冷え込みが厳しくなり、室内でも長袖の服を着用する場面が増すこの時期、料理などの際に、身につけている衣服に火が燃え移る「着衣着火」に注意するよう消費者庁が呼びかけている。
同庁によると、衣類への着火により毎年約100人が死亡。そのうち8割以上が65歳以上の高齢者という。
住宅内での出火原因は「コンロ」が最も多く、仏壇の「ろうそく」などが続く。屋外ではたき火やゴミの焼却などが原因で着火するケースがあり、長袖を着る機会が増える冬は特に注意が必要だ。
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火災死亡の約1割を占める着衣着火 火に当たらず燃え移るケースも
消防庁の統計によると、2015〜20年の6年間のうち、火災による死亡者は6,944人。そのうち、着衣着火による死亡者は572人と約8%を占める。
消費者庁によると、住宅内で着衣着火が起きるのは、料理中の引火など、コンロ使用時が最も多く、仏壇の掃除やお供え時にろうそくから着火するケースが続く。屋外ではたき火や木材・ゴミの焼却、野焼きなどの際に着火するケースがあるという。
同庁が火を扱う際に注意するべきとするポイントは以下の4点。
特に
・パイル、タオル地
・表面を起毛した生地
・綿やレーヨンなど食物繊維使用の素材
・着古して表面が毛羽立っている衣服
などの素材は表面に火が一気に広がる「表面フラッシュ」現象が起きやすく注意が必要だ。
また、火が直接当たっていなくても、火から放射される熱により衣服に着火する場合もあるという。
走り回るのはNG 着火したら脱ぐ・叩く・水をかける・転がるで消火
もし衣服に着火した場合は、
などの対処を行い、消火後はすぐに119番通報。やけどを負った場合は衣服を無理に脱がず、服の上から水で冷やし続け、医療機関を受診することが大切だ。
同庁消費者安全課の担当者は「”服は燃えるもの”という認識を持って、危険な状況では火を取り扱わないことを徹底してほしい」と呼びかけている。