ソーシャルVRゲームのRec Room、約165億円を調達–コロナ禍で急成長

CNET Japan

 仮想現実(VR)分野で特に有力なアプリの1つが、メタバースという次の大きな技術トレンドにおける最有力プレーヤーに名を連ねるべく、大きく前進した。

Rec Room
提供:Rec Room

 シアトルに本社を置くソーシャルゲーム新興企業Rec Roomは米国時間12月20日、1億4500万ドル(約165億円)の資金を調達したことを明らかにした。同社は、Microsoftで初期の「HoloLens」開発に携わった人物らが創設した。今回の資金調達によって、同社の評価額は35億ドル(約3980億円)となり、Facebookが2014年にVR新興企業だったOculusを買収した際に支払った30億ドル弱を上回った。Coatue Managementが主導し、既存の投資企業であるSequoia Capital、Index Ventures、Madrona Venture Groupが出資したというRec Roomの新たな資金は、同社の規模拡大と人員補充に使われる予定だ。

 2016年にRec Roomを共同創設し、最高経営責任者(CEO)を務めるNick Fajt氏は、パンデミック中にユーザー数が急増したと述べた。他のプレーヤーとチャットしながら、ペイントボール、レーザータグ、自動車ラリーレースなどのゲームをプレイするためにログインするユーザーが増えたためだ。同社は月間ログインユーザー数を明らかにすることを避けたが、11月のユーザー数は前年同月比で450%以上増加したと述べた。

 Fajt氏はこの成長の要因の1つとして、2019年に「iPhone」向けアプリ、2021年夏には「Android」端末向けアプリを追加したことを挙げた。さらに、ゲームプレイやチャットのためにユーザーが作成したルームの数が、1200万を超えたことも明らかにした。

 しかし、成長を推し進めようとすると、競争に直面することになる。コロナ禍で自主隔離生活が続く中で、一連のソーシャル重視のアプリが成功を収めており、同社はその中の新参者だ。世界構築ゲームの「Minecraft」や「Roblox」、オンラインバトルゲームの「フォートナイト」といったアプリが、パンデミック中に人々が集う安息地となっている。ゲームのネットワークトラフィックは、パンデミック開始時に急増し、その後も増え続けている。

 人々がそうしたゲームに費やす時間も大きく増加している。Robloxは2020年の上場申請時に、1日あたり平均3110万人が同社サービスを利用しており、その数は2019年の同時期から80%以上増加したと述べていた。その1年後の2021年11月には、その数がさらに急増して4730万人になったことを明らかにしている。

 Rec Roomにとって、VRに対する期待がテクノロジー業界で急激に高まっていることは、莫大な機会であるとともに、複数の業界最大手企業との競争が待ち受けていることを警告するものでもある。Metaは既に「Horizon Worlds」アプリを米国で無料で提供している。これはRec Roomのように、人々が共有の仮想環境に集まってゲームをプレイしたりできるものだ。

 Fajt氏はRec Roomの顕著な特徴の1つとして、HorizonのようにMetaのプラットフォームに紐づけられていないことを挙げた。Rec Roomは、VRに加えて、Android、iPhone、PC、ソニーの「PlayStation」、Microsoftの「Xbox」上で無料で利用できる。また、広告収入にも依存しておらず、キャラクターの新しい見た目などの仮想グッズの販売によって、利益を上げている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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