ブースター接種を急ぐ風潮に疑問 – 近藤駿介

BLOGOS

「東京都は10日、新型コロナウイルスの感染者が新たに871人確認されたと発表した。…(中略)… 年代別にみると、20代が326人と最も多く、30代が145人、10代が112人で続いた。65歳以上の高齢者は43人」(10日付日経電子版 「東京都、新たに871人感染 7日平均で前週の10.2倍」

3日ぶりに新規感染者数が1000人を下回ったが、感染者数が急増していることで専門家や有識者を中心に「ブースター接種を急げ」という声が日増しに大きくなっている。

しかし、本当にブースター接種を急ぐ必要という選択は第6波に有効な対策なのだろうか。

気になる点は「20代が326人と最も多く、30代が145人、10代が112人で続いた。65歳以上の高齢者は43人」と、10代から30代という若い世代中心に感染爆発が起きているところだ。

こうした若い世代の年代別ワクチン接種率(2回接種)は20代で77.0%、30代で79.6%、10代でも73.9%と、かなり進んでいる(65歳以上は92.0%)。

ワクチン接種率の推移を見ると、ワクチン接種が医療関係者、65歳以上の高齢者から始まり、20代、30代など若い世代はその後だったことから、第5波がピークにあった昨年8月末時点でのワクチン接種率(同)は20代で45.9%、30代で50.6%、10代は34.1%と、若い世代のワクチン接種は65歳以上(87.3%)と比べて遅れていた。つまり、この4カ月ほどの間に若い世代のワクチン接種率は大きく上がって来ていた。

もしワクチン接種によって抗体量が増えるというのが事実だとしたら、今回の第6波はワクチン接種を済ませてから「最も時間が経過していない」、つまり「最も多くの抗体を持っている」はずの若年層中心に感染爆発が起きているということになる。

足もと「最も多くの抗体を持っている」はずの若年層から感染爆発が起きているということは、少なくとも第6波においてはワクチン接種による感染抑止効果が期待ほど高くない可能性を感じさせるものだといえる。

ブースター接種を主張する専門家や有識者達には、なぜ今「最も多くの抗体を持っている」はずの若年層中心に感染爆発が起きているのか科学的に明らかにしてもらいたいものだ。

そしてブースター接種が第6波にも有効であるというのであれば、何故感染爆発の中心世代である若年層から始めない理由も説明するべきだろう。化学的裏付けなしに1,2回目と同じに「65歳以上の高齢者から」ブースター接種を始めるという戦略が合理的な判断といえるのだろうか。

「元から絶たなきゃダメ」という発想はもはや昭和遺物になってしまったのかもしれない。

タイトルとURLをコピーしました