準備もせずにいきなり現地に行き、あとは地元の人に頼りきって旅する企画。今回は神奈川県です。
地元の人が毎日見ている景色を見ることができました。マグロが美味しかったです。
※これまでいろいろな場所で取材をした記事を読めば誰もが知ったかぶりできるはず。「知ったかぶり47」は、デイリーポータルZと地元のしごとに詳しいイーアイデムとのコラボ企画です。
いわば本当の地元です
地元の人に頼り切って旅をする企画、今回は神奈川県。
じつは僕がいま住んでいるのがまさに神奈川県ということで、まずは地元の人として、おすすめの場所を紹介したい。
それがこちら。
茅ケ崎市美術館
写真の僕が寒そうなのはこの日、めずらしくみぞれが降っていたからだ。
「めずらしく」というのも、僕が住んでいる茅ケ崎あたりは本当にめったに雪が降らない。都内とか横浜あたりまで雪が降っていても、海沿いまでは雪雲がやってこないのだ。
で、茅ケ崎市美術館である。僕はこういう地元に根差した美術館や科学館、動物園みたいな施設が好きで、以前住んでいた横浜でも動物園の年間パスを買ってよく行っていた。
巨大な美術館を一日かけて歩くのも好きなんだけど、どちらかというとこぢんまりした美術館に、好きな時に好きなだけいたい。
そういう点で近所にあるこの茅ヶ崎市美術館は最高なんだけど、ひとつだけ残念なことがあって、僕の好きな美術館のカフェが現在お休み中なのである(取材は1月後半でした)。美術館をぶらぶら見たあとにコーヒーとアイスを食べて帰る、それ以上の贅沢があるだろうか。
ゆっくりと絵なんかを見た後は、なんだか生まれ変わったような気分になるから不思議である。
この日も巨大な油絵の前で長い時間吸い込まれそうな感覚を味わった後、ふわふわと寒い冬へ出てくると、やはりそのへんにあるものすべてがハイレベルな芸術作品に見えた。
僕はこういう視点が変わる経験が好きで、映画を見たり本を読んだりするのも、たぶん同じような理由なんだと思う。音楽聴きながら散歩するのもいいですよね。
横浜駅出口多い問題
もう一つだけ、神奈川県民として見てもらいたいものがあるのでお付き合いください。
それは横浜駅である。
横浜駅にはJR、相鉄線、横浜市営地下鉄、東横線、みなとみらい線、京急線の6路線が乗り入れている。
この時点ですでに自分はどこから来てどこへ行こうとしているのかわからなくなるのだけれど、さらに横浜駅には出口が大量にあって人を惑わす。
よく言われていることかもしれないが、横浜駅には「西口」「東口」のほかに「きた西口」「きた東口」があり、追い打ちをかけるように「みなみ西口」と「みなみ東口」がある。
僕はすでに10年以上横浜駅を乗り換えに使っているのだけれど、覚えた頃にまたあたらしい工事が始まったりするので、もう理解するのをあきらめた。結果、いまでも間違えるけどもういい。無抵抗主義である。
そんな達観した心で複雑な駅構内をくぐりぬけ、間違えて出てきた「きた東口」では地上も複雑なことになっていた。
よく新宿駅が広すぎてわかりにくい(わかりにくいですよね)とか、渋谷駅が魔窟(魔窟ですよね)とか言われているが、僕にしてみると横浜駅ほどカオスな空間もないと思う。
他の複雑駅は、複雑な状況をなんとかしてわかりやすく整理して、お客さんを迷わせずに導こうという意思が感じられるが(それが成功しているかどうかは別として)、横浜駅には「わかんなかった?ごめん!そんじゃまたね!」みたいな明るい投げやりさを感じるのだ。これはなんだろう、県民性だろうか。
電車が足の下を通る青木橋
カオスな横浜駅構内を抜け出してしばらく歩くと、青木橋という橋がある。
ここは足の下を通る電車たちをプラレール感覚で眺めることができる特等席なのである。
ほかにも「みなみ西口」あたりもなかなかの迷宮ぶりなのであのダイナミックさはぜひ足を踏み入れてもらいたい。
意図しなかった場所から出てきても、それを楽しめるようになってくるとあなたはもう上級者といえる。
最後にもう一つだけ、横浜駅を日々使っている身として言っておきたいことがある。
それがこれだ。
JR横浜駅には1番線と2番線がない
JR横浜駅のホームはいきなり3番線から始まるのだ。
よく同じホームを前後で1番線2番線とわけていることがあるがそうではなく、1番線と2番線はどこにもない。もちろんそれについての説明もない。
この謎についてははまレポさんが調べてくれているので読んでください(こちらの記事)。長年の謎が解けますよ。