17日に告示されてスタートした自民党総裁選は、河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏の4名が立候補し、論戦を続けている。29日に国会議員による投票が行われたのち即日開票され、新総裁が決定する。
BLOGOS編集部では、4人の候補者に消費増税、原発政策、皇位継承、夫婦別姓、福島第一原発の処理水放出、政治のICT化という6つの質問に絞ってアンケートを依頼し、回答を集計した。
4人の候補者の回答は以下のようになった。
消費増税
<回答理由(任意)>
河野太郎氏:まずは経済の回復、さらには、コロナ後の新しい社会や経済に向けた準備が重要。
岸田文雄氏:経済の一時的危機には国債を発行してでも対応するのは財政の王道。
高市早苗氏:物価安定目標2%までは、消費税の増税を実行すべきではありません。
野田聖子氏:子供たちの世代に借金を先送りしないために、将来的に消費税の増税は検討しなければなりません。しかしながら、日本はまだコロナの被害から立ち直ろうとしているところであり、その段階での増税はかえって経済を痛め、税収を減らすことになります。したがって、当面は慎重に判断します。
原発政策
<回答理由(任意)>
河野太郎氏:原子力発電は、脱炭素を実現するために重要なエネルギー源であるとの認識を持っている。東電福島第一発電所事故後の安全性の確認は、原子力規制委員会による審査が行われており、これに沿って、随時再稼働を判断していく必要がある。
岸田文雄氏:カーボンニュートラル達成には、クリーンエネルギーが必要であり、その有力な選択肢である原発について、先ずは安全性を最優先に再稼働を進めるべき。
高市早苗氏:脱炭素目標達成と日本の産業の維持・発展のためには、安定的な電力供給が必要です。
野田聖子氏:私は電力に関しては、「超安全性」を前提とした「超安定性」を第一に考えています。電力が不安定だと、病院や施設ではすぐに消えてしまう命があることを理解していただきたいと思います。また、これからのデジタル社会では、豊富な電力を持つ国が主導権を握ることになります。したがって、私のエネルギー政策は「多様な電源をバランスよく持つ」という方針であり、これまで私が支援してきた地熱発電をふくめて、原子力も重要な電源の一つと考えています。
皇位継承
<回答理由(任意)>
河野太郎氏:政府に設置された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議に関する有識者会議」の議論を尊重する。
高市早苗氏:126代続いた男系の血統こそが、まさに天皇陛下の権威と正統性の源です。
野田聖子氏:今の皇室典範にしたがって、父系一系、男系男子が原則です。ただし、戦後の皇籍離脱により、皇位継承が不安定になっています。有識者会議の議論を重ねたうえで、国民の意見を聞いて判断すべきと考えています。女性天皇については、父系一系であり、過去に例があることから、私の選択肢の一つです。女系天皇については、皇室のあり方を根本的に変えるものであり私は賛成しませんが、「国民の選択肢」としては排除されるものではないと考えています。
夫婦別姓
<回答理由(任意)>
河野太郎氏:国会において、広く議論され、結論を出していくことがなにより大切である。一人の政治家としては、選択的夫婦別姓に賛成する。
岸田文雄氏:多様性を尊重する寛容な社会を作っていくべきです。他方で子どもの姓をどうするか等、国民的理解・合意を形成することが大切であり、国民と共にしっかり議論すべき。
高市早苗氏:旧氏の通称使用拡大をさらに進め、全ての人が暮らしやすい社会をめざします。
野田聖子氏:選択的夫婦別姓を望むご夫婦の思いは様々です。家を守るもよし、自分らしさを守るもよし、何かを強制するものではなく、また複数の名前を使い分けるような不安定さを招くわけでもなく、自分のライフスタイルに適したほうの名前を選択できるようにする制度なので、大きな反対理由は見当たらないものと考えています。
原発処理水
<回答理由(任意)>
河野太郎氏:原子力規制委員会において科学的知見に基づき判断されたものと承知している。一方、福島県や周辺地域における不安や風評被害への対応にしっかり取り組むことが重要であり、そうした不安等を取り除いた上で進めていくべき。
岸田文雄氏:地元の関係者の理解が何より重要であり、丁寧に進めていくべき。
高市早苗氏:日本産食品に対する輸入規制等、残存する風評被害を払拭することが必要です。
野田聖子氏:陸上に保管したり、大気中に蒸発させることと比べて、十分希釈したうえで海洋に放出することが、人間にとってもっともリスクが低い方法です。国内外の原子力施設において同様の処理が行われていることなどを説明し、ご理解をいただくための努力を重ねます。
政治のICT化
<回答理由(任意)>
河野太郎氏:国会のことであるので、国会においてよく話し合われるべき。一人の政治家としては、コロナ禍において、感染対策に資する様々な取り組みが行われている中、国民から選ばれた国会議員も、率先して行うべきことではないかと考える。
高市早苗氏:総務大臣時代、官庁のテレワーク化を先導しました。国会も積極的にICT化を進めるべきです。
野田聖子氏:国会こそ、リモート会議を導入するにふさわしいと考えます。選挙区あるいは国内の他の地域に調査などに行っていても、議論や評決に参加できるようにすれば、国会議員の活動範囲はさらに広がり、時間を有効に使うことができるようになります。また、地方議会では、産後すぐの女性議員が、評決のために議会に出席しなければならない事案も出ています。女性の政治参加を進めるためにも、リモート会議は必要です。地方自治体においてはすでに各委員会でリモート会議を使う議会が出てきており、本会議においても使用可能なよう、地方自治法の改正あるいは解釈の変更を求める要望が出されています。