つい先日、温泉入浴剤についての調査記事を書いた。その中で驚いたのは、圧倒的に大分県の「別府」が人気だったということである。
ほぼすべてのメーカーから別府の入浴剤が発売されており、ざっとその数10以上。「雰囲気系」もあれば「ガチ系」もあり、さながら温泉入浴剤オールスター戦のような様相を呈していた。
そこで!
数ある別府入浴剤の中で、もっとも別府を感じるのはどれなのだろう……? という素朴な疑問に応えるべく、私は急きょ別府へ飛んだ。そして宿の温泉を含む、3種類の温泉に入ったのであった。
ひとつは無色透明のナトリウム塩化物温泉(日本旅館 器 別府鉄輪)。
ひとつは、鉄イオンの多さは全国1位という強酸性の薬湯(塚原温泉)。
そしてもうひとつは硫黄の香り漂う泥湯(紺屋地獄)。
もちろん他にも別府の温泉はあると思うが、とりあえず3種類ほど押さえておけば、“別府感” は覚えられるであろうという算段だ。
そして、まだ体と心が “別府” を覚えているうちに帰京して……
ウチにある別府の温泉入浴剤を毎日ひとつひとつ使って……
心身ともに “感じた” 結果、独断と偏見ではあるが「もっとも別府を感じる別府の温泉入浴剤ベスト3」が決定したのである。
なお、判断基準は「別府っぽいかどうか」のみ。温泉成分の数値などは一切無視し、あくまでも私が感じた「別府らしさ」を信じて選考してみた次第。それではどうぞ。
【ベスト3】
・岡本屋「別府明礬温泉 湯の花」
これはガチ。ガチ中のガチ。やや濁っている……という点もリアルだし、湯の味も塚原温泉によく似てる。泥湯(紺屋地獄)と塚原温泉を足して2で割ったような。遠くの方に硫黄的な香りも感じる。ここは別府だ。感服しました!
・ヤングビーナス「湯躍(ゆやく)」
いろいろあるうちの白濁りをチョイス。出てるね、雰囲気。泥湯の雰囲気なかなか出てる。ややヌメりを感じるところもまた泥湯。湯の花成分も配合とのことで、別府感なかなか感じる。床ヌルヌルがリアル。超合格。
・村上商会「薬用 湯の花」
メチャンコ近い。硫黄の匂いはそんなにしないけど、これに近いお風呂に入った! 塚原温泉だ!! 早くもリアリティ追求系。よき。舐めたら酸味を感じるような雰囲気を漂わせているが、無味だった。いずれにしてもガチ。
上記3つの温泉入浴剤であれば、真の別府らしさを味わえると思う。なお、そのほかの温泉入浴剤についてのメモは以下の通り。今後の “おうち別府” の参考にしていただければ幸いである。
▼惜しかった2つの「雰囲気系」▼
・扶桑化学「露天の宿」
すんげえイイ匂い! 実際こんな匂いはしないけど、そこはかとなく漂う別府感。そして白濁の湯から感じる泥湯の雰囲気。「本品は温泉のお湯を再現したモノではありません」とパケにもわざわざ書いてあるが、雰囲気系ではトップだと思う。
・バスクリン「日本の名湯」
行ってみたからわかる。っぽくしてる、と。もちろん硫黄の匂いもしないし、湯の質的にも何もかも違う。だが、「っぽく」しようとしているのはわかる。泥湯に近づけさせようとしているのかな? やる気は感じる。
▼次点▼
・クラシエ「旅の宿」
緑色! しかも透明! さらに比較的サワヤカな香り……と、別府らしさがあまり感じられない変化球にビックリ。しいて言うなら薬湯に近づけさせようとしているのかなとは思うが、あまりにも違う。すべてが違う……。
・ヤングビーナス「るんるんの湯(もと)」
無香料なところに本気を感じるが、本気すぎて素人の私にはよくわからなかった。お湯のぬめりに別府を感じたが、モノマネが似すぎてて「おぉ…」と反応するしかない実力派モノマネ師的な。玄人向け。
・白元アース「いい湯旅立ち」
まさかのパープル! 「ほんのり華やぐ桜の香り」とのことなので、調査員が行ったのは春なのかな? なんて思いつつ、私の知ってる別府とは完全に別物だった。イメージ系の「温泉気分」。春に行けばシンクロできるのかも?
・日本薬品開発「マグマオンセン別府(海地獄)」
まさかの青! そして名前のイメージとは大違いのサワヤカな香り。地獄温泉の粉末が配合されているとのことだが、言われてみないとわからない。成分で攻めていく系かなぁ……。
・ライオンケミカル「バスリフレ 湯宿めぐり 薬用入浴剤」
なぜにパープル。どのへんが別府なのか……。薬用なのかもしれないが、別府らしさが全く感じられなかった。ニオイも、ほぼ無し。味もなし。そこにあるのは単に紫色のお湯であった。
・五洲薬品「名湯百景」
これまたパープル。さらに「いかにも入浴剤」な香り付き。これはどうなんだ……あまりにも遠すぎるぞ! と思ったら、パッケージに「本品は温泉の湯を再現したものではありません」とハッキリ書いてあった。だよね〜。
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24