現在開幕中の「東京2020パラリンピック競技大会」で、日本選手が表彰台に上がる際に着用している”あの”赤いジャケット。
「赤」といっても日本古来から親しまれてきた朱色に近い、神社の鳥居や朱肉を思わせる鮮やかな赤です。
このポディウムジャケットのコンセプトは、まさに日本の伝統美と先端技術をかけ合わせた「Japonism(ジャポニズム)」なのだとか。
OLD×NEWの斬新な取り合わせについて、開発したASICSにちょっと聞いてみました。
風を通す特殊なメッシュ構造
東京の真夏はと、に、か、く、蒸し暑い。そしてその酷暑の中で世界最高レベルの競技を繰り広げる選手たちにとって、いかに涼を取るかは死活問題です。
そこで、ポディウムジャケットは複雑なメッシュ構造により、効果的に熱を逃すように作られているんだそうです。しかも見た目もかっこいいという一石二鳥。
遠目ではわかりにくいですが、明かりに透かしてみるとこのように。かなり目の粗いメッシュ構造になっています。
ボディサーモマッピングに基づき、体のどの部分の体温が上がりやすいか、汗をかきやすいかを化学的に検証し、その部分に粗いメッシュを配置することで空気の流れを最大化しているのだとか。
真夏に長袖のジャケット?と当初はふしぎに思ってたんですが、着てみると案外風通しがよく、ちょっと走ったぐらいでは熱がこもりません。屋内と屋外の寒暖差からも守ってくれる、ハイテクな羽織物といった印象です。
「新感覚ファスナー」を使用
ファスナーにはユニバーサルデザインが採用されています。ファスナーの合わせ目には従来の蝶棒と箱でなく、丸い形の凸と凹がついてます。これをパチッと合わせるだけでファスナーを閉じられるのは、実際使ってみてすごく便利でした。こういうデザイン、もっと普及してくれたらいいのに。
リサイクル糸がつなげる想い
もうひとつ、今回のオリンピック・パラリンピックに採用されたオフィシャルウェアの生地は、リサイクルされた糸で紡がれているのだそうです。
「ASICS REBORN WEAR PROJECT」には一般の方から寄せられたウェアはもちろんのこと、著名なスポーツ選手がかつて使っていた思い出深いスポーツウェアも含まれているのだとか。
選手たちがこのジャケットに袖を通すまでに、一体どれだけの努力が積み重ねられたのでしょう。作る側にも、着る側にとっても、特別な意味を持つジャケットなんですね。
ポディウムジャケットについてもっと知りたい方は、こちらの動画もどうぞ!
Reference: ASICS
Photos: 山田ちとら