余暇が多すぎても人は不幸のような状態に陥る、余暇が多い時に幸福度を上げるポイントは?

GIGAZINE
2021年09月10日 21時00分
メモ



外食したりお手伝いさんを雇って「自分の時間を買う」ことで人はより幸せになれるという調査結果が2017年に発表されていますが、自由時間が多すぎても人の幸福度は下がってしまうことがわかっています。新たな調査結果では、なぜ自由時間が多すぎると人は幸せを感じづらくなるのかや、自由時間が多くても幸福度が下がらないためのポイントが示されました。

Having too little or too much time is linked to lower subjective well-being. – PsycNET
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspp0000391

Too much free time may be almost as bad as too little: Using excess discretionary time on productive activities can help bolster well-being — ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2021/09/210909124451.htm

研究チームはまず、 アメリカ国民の仕事・育児・ボランティアなどへの参加時間を測定したAmerican Time Use Survey(アメリカの時間使用調査)の2012年から2013年までのデータを分析しました。この調査の参加者2万1736人は「1日24時間をどのように過ごしたのかというデータ」と「幸福に関するアンケート回答」を提出しました。データを分析したところ、人の幸福の度合は自由時間が増加するにつれ上がっていったものの、2時間を超えると変化が横ばいになり、5時間を過ぎると下落し始めることが示されたとのこと。幸福の増加と下落、いずれについても相関性は「統計的に顕著」だったと研究チームは示しています。

加えて、研究チームは1992年から2008年における「National Study of the Changing Workforce(変化する労働力に関する全国調査)」の参加者1万3639人のデータを分析。調査において被験者は「平日、どのくらいの自由時間がありますか?」といった余暇に関する質問を受けるとともに、生活満足度に関する質問で幸福が測定されました。この調査でも、ある一点までは自由時間の多さと幸福の度合が正の相関を示すものの、その一点を超えると相関しなくなると示されたとのこと。


上記2つの分析を踏まえ、研究チームは6000人を対象に2つのオンライン実験を実施しました。

1つ目の実験で、被験者には「6カ月間にわたり、1日あたり数時間の自由時間を与えられたこと」を想像してもらいました。この時、それぞれの被験者には1日15分という「少ない自由時間」、1日3.5時間という「適度な自由時間」、1日7時間という「多くの自由時間」がランダムに割り当てられ、「楽しみ、幸福、満足をどの程度体験できるか」の報告を求められました。結果、「少ない自由時間」と「多くの自由時間」のグループは「適度な自由時間」のグループに比べて幸福度が低いと報告したとのこと。「少ない自由時間」を割り当てられた人はよりストレスを感じ、「多くの自由時間」を割り当てられた人は「生産性が低い」と感じることから、幸福度が低くなったそうです。

2つ目の実験では、それぞれの被験者に「適度な自由時間(3.5時間)」と「多くの自由時間(1日7時間)」を想像してもらった上で、自由時間の過ごし方について「生産的な方法(運動・趣味・ランニング)」もしくは「非生産的な方法(テレビ・インターネット)」が指定されました。すると、非生産的な方法で時間を過ごす人は自由時間が多いほど幸福の度合が下がっていった一方で、生産的な方法で時間を過ごす人は、自由時間が多くても幸福の感じ方が「適度な自由時間」のグループと同じと示されました。


研究を行ったウォートン・スクールのマーケティング准教授であるMarissa Sharif氏は「1日の全てを自分の裁量で決められる自由時間にすると、不幸に似たような状態になる可能性があります。やりたいことのための時間は適度にしてください。また、もし退職後や休職中で過度の自由時間がある場合には、目的をもって時間を過ごすことで利益が得られると私たちの研究結果は示しています」とコメントしました。

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2021年09月10日 21時00分00秒 in メモ, Posted by logq_fa

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