復興が進む首里城。そんななか正殿前にある大龍柱の向きが向かい合っているのか正面を向いているかが議論されている。
歴史を推測したり検討するのは意義があると思う。ただ、このまま議論が平行線のままなら、どちらも納得できるような方法を採用することもありではないか。ということで、全方向を向ける八方美人な大龍柱を作った。
首里城火災から2年がたった
2019年10月末に起きた首里城火災。
未明に正殿から出火して北殿、南殿などに延焼、6棟約4200平方メートルがほぼ全焼したというニュースに沖縄県民が飛び起きたあの日から2年が経過した。
2020年6月の首里城(首里城は今 -有料区域公開- )
その後立ち入り禁止となっていた有力区域も2020年6月に公開、コロナ禍の現在でも「見せる復興」を掲げて再建に向けた作業の様子を見学できるようになっている。
龍柱の向きはどっち向きが正しいのか
しかし一言で復興といっても、正殿に使えるような大きな木材が国内ではなかったり、高度な技術を持った赤瓦職人が既に亡くなっているなど、さまざまな課題もある。
そして、その中でも取り上げたいのが正殿の前にあった大龍柱の向きである。
というのも首里城の大龍柱は向かい合わせで復元されていたのだが、過去には正面を向いていた時期もあったらしい。
1992年の復元時は、寸法記(1768年)と尚家文書(1846年)という史料をもとに向かい合って復元されたのだが、2019年の焼失後、大龍柱が正面向きで映っている古写真(1877年)が新たに提示されたのだ。
いったいどちらの向きが正解なのか…決定的な史料が存在しないため簡単にどっちが正解、みたいな結論は出せないらしい。
首里城復興を進める技術検討委員会は2021年12月に大龍柱の向きを「暫定的な結論」として、焼失前と同様に向かい合わせにすると発表したが、「正面向き」を訴える市民団体が会見を開いて抗議の声をあげるなどまだまだ議論は尽きていない。
いっそどっちの案も採用してはどうか。
と、いうわけで我々DEEokinawaは龍柱問題を一挙解決するマシーンを考案したので見て欲しい。
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いかがだろうか。
つまり、龍柱を高速で回転させることにより、向かい合ってもいて、正面も向いているというアンビバレントな状況を作りだしたのだ。
その姿をカメラに収めることにより、向かい合い、正面だけでなく、後ろ向きだったり様々な角度から大龍柱の姿を楽しめる(ただちょっとブレる)画期的なシステムになっている。
…各方面からめっちゃ怒られそうな気がするので
あらかじめ謝っておきます。ごめんなさい。
マシーンができるまで
上の段落で、記事を閉じた方が大半な気もするが、せっかくなのでマシーンの作成風景についてもご紹介したい。
まずは龍柱を手に入れるために、首里城公園の売店に。
しばらく来てなかったが、修学旅行の団体さんを結構見た。首里城火災とコロナ禍でほぼ誰もいない状態の時に何度か来ているので感慨深いものがある。
件のくるくる回っている龍柱のオブジェだが3,080円だった。買えないことはないけど、ちょっと考えてしまうギリギリのラインを攻めている。
龍柱がくるくる回る台はモーターを使っている。
こういう仕組みはきっと色々考えて設計しないといけないと思うのだが、いつもほぼ何も考えずに感覚で作っている。
箱に龍柱を回す穴を開けた。
装置を箱に収める。
…うすうす感づいていたが、シャフトが2本収まらず底を突き抜ける形になってしまった。撮影では下にさらに箱を置いてごまかしている。
最後に龍柱をバランス良く配して完成!
結局結構な制作費がかかってしまったが、やりきった満足感はある。
龍柱の向き問題
火災で焼け残った大龍柱も現在首里城で展示されています。
というわけで、龍柱の向き問題を鮮やかに解決できた。でも良く考えたら、正殿前のあの場所は絶好の写真撮影スポット。そんな場所で大龍柱が高速回転していたら観光客が巻き込まれて事故になりそうである。
ともあれすごくアカデミックな所で論争が行われている龍柱の向き問題であるが、できればもっとかみ砕いた内容で現在どのような議論がなされているのかまとめてもらえると沖縄県民にとっても嬉しいことなのではないかと思ったりもする。
早ければ今年の10月にも正殿の本体工事が始まるらしいので、龍柱が最終的にどの向きになるのかはぜひ忘れずに見ていただきたい所存である。