫アバターになってにゃーにゃーするネコデースというサービスが人気を集めているなど、メタバースのブームはまだまだまだまだ続いております。

今のところ、メタバースは定義がまだあやふや。「メタバースは未来のインターネットだ」とか、ふわっとした言われ方をしている状態ではありますが、SFプロトタイピングの視点で考えると、『ソードアート・オンライン』や『サマーウォーズ』などで描かれた、多数の人がログインして話し、遊び、働き、生活できる3D CGの仮想空間が実装される未来はくるだろうなあと考えていいでしょう。

いまはまだ低解像度だけど、SoCやGPUや通信回線が高速化し大容量のデータ転送がラクになっていけばいくほど、リッチな描写の仮想空間が現実的になるから、時間の問題ですようん。

参考までに、NVIDIAがVRゲームにリアルタイムレイトレーシングの実装を実験中ですが、RTX 3090✕2枚という推奨環境に全世界が吹いたはず。自分で書いておいてなんですが、RTX 3090✕2枚のパワーが指先サイズのチップに収まり、スタンドアローンな超高解像ヘッドセットが作れる日はいつ来るんだろ。

そんなメタバースに、超巨大企業であるGoogle、アップル、Meta、Amazon、マイクロソフトことGAFAMはどう取り組んでいるでしょうか。見てみましょうか。

Google✕メタバース&XR

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Photo: Gizmodo

Googleは2008年、セカンドライフに対抗したLivelyというメタバースサービスを提供したものの、その年内中にサービスを終了させました。

2013年にARグラスのGoogle Glass、2016年にはVRプラットフォームDaydreamと、スマホ差し込み式VRヘッドセットのDaydream Viewをリリースするものの、2019年にDaydream Viewの販売を終了しています。エンタープライズ向けのGoogle Glass Enterprise Edition 2はまだ販売していますね。

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Image: Google

仮想空間やVRに関して早い段階から興味を示し、研究開発をしていたことが伺えるGoogle。現在はProject IrisというコードネームのAR/MRヘッドセットを開発している模様。コイツがGoogle I/O 2022でチラ見せしたスマートグラスなのでしょう。普通のメガネと同じサイズ感で、高解像なMRビューができることをアピールしていましたっけ。

Google Glassは決して成功したとはいえないプロダクトでしたが、GoogleはAR/MR領域に勝ち筋があると判断したのでしょうか。

Meta✕メタバース&XR

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Photo: Michael Murtaugh

GAFAのなかで、メタバース&XRにもっとも積極的なのがMetaです。ご存知、Quest 2はスタンドアローンなVRヘッドセットとして圧倒的な人気を誇る名プロダクト。コイツでVRを初めて、メタバースサービスにログインしたという方も多いはず。3万円台で購入できるガジェットすべて並べても、新しい体験ができるランキングで間違いなく1位を獲る逸材です。

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Image: Rafael Henrique / SOPA Images / LightRocket (Getty Images)

メタバースサービスに関しても、「Horizon Worlds」をはじめとした3つのサービスを展開しています。Horizon Worldsはユーザーが作成したバーチャルファッションなどのアイテムを販売できる仕組みをテストしており、メタバース内経済圏を立ち上げようとしていますね。「メタバースって結局おもちゃみたいなもの。なんの生産性もないじゃない」と言わせないようにしているともいえます。

6月2日には、次世代VRヘッドセットCambriaに関するリーク情報も流れてきました。SoCはXR2+ Gen 1、解像度は2160×2160、Wifi 6Eでカラーパススルーに使うカメラは1600万画素。さらには深度カメラも、アイトラッキング・フェイス(表情)トラッキングセンサーも入っている。エンタープライズ用であり、今後のVRコンテンツやメタバースサービスの開発用機材になりえるゴージャスな作りじゃないですか!

さらに2023年にはQuest 2後継機のStinson(Quest 3)、2024年にはCambriaの後継機であるFunstonと、Stinson後継機のCardiff(Quest 4)も並行して開発していると言われています。VRゲーム企業、VR音楽サービス企業、3Dマップ開発企業の買収や提携を進めており、ガチで勝ちを狙ってきていますねこりゃ。

ただなー。Horizon Worldsのアバターが可愛くないんだよなー

Amazon✕メタバース&XR

動きがほとんど見えないのがAmazon。ただAmazonは世界中のVR機器の販売を支えているECであり、メタバースサービスを支えているデータセンターとしてのAmazon Web Services(AWS)もあります。縁の下の力持ちな立場といっていいかも。

とはいえXR開発のための人材は集めているらしく、バックグランドサービスだけで満足というわけでもなさそうです。

マイクロソフト✕メタバース&XR

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Image: Microsoft

マイクロソフトはコンシューマー向けメタバースサービスである「AltspaceVR」を運営していますし、エンタープライズ向けのメタバースサービス「Mesh for Teams」にも注力していますね。MetaのHorizon Workroomsよりも自由度が高い。なんなら、アバターの目を透してPowerPointやExcelも使えます。またMesh for Teamsのアバターで、Teams会議にも参加できます。

VR/MRサービス・コンテンツの開発プラットフォームMeshを通じて、AltspaceVRとMesh for Teams、そしてOffice356の連携も視野に入れているはず。Horizonシリーズの強力なライバルとなるでしょう。

ただなー。AltspaceVRもMesh for Teamsもアバターが可愛くない。

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Image: Microsoft

ハードウェアに関しては、MRヘッドセットのHoloLens 2を引き続き販売中です。一般ユーザーが手を出すガジェットではありませんが、エンタープライズ向けMRサービスを利用するためのツールとして高いシェアをもっており、この分野で引き続きいろいろ開発していくものと思われますね。

そして…アップル✕メタバース&XR

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image:Ian Zelbo

アップルはどうでしょうか。WWDCでAR/MRヘッドセットを公開するのでは、いやもうちょっと内緒にしておくのではと、あれこれ言われています。研究開発を行っているのはたしかなようで、あとは「いつお披露目するのか」の問題でしかないのかなと。

ただ、VRとメタバースに関しては消極的な様子です。あくまで狙っているのはARであり、その先にあるMRみたいなんですよね。

こうして各社の動向を並べてみると、AR/MRを意識しているのがGoogleとアップル。VR&メタバースを見据えながらもMRも考えているのがMetaとマイクロソフトというのがわかります。

さあて、どの企業がメタバース&XRの市場で強い存在感を放っていくのか。注目の一戦を引き続きごらんください。

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