ノースウェスタン大学医学部の研究チームが、脊髄損傷を起こしたマウスの細胞を再生させ、治療から4週間以内に再び歩くことを可能にする新しい薬を開発したと発表しました。
Bioactive scaffolds with enhanced supramolecular motion promote recovery from spinal cord injury
https://doi.org/10.1126/science.abh3602
In an Astonishing Feat, a New Drug Reversed Paralysis in Mice With Spinal Cord Injury
https://www.sciencealert.com/new-drug-reversed-paralysis-in-mice-with-spinal-injuries
ノースウェスタン大学のサミュエル・スタップ氏らは、細胞の受容体を活性化するシグナルを放つペプチドフィブリルを、実験用マウスの脊髄を切り取ってから24時間後に脊髄を取り巻く組織に注入。その後4週間の経過観察を行いました。
4週間後、治療を受けたマウスは脊髄を切断する前とほぼ同じように歩く能力を取り戻したとのこと。スタップ氏らが治療が細胞に与えた影響を調べたところ、軸索と呼ばれるニューロンの突起が再生されていたほか、神経の再生を妨げるグリア瘢痕(はんこん)と呼ばれる組織の生成量が大幅に減少していたとのこと。
さらに、ペプチドフィブリルに特定の突然変異を加えると、分子の運動が活発化し、分子がニューロンの受容体とより効果的に接続するとのことです。これらの分子は数週間以内に生分解され、細胞の栄養素になるとスタップ氏らは述べています。
スタップ氏らは、「治療薬は単一分子ではなく多くの分子の集合体であるため、『超分子薬』という新世代の薬の到来を告げる可能性があります」と述べました。
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