数カ月ほど前、私は人生で初めて「担当者を代えてくれ」と言った。相手はマンションの管理会社。「オーナー(大家)が住みたいから部屋を出ていってくれ」と言ってきた会社で、私は担当者と何度もやり取りを重ねてきた。
どのようなやり取りだったのかは これまでの立ち退きバトルの記事をご確認いただきたいが、早い話が揉めていたということだ。どこで揉めていたのかというと、ずばり退去費用。
・揉めているポイントを超簡単に解説
上の図のように、私は「立ち退き料は最低でも家賃の6カ月分から交渉スタートで、実際はさらなる上乗せが必要」と考えている一方、管理会社は「立ち退き料は家賃の2〜4カ月分+αでオーナーに打診します」と主張。
つまり、この段階で大家(オーナー)と揉めているわけではない……というか、まだ大家までたどり着けていない。大家サイドに付いている管理会社が「これくらいの金額で打診しましょう!」と言う立ち退き料が相場よりも低いがゆえに、話し合いが頓挫(とんざ)している状況。
私としては、家賃の2〜4カ月分+αで打診することにOKしたら大家から「じゃあ立ち退きは家賃の2カ月分で」と言われても文句を言えない。なので、管理会社に「2〜4カ月分+αが適正だとする根拠を教えてくれ」と説明をお願いしていた。
すると管理会社がメールで根拠を示してきたのだが、私にとって到底納得できるものではなく、文面に「利得を得る目的で請求をされるのであれば」とあったことでブチギレ。管理会社に「担当を他の人に代わってくれ」と伝えた……っていうのが前回までの流れ。
超簡単に解説と言っておきながら、そこそこ長くなってしまい申し訳ない。これでも結構短くしたつもりなのだが、「初めて読む人にとってはトラブっている理由が分からないかな?」と思っているうちに、こんな感じになってしまった。
なお、「もう少し詳しくこれまでの流れを知りたい」って人は記事の下に「立ち退きバトルの流れ」を記載しているので、そちらを参考にしてくれ。
さて、上のようなメールを送った翌日、管理会社からメールが返ってきた。それを読むと……
冒頭は謝罪から。同時にメールの文面はトーンダウンし、自身の考えについて説明していた。だが、担当者を変えること自体は難しいとのこと。
それにしても、「対応社員は1名だから代えられない」ってどういうことだろう? 対応しているのが1名なのは私も知っているが、それを代えて欲しくてメールしているのに……。
と思っていたら! 数分後、「補足でございます」から始まるメールが届き、読んだ私は「は?」となった。
何が書かれていたかというと……
え?
この管理会社の社員1人?
マジ?
ってことは、お前社長やったんか!?
いや、社長は別にいて社員が1人って可能性もあるが、だとしてもこの担当者が社内で重要なポジションにあることは間違いない。
・めっちゃ気まずい
どちらにせよ、これから交渉は地獄である。「おまえ代われ!」と言った担当者とやり取りしなくてはいけないのだから。めっちゃ気まずいで……。
ただ、担当者が「和才様からなんらかのお手紙やメールドラフトをいただければ、それをそのまま所有者へ転送させて頂くことは可能です」と言っているので、遠慮なくそうさせてもらおう。
となると……
この状況、見方によっては大家をガードする管理会社をほぼ無力化することに成功したと言っていいのではないか? ドラクエでいえば、ラスボスの両サイドにいるキラーマシンをラリホーで眠らせたようなもの。
これまでキラーマシンの意味不明な連続攻撃に散々悩まされてきた身としては、大きな一歩である。すでに結構なHPを失ったが、まあそれはいい。いよいよラスボスたる大家と直接対決じゃあああああ!
というわけで、私は管理会社の担当者をすっ飛ばして大家と直接交渉することにした。メールの送信先こそ管理会社の担当者であるものの、「大家の提示する補償を教えてくれ」的な内容なので、管理会社からするとメールの趣旨を大家に知らせざるを得ない……はず。
なお、そのメールに記載したのは、私が入居するのにかかったトータル費用。内訳を示しつつ、「実際に家賃の6カ月分が入居時に発生しているのだから立ち退き料は最低でも6カ月からでしょ」といった内容だ。これは会心の一撃やろ!
──と思ったら! 大家は見たことない呪文を使ってきたのだ。その呪文を受けて私はメダパニ状態となってしまったのだが……詳しくはまた次回。
長くなってしまったので、今回はここまで。来週またお会いしましょう! それでは皆さん、良い週末を〜!
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.