「手描きホログラム」の作り方

GIGAZINE
2021年12月18日 18時00分
動画



ホログラムというと、レーザーやナノテクノロジーなど高度な技術を使って作るものだというイメージがある人も少なくないはず。そんなホログラムをアクリル板とコンパスだけで作る方法を、ワシントン大学の研究者であるウィリアム・ビーティ氏が伝授しました。

Holography without Lasers: Hand-drawn Holograms [SCIENCE HOBBYIST]
http://amasci.com/amateur/holo1.html

ビーティ氏が作る「手描きホログラム」がどんな感じなのかは、以下のムービーを見るとよく分かります。

hand-drawn holograms – YouTube
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これは、ビーティ氏が初期の頃に作った手描きのホログラムです。光を当てつつアクリル板を左右に傾けると、アクリル板に付けた傷で描かれた格子が逆の方向にゆらゆらと動くように見えます。


そして、これをさらに改良したのが以下。地面に置いてから見る角度を変えると、立方体が浮かび上がって見えます。


ビーティ氏はさらに、頂点が手前に突き出て見えるピラミッドや……


小窓を通して見ているかのように「1」「2」「3」といった数字が見え隠れする作品などを披露しています。ビーティ氏はこれらを、特殊な機器を使わずコンパスと手で作ったとのこと。


作り方は以下の通り。まず、アクリル樹脂の板と、鉛筆の代わりに先の鋭いものをつけたコンパスを用意してから、板の下の方にホログラムにしたい絵柄、ここでは「V」の字を書きます。そして、コンパスの一方をVの字の上にのせて、もう一方の先で弧を描くようにしてアクリル板に傷をつけます。


傷の数は20本程度でOKですが、多ければ多いほどいいとのこと。


あとは、見るまでどんなホログラムか分からないように下の部分を切り取れば完成。ホログラムを見るには、この板を日光の下で角度を変えながら見ます。すると、傷が光を反射して作る白い点がVの字に浮かび上がって見えます。これが、ホログラムです。


板が透明なせいでよく見えない場合は、下に黒いものを置くといいとのこと。また、光源が正面の真上にくるように体の向きを変えたり、夜の街灯の下で試したりすると浮かび上がって見えやすいそうです。さらに、板にきれいな線で傷をつけられないとホログラムが見えないので、ぐらつきやがたつきがなく、作りがしっかりしたコンパスを使うといいと、ビーティ氏はアドバイスしました。

ビーティ氏は、コンパスでつけた傷がホログラムに見える理由について、「傷の溝が曲がった鏡のように太陽光を反射し、その光は小さな白い光の点に見えます。そして、人の脳は異なる2つの異なる光の点のペアを『奥にある1つの点』だと捉えるので、たくさんの傷から反射した光の点を両目で見ると立体的に見えてくるのです」と説明しました。


ビーティ氏は、車のボンネットについた手形がボンネットの下に沈み込んで見えることをヒントに、この現象に気づいたそうです。


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