メモ
ビットコインの発明者とされるサトシ・ナカモトを自称してきたオーストラリア人起業家のクレイグ・スティーブン・ライト氏が55万ビットコイン(約3兆600億円相当)の返還を求められた訴訟に勝訴しました。過去にライト氏は「勝訴ならば自分がサトシ・ナカモトだと証明する」と発言していましたが、イギリス大手紙のThe Guardianは「むしろ敗訴だったほうが確実に立証された」と記し、ライト氏の公約に疑問を投げかけています。
Australian man Craig Wright wins US court battle for bitcoin fortune worth billions | Bitcoin | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2021/dec/07/australian-man-craig-wright-wins-us-court-battle-for-bitcoin-fortune-worth-billions
Satoshi Nakamoto, Craig Wright and a bitcoin mystery in America | Bitcoin | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2021/dec/11/satoshi-nakamoto-craig-wright-and-a-bitcoin-mystery-in-america
Miami jury rules in favor of Craig Wright, claimed bitcoin inventor
https://www.cnbc.com/2021/12/06/miami-jury-rules-in-favor-of-craig-wright-bitcoin-claimed-inventor.html
ライト氏は2016年5月2日に「サトシ・ナカモトは私だ」と自ら名乗り出た人物です。当時ライト氏は「自分とかつての同僚だったデイブ・クレイマンがビットコインのシステムを考案した」と説明していましたが、クレイマン氏が2013年にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌によって亡くなった後、その遺族が「クレイグ・ライトはデイブ・クレイマンと共同で採掘した、サトシ・ナカモト名義の110万ビットコインを不当に占有している」と主張し、その半分にあたる55万ビットコインの返還を求める訴訟を起こしました。なお、55万ビットコインは訴訟開始時点では約5000億円相当でしたが、度重なるビットコインの価格上昇により、2021年12月13日時点では約3兆600億円相当に達しています。
この訴訟は2019年にライト氏の敗訴という一審判決が下り、ライト氏は最高5000億円分のビットコインの支払いを命じられましたが、続く二審でこの賠償命令が棄却されました。
「自称ビットコイン考案者」に対する5000億円超の賠償命令が棄却 – GIGAZINE
そして2021年12月6日、陪審員による評決の結果、ライト氏側の「返還義務はない」という主張を受け入れ、クレイマン氏の遺族側の「ビットコインを盗んだ」という主張については棄却。一方、初期のブロックチェーン技術の背後にある知的財産権については遺族側の主張が受け入れられ、ライト氏には1億ドル(約114億円)の補償的損害賠償の支払いが命じられました。
一連の訴訟が大きな注目を集めた理由の1つは、「サトシ・ナカモトは本当にクレイグ・ライトなのか?」という謎にあります。ビットコインの時価総額はおよそ1.2兆ドル(約136兆円)に達するといわれるほど高い注目を集めていますが、その発明者についてはサトシ・ナカモトという名前が知られるだけで正体は一切不明という状態。今回の判決でライト氏に対してサトシ・ナカモト名義のビットコインを支払うように命じられ、実際にライト氏がサトシ・ナカモト名義のビットコインを送金したならば、ライト氏がサトシ・ナカモトであるという立証が可能でした。
しかし、今回の判決ではサトシ・ナカモト名義のビットコインの返還請求は棄却されたため、前述のようにライト氏はサトシ・ナカモト名義のビットコインに手を付ける必要はありません。ライト氏は判決前に「勝訴ならば自分がサトシ・ナカモトだと証明する」と公言していましたが、2016年には「反論の余地のない証明を行う」としていたものの、結局証明を行わずに逃亡したという前歴があるため、「ライト氏がサトシ・ナカモトであるという立証を行う可能性は低い」と報じられています。
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