2020年末に、PlayStation 5(PS5)やXbox Series X|Sが発売された。これら、新世代ゲーム機の注目ポイントは多数あるが、「リフレッシュレート120Hzに対応したこと」もホットトピックの1つである。PCゲーミングファンは結構前から慣れ親しんできた60fpsオーバーのゲーム体験が、ついに家庭用ゲーム機でも味わえるようになるのだ。
本誌はPC誌。PCゲーミングファンの方が多いとは思うが、しかし、今後、ゲーミングディスプレイ製品を購入する際には、PCはもちろん、そうしたリフレッシュレート120Hz出力に対応した新世代家庭用ゲーム機と接続して使いたいとも思うはず。
というわけで、今回は、最新のPC向けのディスプレイ製品のうち、PCゲーミングでも、新世代家庭用ゲーム機でも120Hz(120fps)表示が行なえるものを取り上げて紹介する特集企画をお届けすることとした。
- リフレッシュレートとは? フレームレートとは?
- フレームレートとリフレッシュレート、おすすめの組み合わせは?
- どんなゲーミングディスプレイ製品を選べばいいの?
- ASUS TUF GAMING VG259QR~コスパ重視のリフレッシュレート165Hz対応のパーソナルゲーミングディスプレイ
- MSI MAG ARTYMIS 242C~個性溢れる湾曲型の23.6型フルHDゲーミングディスプレイ
- MSI Optix G273QPF~疑似4K表示にも対応した27型のIPS型液晶パネル採用のWQHDゲーミングディスプレイ
- BenQ EX2710Q~27型サイズの最大リフレッシュレート165HzのWQHD解像度のHDR対応ゲーミングディスプレイ
- BenQ EX2710R~湾曲型でHDR/WQHD対応のゲーミングディスプレイ
- GIGABYTE AORUS FV43U~広色域&ハイコントラストな4K/HDR/144Hz表示対応のハイエンド機
リフレッシュレートとは? フレームレートとは?
まずは基礎知識のお勉強から。
ゲームファンであれば、フレームレートというキーワードは聞いたことがあると思う。フレームレートとは、そのゲームの映像が1秒間に何枚の映像(フレーム)で構成されているかを表した数値だ。なのでFrame(s) Per Second、つまりfpsで表される。このfps値が大きければ大きいほど、ゲームの映像の動きがスムーズに見える。一般的な家庭用ゲーム機向けのゲームは、高負荷で高品質なグラフィックスで表現されるゲームは30fpsのものが多く、リアルタイム性、アクション性が激しいゲームは60fpsで制作されていることが多い。
PCゲーミングの世界では、そのゲームを動かすPCの性能がまちまちであり、もしPC性能が十分に高ければ、前出の30fpsや60fpsといったお馴染みのフレームレート以上のfps値の映像生成が理屈上は可能となる。そのため、家庭用ゲーム機に発売されているゲームタイトルであっても、PC版については、フレームレートの上限を定めていない作品が多い。そうしたタイトルでは、手持ちのPCが十分に高性能な場合は、家庭用ゲーム機版では実現し得ない、高fps値でゲームが楽しめる可能性がある。
続いてリフレッシュレートだが、ディスプレイ製品のスペック表には「最大リフレッシュレート」と書かれていることが多い。ディスプレイ装置は「入力された映像信号を画面に映し出す」機能を持つが、その「画面に映し出す」機能を1秒間に最大、何回まで行なえるか……という性能値が”最大”リフレッシュレートになる。
ちなみに、「リフレッシュ」(Refresh)は「新しくする」(≒更新する)という意味があり、「レート」(Rate)は「頻度」という意味がある。なので、ディスプレイ装置の最大リフレッシュレートとは、結局「既に表示中の画面状態から、別の画面状態に描き変えられる頻度の最大値」というふうに捉えてもいいだろう。
リフレッシュレートはHz(ヘルツ)で表され、例えば、「最大リフレッシュレート=60Hz」であれば、そのディスプレイ装置は「1秒間に最大60回描き変えられる」という性能を表すことになる。
フレームレートとリフレッシュレート、おすすめの組み合わせは?
さて、ゲーム側のフレームレートが60fpsだとすると、これに組み合わせるディスプレイ製品のリフレッシュレートはいくつが最適なのだろうか。これについては、基本方針としては「ゲームのフレームレートとディスプレイ装置のリフレッシュレートは合わせる」がセオリーとなる。
PS4系やXbox One系、そしてSwitch系などの従来型家庭用ゲーム機は、仕様として最大60fps出力までの対応となるので、ディスプレイ機器側の最大リフレッシュレートは60Hzでもよいことになる。もっとも、ディスプレイ装置側の最大リフレッシュレートが高い分には、その値以下のフレームレートの表示をそつなくこなせるので、「大は小を兼ねる」的な考えでも問題にはならない。
例えば、最大リフレッシュレート120Hzのディスプレイ製品では、120fps、60fps、30fpsといった、120fps以下のフレームレートのゲーム映像を美しく表示できる。最近では、ゲームとしては固定60fps仕様だが、高リフレッシュレートのゲーミングディスプレイ製品と組み合わせると遅延が短縮する……といった現象がPCゲーミングシーンで注目を集め、コアなゲームファンの間で、このテクニックを活用する事例が目立つが、今回は、このあたりの深掘りは割愛しておく。
さて、ゲームによってはフレームレートが安定しない作品もある。PCの性能が不充分で、本来は60fps出力を想定したゲームなのに40fpsから60fpsの間をランダムにフレームレートが変化してしまうようなこともある。
こうした状況では、リフレッシュレートとフレームレートが一致しない表示となり、「テアリング」や「スタッター」といった現象に見舞われることになる。
こうした、フレームレートが安定しないゲーム映像表示に対して、最新のゲーミングディスプレイ製品では、テアリングやスタッターといった現象を回避して美しいスムーズな映像表示を行なう機構が搭載されるようになってきている。現在の多くのゲーミングディスプレイ製品にて採用されている「可変フレームレート表示機構」としては、NVIDIAのG-SYNC系、AMDのFreeSync系、VESA Adaptive Sync、HDMIのVariable Refresh Rate(VRR)などがある。
比較的新しいGPUを搭載したゲーミングPCでは、これらの「可変フレームレート表示機構」に幅広く対応しているが、PS5、Xbox Series X|Sなどの新世代家庭用ゲーム機では映像出力がHDMI端子に限定されている関係で、VRRのみに対応している。なお、VRRはベース技術がFreeSyncやAdpative Syncとほぼ同一なので、製品によってはFreeSyncやAdpative Syncに対応していればVRR非対応機でも、VRRが利用できる場合もあるが、これは相性問題に帰着するので、これについてもこれ以上の掘り下げは行なわない。
どんなゲーミングディスプレイ製品を選べばいいの?
現在、販売されているTV製品、ディスプレイ製品のほぼ全ては、リフレッシュレート60Hzには最低でも対応している。一方で、最近のゲーミングディスプレイ製品だと上級機では最大リフレッシュレート360Hzのものが存在する。しかし、これらの超ハイリフレッシュレートはDisplayPort端子接続に限定されており、HDMI端子しか持たない家庭用ゲーム機と組み合わせて利用することはできない。
最新のHDMI規格であるHDMI 2.1規格上では240Hzのリフレッシュレートも規定されているが、2021年9月時点では対応製品が見当たらない。従って、PCと新世代家庭用ゲーム機の両方で利用できる高リフレッシュレート対応のゲーミングディスプレイ製品となると、HDMI 2.1で利用できる4K/120Hzが上限ということになる。
実際、PS5やXbox Series X|Sといった新世代家庭用ゲーム機がHDMI 2.1規格ベースの120Hz出力へ対応したことで、TV製品においても、120Hz対応品が増えてきている。TV製品において、HDMI 2.1接続でリフレッシュレート120Hzの製品を狙いたいユーザーは、筆者のAV Watchでの連載記事のこちらを参考にして頂きたい。
さて、今回の特集企画では、4メーカーから最新の6製品のゲーミングディスプレイ製品を取り上げることとした。いずれの製品もHDMI端子を搭載しており、120Hz以上の最大リフレッシュレートに対応した製品となっている。
そして、今回の紹介にあたっては、各製品に対して、実際にPS5とのHDMI接続を試し、リフレッシュレート120Hzで対応ゲームがプレイできるかどうかを確認している。ここで取り上げた製品であれば、PCでも新世代家庭用ゲーム機でも、両方で120fpsゲーミングが楽しめることになる。
製品選びの際の参考になれば幸いだ。
ASUS TUF GAMING VG259QR~コスパ重視のリフレッシュレート165Hz対応のパーソナルゲーミングディスプレイ
画面サイズは、24型より少しだけ大きい24.5型。パネルは視野角性能に優れたIPS型液晶を採用する。画面解像度はフルHD(1,920×1,080ピクセル)だ。表示面は周囲の情景が映り込みにくい非光沢タイプとなる。
液晶パネルの応答速度はMPRT=1msで高速。最大リフレッシュレートは165Hzに対応する。可変フレームレート表示機構としては、NVIDIAのG-SYNC Compatible、VESAのAdaptiveSyncと、HDMIのVRRへの対応が謳われている。
バックライトシステムはエッジ型を採用する。標準輝度は350cd/平方m。HDRには非対応となっている。バックライトに採用されるLEDは、PCディスプレイ向けに採用されるものとしては一般的なもので、色空間カバー率については非公開となっている。
接続端子はHDMI端子が2系統、DisplayPortが1系統となっている。HDMI端子はHDMI 1.4規格までの対応となっており、新世代ゲーム機とHDMI接続した際には、非HDRのフルHD解像度にてリフレッシュレート120Hzまでの表示が行なえる。本機が誇る最大リフレッシュレートの165Hzで活用するにはDisplayPort接続を行なう必要がある。
本機には出力2W+2Wのステレオスピーカーが内蔵されており、外部スピーカーを接続せずとも本機単体でサウンドを鳴らすことができる。カジュアルにゲームやネット動画を楽しんだりする用途には嬉しい機能だ。なお、背面にはφ3.5mmのステレオミニジャックも搭載されているので、手持ちのヘッドフォンやイヤフォンを接続してサウンドを聴くことも可能だ。
設置時の調整機能としては、チルト方向が上33度、下5度、スイベル方向が左右±90度、高さについては13cmの範囲の調整に対応。また、縦画面へのピボット回転についても左右±90度に対応する、など自由度の高い使いこなしができそうだ。本体重量はスタンド込みで5.1kg。この程度の重さであればデスク上の移動は簡単に行なえる。
ゲームプレイ支援機能も充実。1msの高速応答性能を効果的に活用して実践するという、ASUS独自の残像低減技術「Extreme Low Motion Blur」、暗闇に潜む敵を見つけやすくする「Shadow Boost」、画面の中心に照準器を表示したり、フレームレートカウンタを表示することができる「Game Plus」に加え、ゲームジャンルごとに最適化された画質モード「GameVisual」などが搭載されている。
さらに、目の健康配慮にも万全。LEDバックライトの制御を工夫してチラツキを抑える「フリッカーフリー機能」、疲れ目の低減に貢献すると言われる「ブルーライト軽減機能」も兼ね備え、ドイツの認証機関であるTUV Rheinlandの認証を受けているとのこと。
実勢価格は3万円中盤といったところで、120Hz以上の最大リフレッシュレートに対応したIPS型液晶パネル採用のゲーミングディスプレイ製品としては、お求めやすい価格設定となっている。着座位置から来る視距離の関係で「27型ほど大きくなくていい、しかし24型よりは若干大きいサイズが欲しい」というような、細かい設置条件にも適合しそうな製品である。
製品の仕様上、フルスペックのリフレッシュレート165Hzで活用するにはDisplayPort接続が前提となるため、PCゲーミング主体での活用が想定される製品となるが、新世代ゲーム機とHDMI接続した際には120Hz(fps)表示が行なえるのは魅力的だ。
MSI MAG ARTYMIS 242C~個性溢れる湾曲型の23.6型フルHDゲーミングディスプレイ
画面サイズは23.6型。しかもこのサイズでアスペクト比16:9モデルとしては珍しい湾曲型のゲーミングディスプレイ製品だ。湾曲率は1000Rで、意外と曲がり率は急峻。MSIによると、この湾曲率は、人間の視覚にとって最も自然に見える曲がり具合なのだという。
解像度はフルHD(1,920×1,080ピクセル)。映像パネルはVA型液晶パネルを採用する。表示面は周囲の情景が写り込みにくい非光沢仕様を採用。VA型は視野角よりもコントラストを重視した特性を持つ液晶パネルだが、本機の場合、湾曲型液晶パネルの恩恵で、全ての表示画素がユーザー方向に向くことになる。そのため、IPS型液晶パネルに及ばないとされるVA型液晶パネルの視野角の負い目が問題にならない。そう、画面に相対した位置で使う限りは、確実な視認性とコントラスト性能が両立されるわけである。
液晶パネルの応答速度はMPRT=1ms。最大リフレッシュレートは165Hzとなっている。可変フレームレート表示機構については、AMDのFreeSync Premiumに対応する。
バックライトシステムはエッジ型を採用。標準輝度は250cd/平方m。HDR表示には非対応となる。バックライトに用いられているLEDは広色域タイプで、sRGB色空間カバー率97.9%、DCI-P3色空間カバー率90.3%を達成している。
接続端子はHDMI端子が2系統、DisplayPort端子が1系統となっている。HDMI端子はHDMI 1.4b規格までの対応で、DisplayPortはDisplayPort1.2規格までの対応となる。最大リフレッシュレートの165Hzは、本機とPCをDisplayPort接続した時に実現される。新世代ゲーム機と本機をHDMI接続した際は、フルHD解像度の非HDR形式に限って120Hz(fps)表示が行なえる。
スピーカーは非搭載。ただし、φ3.5mmのステレオミニジャックを搭載しており、ここにヘッドフォンやPCスピーカーなどを接続することで音声出力を楽しむことは可能だ。
スイベル調整、高さ調節には未対応だが、チルト調整については上20度、下5度の範囲で調整が可能となっている。本体重量はスタンド込みで約3.77kgと軽量。デスク上の移動は非常にたやすい。
ゲームプレイ支援機能としては、暗いシーンに潜む敵を見やすくする「ナイトビジョン」モードや、60fps固定ゲームにおける残像低減の効果がある「アンチモーションブラー」モード、目に優しいブルーライト軽減機能、フリッカー軽減機能などが搭載されている。
実勢価格は3万円前後でコストパフォーマンスは良好だ。湾曲モデルの入門機としても最適。湾曲モデルは比較的、視距離が短い活用シーンにおいても、確実な一望性が得られるため、ゲームだけでなく、普段のPC活用においても作業がしやすいとされる。
また、本機は額縁(ベゼル)が非常に狭いデザインを採用しているため、ディスプレイ製品を複数台を連結して活用するマルチ画面構成時に画面の継ぎ目が目立ちにくい。よって、本機を複数台導入し、ユーザーを取り囲むように設置しての「サラウンドゲーミング環境」の構築を行なうのも面白いかもしれない。
MSI Optix G273QPF~疑似4K表示にも対応した27型のIPS型液晶パネル採用のWQHDゲーミングディスプレイ
人気の27型サイズのゲーミングディスプレイ製品。パネルはWQHD(2,560×1,440ピクセル)解像度のIPS型液晶。表面は周囲の情景が映り込みにくい非光沢仕様だ。
バックライトシステムはエッジ型を採用。標準輝度は300cd/平方m。HDRには非対応となっている。バックライトに採用されているLEDは広色域タイプで、sRGB色空間カバー率99%、DCI-P3色空間カバー率93%を達成している。
MSIによると、高速応答性能に長けたRAPID IPSの恩恵もあり、液晶パネルの応答速度は中間色1msを達成しているとアピールされている。可変フレームレート表示機構については、NVIDIAのG-SYNC Compatibleに対応する。
接続端子はHDMI端子が2系統、DisplayPort端子が1系統となっている。HDMI端子はHDMI 2.0b規格までの対応で、DisplayPortはDisplayPort1.2規格までの対応となる。最大リフレッシュレートの165Hzは、本機とPCをDisplayPort接続した時に実現される。新世代ゲーム機との接続時に表示可能なHDR映像の最高位フォーマットは、フルHD(1,920×1,080ピクセル)解像度のリフレッシュレート120Hzまでとなる。
また、面白いことに、本機は、4K(3,840×2,160ピクセル)解像度、リフレッシュレート60Hzの非HDRの映像が入力された際には、本機の液晶パネルのWQHD解像度に圧縮して表示することができる簡易4K表示機能が搭載されている。一種の疑似表示にはなるが、4Kコンテンツの表示に対応しているのはありがたい。
スピーカーは非搭載。ただし、φ3.5mmのステレオミニジャックを搭載しており、ここにヘッドフォンやPCスピーカーなどを接続することで音声出力を楽しむことは可能だ。
スイベル調整は左右±45度、チルト調整については上20度、下5度の範囲で調整が可能となっている。高さ調節も13cmの範囲で調整が可能。縦画面(ピボット回転)は左右±90度に対応。普段使いするPCディスプレイ製品としても便利に使える。本体重量スタンド込みで約6.3kg。この画面サイズの製品としては標準的な重さで、デスク上の移動は普通に行なえる。
ゲームプレイ支援機能としては、暗いシーンに潜む敵を見やすくする「ナイトビジョン」モードや、60fps固定ゲームにおける残像低減の効果がある「アンチモーションブラー」モード、目に優しいブルーライト軽減機能、フリッカー軽減機能などが搭載されている。
実勢価格は5万円前後といったところで、画面解像度、画面サイズなどを考えるとコストパフォーマンスは悪くない。
本機も額縁(ベゼル)が非常に狭いデザインのため、マルチ画面構成向けだといえる。こちらも、「サラウンドゲーミング環境」の構築を行なうにはおあつらえ向けの製品だ。
なお、最大解像度かつ最大リフレッシュレートで本機を活用するためにはDisplayPort接続が求められるため、新世代ゲーム機との接続よりは、PCゲーミングでの活用の方がメインとなることだろう。
BenQ EX2710Q~27型サイズの最大リフレッシュレート165HzのWQHD解像度のHDR対応ゲーミングディスプレイ
27型サイズの画面は、最近のパーソナル向けのゲーミングディスプレイ製品としては人気の定番のサイズ。画面解像度はWQHD、液晶パネルは広視野角重視のIPS型を採用する。応答速度はIPS型ながら、ゲーミングディスプレイ製品としては必要十分なMPRT=1msを達成しており、最大リフレッシュレートは165Hzだ。
バックライトはエッジ型を採用。標準輝度は250cd/平方mで、一般的なPCディスプレイ製品相当だが、HDR表示にも対応する。なお、HDR表示性能はVESA DisplayHDR 400規格の認証を取得している。また、非HDR映像であっても、BenQ独自の映像エンジンによって疑似HDR化する「HDRi」技術の活用でハイコントラスト映像が楽しめるようになっている。
広色域バックライトを採用していることもあって、sRGB色空間カバー率100%、DCI-P3色空間カバー率95%を達成。ゲーミング用途に留まらず、クリエイティブ作業用としても十分に高性能なことも魅力だ。
この画面サイズのゲーミングディスプレイ製品としては音響機能も充実しており、なんと内蔵スピーカーシステムはステレオ2W+2Wに加えて、5W出力のサブウーハーも搭載した2.1CH構成なのだ。この「treVoloスピーカー」と命名された音響システムは、ゲームプレイの際にはもちろんのこと、YouTubeなどのネット動画視聴にも活用できることだろう。
接続端子はHDMI端子が2系統、DisplayPort端子が1系統という構成。DisplayPort端子はDisplayPort 1.4規格準拠のもので、2,560×1,440ピクセル解像度のHDR映像において、リフレッシュレート165Hzにまで対応する。最大リフレッシュレートでの活用はDisplayPort接続時になることには留意したい。このほかの接続端子としては、USBハブ機能としてのUSB 3.0端子、ステレオミニジャックによるヘッドフォン端子などを備える。
HDMI端子はHDMI 2.0規格準拠となり、新世代ゲーム機との接続時に表示可能なHDR映像の最高位フォーマットは、フルHD(1,920×1,080ピクセル)解像度のリフレッシュレート120Hzまでとなる。なお、本機の液晶パネルは前述したようにWQHD解像度であるが、4K/HDR/60Hzの映像を入力した際には、WQHD解像度に圧縮しての疑似4K表示に対応している。可変フレームレート表示機構としては、HDMIとDisplayPortの両方において、AMDのFreeSync Premiumに対応している。
パーソナル向けのPCディスプレイ製品に求められる調整機能も幅広く、上下チルト調整が上15度、下5度、左右スイベル調整が左右±15度の範囲で行なえる。高さ調整は10cmの範囲で上げ下げが可能。本体重量はスタンド込みで約7.4kg。ちょっとした移動であれば一人で楽に行なえる。
長時間の視聴時に目の健康を守るための機構として、視聴環境と表示映像の明暗差に配慮して輝度制御を行なうブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)技術を搭載しており、レベルの高い「ブルーライト軽減」、「フリッカーフリー」を実現するとしている。この目の健康への配慮は高く評価され、ドイツの認証機関であるTUV Rheinlandの認証を受けているとのこと。
実勢価格は6万円台中盤で、機能と性能を考えればコストパフォーマンスは悪くない。DisplayPortでの活用がメインとなることが想定されるため、PCゲーミングでの活用が中心で、新世代ゲーム機にも使えたら便利、といった感じのユーザーにおすすめしたい製品だ。
BenQ EX2710R~湾曲型でHDR/WQHD対応のゲーミングディスプレイ
最初に結論から言ってしまうと、本機は、型番から想像できる通り、前出のEX2710Qの湾曲進化バージョンに相当する。型番末尾の”Q”が平面モデル、”R”が湾曲モデルを表すようだ。なお、湾曲率は半径1,000mm(1メートル)を表す1000Rとなっている。湾曲モデルは比較的、視距離が短い活用シーンにおいても、確実な一望性が得られるため、ゲームだけでなく、普段のPC活用においても作業がしやすいとされる。
細かく見ていくと、湾曲している意外にも仕様の違いがある。どちらか迷っている人はそれぞれの製品の特徴を順番にチェックしていくといいだろう。まず、画面サイズはEX2710Qと同じ27型で、解像度もWQHDと、平面モデルのEX2710Qと同じ。しかし、液晶パネルの種類は異なっている。EX2710QはIPS型だったが、本機EX2710RではVA型を採用する。
VA型液晶パネルは視野角性能においてIPS型に一歩譲るところがあるが、本機のように湾曲していれば、表示面上の全ての画素が画面に相対して座るユーザー側に向いているため、視線の入射角依存の色調変移はほとんど起こらない。VA型液晶パネルは実は湾曲型と相性がいいのだ。
液晶パネルの応答速度はMPRT=1msを達成。最大リフレッシュレートは165Hzに対応する。可変フレームレート表示機構としては、HDMIとDisplayPortの両方において、AMDのFreeSync Premium Proに対応している。
バックライトはエッジ型を採用。標準輝度は300cd/平方mで、HDR表示に対応する。HDR映像の表示品質はVESA DisplayHDR 400規格に対応する。非HDR映像であっても、BenQ独自の映像エンジンによって疑似HDR化する「HDRi」技術の活用でハイコントラスト映像が楽しめるのは平面モデルのEX2710Qと同じ。
広色域バックライトの採用でsRGB色空間カバー率100%、DCI-P3色空間カバー率90%を達成。ゲーミングディスプレイ製品としては、発色性能はかなり良好な部類に属する。
接続端子はHDMI端子が2系統、DisplayPort端子が1系統。DisplayPort端子はDisplayPort 1.4規格に対応。2,560×1,440ピクセル解像度のHDR映像において、リフレッシュレート165Hzの表示に対応する。最大リフレッシュレートでの活用はDisplayPort接続時に限定される点はEX2710Qと同じだ。
HDMI端子はHDMI 2.0規格準拠で、新世代ゲーム機との接続時は、フルHD(1,920×1,080ピクセル)解像度×HDRモードにてリフレッシュレート120Hzが最高位となる。平面モデルのEX2710Qと同様に、本機にも4K/HDR/60Hzの映像を入力した際の疑似4K表示に対応する。新世代ゲーム機と接続した際にもこの疑似4K表示機能は利用できる。
このほかの接続端子としては、USBハブ機能としてのUSB 3.0端子、ステレオミニジャックによるヘッドフォン端子などを備える。
本体重量はスタンド込みで約7.1kg。ちょっとした移動であれば一人で楽に行なえる。調整機能は平面モデルのEX2710Qと同等で、上下チルト調整が上15度、下5度、左右スイベル調整が左右±15度の範囲で行なえる。高さ調整も10cmの範囲で上げ下げが可能。なお、本体背面にもバックライトを内蔵し、ゲーマーらしい雰囲気を演出できる。
本体内蔵スピーカーはBenQが誇る「treVoloスピーカー」システムを採用。このサイズ感のゲーミングディスプレイ製品としては珍しい、ステレオ2W+2Wと5W出力のサブウーハーを組み合わせた2.1CH構成となっている。ゲームプレイやネット動画視聴の際にはヘッドフォンいらずで本体から音を鳴らすことができる。また、OSD操作用のリモコンが付属するのも便利だ。
BenQ初の湾曲型のゲーミングディスプレイ製品として注目度が高い本機であるが、9月下旬に発売予定ということで、実勢価格の情報が集まっていないが、既に大手電機量販店では7万円前後の価格で予約受付が始まっている。
GIGABYTE AORUS FV43U~広色域&ハイコントラストな4K/HDR/144Hz表示対応のハイエンド機
画面サイズは、ゲーミングディスプレイ製品としては大画面サイズに属する43型を採用。液晶パネルは、コントラスト重視のVA型液晶パネルを採用。解像度はハイエンドゲーミングにもバッチリの4K(3,840×2,160ピクセル)解像度となっている。応答速度はMPRT=1msで、最大リフレッシュレートは144Hzにまで対応する。
バックライトシステムには、上級モデルの証でもある直下型を採用し、表示映像の明暗分布に合わせてLED光源の輝度を制御するエリア駆動(ローカルディミング)に対応する。その甲斐あって、VESAのHDR表示品質規格のVESA DiaplyHDR 1000規格の認証を受けている。スペック的にも通常輝度750cd/平方m、ピーク時1,000cd/平方mと、上級モデルのTV製品に負けていない輝度性能を持っている。
発色性能も優秀で、未だゲーミングディスプレイ製品としては少数派の量子ドット技術を採用しており、DCI-P3色空間カバー率97%、Adobe RGB色空間カバー率99%、sRGB色空間カバー率150%という絶大なる広色域性能も兼ね備える。
接続性も万全。HDMI 2.1規格準拠のHDMI端子が2系統を装備し、PS5、Xbox Series X|SとのHDMI接続時に、4K/HDR/120Hz(120fps)表示に対応する。1系統装備するDisplayPort端子はDisplayPort 1.4規格準拠で、最大で4K/HDR/144Hz(144fps)表示にも対応する
任意のHDMI入力映像とDisplayPort入力映像の組み合わせを同時に画面に表示できる2画面機能にも対応。2画面の表示のさせ方は親子画面(PiP)や横並び表示(PbP)の2モードに対応する。
ゲーミングディスプレイ製品としては珍しく、12W+12Wの比較的ちゃんとしたステレオスピーカーを内蔵しているのも特徴。別途外部スピーカーを用意せずとも、本機のみでゲームの映像と音像の両方が楽しめるのはありがたい。
まさに、高品位TV製品から、TVチューナーを省いたような本機だが、PC向け(ゲーミング)ディスプレイらしい特徴や機能も取り揃えている。1つは映像表示面の形式に非光沢式を採用している点。現在のTV製品のほとんどが光沢方式なので、周囲の情景が写り込みにくい非光沢式を欲しているユーザーには嬉しい特徴だといえる。
2つ目はUSBハブ機能。PCと本機をUSB接続することで、本機にある2系統のUSB 3.0端子と1系統のUSB TYPE-C端子をPC周辺機器の接続に利用できる。また、本機にはKVMスイッチング機能が搭載されており、これらのUSB端子はKVMスイッチ用途にも使え、本機に繋げたキーボード/マウス/ゲームコントローラを、2つのホストPCにて切り換えて利用することができる。また、OSD操作用のリモコンが付属するのも便利だ。
3つ目は、ゲームプレイを支援する様々な機能の搭載だ。60fps固定ゲームにおいて残像低減に貢献する「エイムスタビライザー」、暗闇に潜む敵を見えやすくする「ブラックスタビライザー」、一人称シューティングゲームにおいて便利な画面の中央に本機側で明示的な照準器を描画する「クロスヘア」など、AORUSシリーズで人気を博してきた定番ゲームプレイ支援機能が本機にも搭載されている。
実勢価格は約18万円と、ゲーミングディスプレイ製品としてはかなりの高級品だが、価格に見合った高性能が搭載されている。卓越した広色域性能、ハイコントラストHDR表示性能は、もはやゲーミングディスプレイ製品に留まらず、映像やグラフィックのクリエイター向けのディスプレイ製品としてもおすすめできる。
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