司法試験の受験者数減少に指摘 – 企業法務戦士(id:FJneo1994)

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終わったものは一瞬にして忘却の彼方に押しやってしまうのが自分の性格。

世の中には自らが合格してもなお、後進に熱いエールを送り続けている方も結構いらっしゃるようなのだが、自分の場合、まだ試験を受け続けていた頃から、論文試験が終わった次の日には、自分が解いたはずの問題をすっかり忘れてしまっていたような人間だから*1、後進に、しかも、制度も試験の体裁もがらりと変わってしまった今の試験の受験生やら合格者やらにかけられる言葉など、持ち合わせているはずもない。

そうはいっても、このブログでは何だかんだと毎年報じられる試験結果を伝えていたりもするが、今年もその季節になって、「あれ、何で去年エントリー書かなかったんだろう?」と小一時間考え込んでしまうようなレベル*2だから、感覚としては、身近なところに関係者がいない巷の一般人とほとんど変わらない。

ただ、今年の合格発表を伝える記事には、やはり衝撃を抱かざるを得なかった

「法務省は7日、2021年の司法試験に1421人が合格したと発表した。前年より29人少なく、政府目標の「1500人以上」を2年連続で下回った。合格者の減少は6年連続。受験者数は前年比279人減の3424人で、「法曹離れ」が進んでいる。」(日本経済新聞2021年9月8日付朝刊・第39面)

法務省前の掲示板での発表がなくなったのは、見に行った自分の記憶と照らすとちょっと寂しい気もするが、このご時世では致し方ないところだろう。

合格者数についても「1500人」の数字との関係でいろいろ言う人はいるだろうが、今の数字では誤差の範囲内だし、自分の経験上「1421人」が少ない、という感覚は全くないので、これも大したことではない。

だが、受験者数が3500人を割り込んだ、というのは・・・。

思えば、昨年の試験でも受験者が4,000人を割り込んだ、というのはちょっとしたニュースだったとは思うのだが*3、自分は、新型コロナの影響で受験回避の動き等もあったのでは?と思っていたところもあった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

しかし、通常日程に戻った今年の数字は、昨年の試験に輪をかけてひどい*4

出願者数 3,754名(前年比 472名減)
受験者数 3,424名(前年比 279名減)
合格者数 1,421名(前年比 29名減)

思えば、自分が受けていた時も、毎年6,000~7,000名くらいの短答通過者が論文試験会場に押しかけていた”バブル”が去り、「論文試験受験者が3,000人台に激減した!」と話題になった時期があった*5

だが当時の「3,000人」は、25,000人以上の不合格者の上に積み重ねられた数字今の数字とはそこに至るまでの厚みが違い過ぎる

結果的に合格率は41.5%となり、「初回ボーナス」と揶揄された2006年の第1回の合格率(48.3%)にあと一歩のところまで迫ってきた*6

そしてそれをもって、「原点回帰」「法科大学院創設当初の理想に近づいた」等々と本気で評価している人も、もしかしたらどこかにいらっしゃるのかもしれないが、それは木を見て森を見ぬ、あまりに危機感が欠如した発想ではないかと自分は思うし、様々なものを犠牲にして、多くの方々の無念の思いの上に築き上げられてきたこの制度の20年先の到達点が、「シュリンクした沼の中の合格率7~8割」なのだとしたら*7、あまりに悲しすぎる・・・。

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