豪雨被害にコロナが追い打ち JR九州、過疎ローカル線存亡の危機?赤字47%拡大の区間も

J-CASTニュース

   コロナ禍で全国の交通機関の利用者が大幅に減少するなか、コロナ前から続いた豪雨被害で経営体力を奪われているのがJR九州だ。

   JR九州が2021年8月24日に公表した路線別の20年度の利用状況によると、九州新幹線の利用は半減し、在来線の「幹線」と呼ばれる路線は3割減。さらに、利用が少ないローカル線の収支は全路線が赤字に転落。赤字幅も拡大した。収支の公表は18年度分から始まった。沿線自治体と現状共有し、利用促進のきっかけにしてもらうことが狙いだ。さらに状況が厳しくなったことで、路線の存続の可否をめぐる議論が活発化する可能性もありそうだ。

  • JR九州が収支を公表した区間のうち、最も赤字の悪化幅が大きかったのが指宿枕崎線の指宿~枕崎間。19年度の3億5400万円より47.5%多い5億2200万円の赤字を出している(写真は指宿枕崎線の山川駅)

    JR九州が収支を公表した区間のうち、最も赤字の悪化幅が大きかったのが指宿枕崎線の指宿~枕崎間。19年度の3億5400万円より47.5%多い5億2200万円の赤字を出している(写真は指宿枕崎線の山川駅)

  • JR九州が収支を公表した区間のうち、最も赤字の悪化幅が大きかったのが指宿枕崎線の指宿~枕崎間。19年度の3億5400万円より47.5%多い5億2200万円の赤字を出している(写真は指宿枕崎線の山川駅)

九州新幹線は利用半減、幹線も3割減

   路線の利用状況は、1日1キロあたりの平均利用者数(輸送密度)でカウントする。とりわけ減少幅が大きかったのが九州新幹線(博多~鹿児島中央)で、19年度は1万8445人だったものが20年度は8235人と、55.4%減少。県境をまたぐ移動が減ったことが影響したとみられる。

   在来線も大幅に減少。鹿児島本線(門司港~八代、川内~鹿児島)では、3万3740人が2万3187人に、31.3%減少している。日豊本線(小倉~鹿児島)は8638人が5448人と、36.9%減った。

   これらの路線のうち、2000人未満と利用が少ない線区については収支も公表された。公表の対象になったのは19年度より4区間多い14路線24区間。ただ、そのうち肥薩線の八代~人吉など5区間は豪雨による運休区間があるため公表が見送られ、実際に公表されたのは19区間だった。19年度と比較可能な15区間のうち、14区間で輸送密度は減少し、12区間で収支が悪化した。

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