我が目を疑った。明日の朝食用に、食パンでも買おうとパン屋をウロついていた時のことだ。常軌を逸した長さの食パンが、視界に飛び込んできたからである。
『くるりんサンドパン』といい、厚みはたったの6mm、全長はなんと約40㎝もあるという。全国初を謳(うた)う、長すぎる食パン。一体全体どのようにして食べるのか……買って確かめてみるしかない!
・曜日とエリア限定販売
『くるりんサンドパン(テイクアウト税込584円)』はクックハウスという大阪を中心に関西で展開するパン屋さんにて販売されている。
週末の金・土・日曜日限定の商品で、購入可能な店舗も限られているので注意だ。記者は奈良県の西大寺駅店で入手したぞ。
冒頭に書いた通り、思わず二度見どころか三度見してしまうほどに、そのビジュアルが衝撃的だ。こんなに長い食パンって、ある? ポップには上記の通り “全国初!!” とあるが、納得である。
半分に切ったりして使うのかしらと店員さんに尋ねてみたが「具材を乗せて丸々1枚、一度に使い切っちゃってOKです」とのことだった。ふむ、ならばその通りにして使ってみようではないか。
・薄いので慎重に作業すべし
公式サイトにもオススメのレシピがあるが、何を乗せても美味しかろうということで、まずはハム&チーズ、そして卵あたりを試してみる。
開封前にサクッと長さを測ってみると約36㎝、袋を入れるとちょうど40㎝と言ったところだ。改めて、長いな。さて、袋から取り出すか……となった時に気を付けてほしいことがひとつ。
余りの薄さに、ていねいに取り出さないと、ちぎれてしまいがちだ。記者ははじめ、なにも考えずに袋の頭部分を開け、えいやっとパンを引っ張ってしまったために少しばかり切れてしまった。
気を取り直してパンを広げ、上に具材を乗っけていく。このままオープンサンドのようにして食べられるのでは、とも思ったが抱え持つには生地が薄すぎる。
やはりクルクルッと巻いて、かぶりつくのがベストであるようだ。ということで、くるりんした訳だが、この巻きの作業中も注意が必要。ていねいに行わなければ耳部分が切れてしまうため、慎重な巻きをすすめる。
出来上がったモノは、なんと言うか、ものすごくふてぶてしい。 “どーん” としていて、梃子(てこ)でも動かなさそうな雰囲気がある。
こんなに堂々とした食パンは、未だかつて見たことがない。非常にご立派だ。しかし食べてみると、軽やかなパンの食感とさわやかな全粒粉の香りが心地よい。
いささかガツッとした具材と程よいバランスで、あっという間に食べ終えてしまった次第。この長さと薄さ、意外にちょうど良い……のかもしれない。
・なぜ生まれたの?
いやはやしかし、なんとなく無理をしている感は否めない。そのまま縦方向に切って食べても美味しい食パンを、なぜ敢えて横方向にしかも薄切りしてみたのか。
随分と思い切った商品展開であるように感じたため、製造元に問い合わせてみることにした。結果、以下のような返答をいただいた。
外に出辛いこのようなご時世で、食事のマンネリ化が少なからず起きているかと思います。
そこで、ご家庭で楽しい時間を過ごしていただきたいと、手巻き寿司感覚で食べられるパンを思いつきました。
工場で特別に、薄く長く切ってもらっています。自由な巻き方で、食卓を彩っていただければ嬉しいです。
ふむふむ、外出がはばかられる今だからこそ誕生した商品であるのだろう。ちょびーっと袋から取り出し辛かったり、巻きにくかったりはするものの、クルクルしていて楽しかったことは事実。
家族などでワイワイしながら巻けば、盛り上がることは間違いなしだ。なにより、未だかつてないこの食パンスタイルに、誰しも度肝を抜かれるに違いない。見かけることがあれば、お手に取ってみてはいかがだろうか。
参考リンク:クックハウス「くるりんサンドパン」
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.