AIによって生成された人間の画像は「瞳孔の形」で区別できる

GIGAZINE



近年AIを用いた画像生成技術が飛躍的な進歩を遂げており、実在しない人物の顔写真がSNSなどで大きな問題を引き起こしています。こうした状況の中、アメリカの研究チームが現行のニューラルネットワークで生成された人間の画像は「瞳孔の形」で区別できるという研究結果を発表しました。

[2109.00162] Eyes Tell All: Irregular Pupil Shapes Reveal GAN-generated Faces
https://arxiv.org/abs/2109.00162

近年は敵対的生成ネットワーク(GAN)と呼ばれる人工知能アルゴリズムの発展によって、実在しない人物の顔写真を簡単に作成できるようになった結果、AI生成された顔写真をプロフィールに用いるボットアカウントが急増。こうしたボットアカウントは詐欺などに用いられているため、大きな社会問題となっています。

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こうしたGANで生成された画像について、新たに「瞳孔の形状で区別できる」という論文が発表されました。この論文によると、一般的に人間の瞳孔はきれいな円形をしていますが、GANで生成された瞳孔は不完全な円形になっているとのこと。以下の画像は左側が実在の人物の画像、右側がGANで生成された画像となっており、左側の画像では瞳孔がきれいな円形となっていますが、右側の画像では瞳孔がいびつな形状をしている上に、左右の目で瞳孔の形に差異が生じていることが見て取れます。


瞳孔は顔の角度によっては楕円形に見えるため、研究チームは瞳孔の形状を自動的に抽出して楕円形かどうかを評価するプログラムを作成。このプログラムを実在する人間に対して適用したところ、以下のようにいずれも0.90以上という高いスコアが得られましたが……


GANで生成された人間の場合は、いずれも0.90未満という低いスコアが得られました。これは瞳孔が楕円形かどうかを数値化することで、GANで生成された画像を判別できるという可能性を示唆しています。


なお、感染症などの眼病を患っている場合は瞳孔がいびつな形状となり得る他、目が一部隠れている場合は判定に失敗する可能性があると論文では注記されています。

この論文を発表したアメリカ・ニューヨーク州立大学オールバニ校のHui Guo氏らは、GANで生成された人間の瞳孔の形状が崩れる理由について「生理学的な制約が存在しないことが原因です」と指摘しています。

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