【やじうまミニレビュー】定番なるか!? Crucial初のPCIe 4.0対応SSD「Crucial P5 Plus」を性能検証

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Crucial P5 Plus

 マイクロンジャパンから、CrucialブランドのM.2 SSD新モデル「Crucial P5 Plus」が登場した。CrusialブランドのSSDとして初となるPCI Express 4.0対応を果たしており、リード最大6,600MB/s、ライト最大5,000MB/sと、従来モデルの「P5」から大幅な高速化を実現。もちろんハイエンドモデルとして位置付けられる。

 今回、容量1TBモデルを試用する機会を得たので、仕様や性能をチェックしていこう。2021年8月下旬の発売を予定しており、店頭予想価格は2万4,000円前後の見込み。

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Crucialから待望のPCIe 4.0×4 SSDが登場

 これまでのCrucialのM.2 SSDハイエンドモデルは、PCI Express 3.0対応の「P5」だ。

 P5が登場したのは2020年6月で、すでに競合製品ではPCI Express 4.0(PCIe 4.0)対応モデルも登場済みだった。当時はまだPCIe 4.0対応PCの普及率がそれほど高くなかったとはいえ、それ以降メジャーブランドからも続々とPCIe 4.0対応製品が登場しており、ハイエンドモデルとして競合製品に見劣りしていたのも事実だ。

 そういった中、PCIe 4.0対応で先行していたAMDに1年以上遅れたものの、2021年3月に登場したIntelの第11世代CoreプロセッサシリーズがPCIe 4.0対応を果たしたことで、PCIe 4.0対応PCの普及が加速する下地ができてきた。

 そこで、Micronも満を持してPCIe 4.0対応SSD「P5 Plus」を投入したと考えていいだろう。

 P5 Plusの主な仕様は表1にまとめた通り。フォームファクタはM.2 2280で、接続インターフェイスはPCIe 4.0×4、プロトコルはNVM Express 1.4。NANDフラッシュメモリには、Micronの176層TLC 3D NANDフラッシュメモリを採用する。容量は500GB、1TB、2TBの3モデルを用意。

P5 PlusはCrucialブランド初のPCIe 4.0対応SSD。フォームファクタはM.2 2280、インターフェイスはPCIe 4.0×4、プロトコルはNVMe 1.4に対応

1TBモデルでは裏面にはチップを搭載していない

【表1】Cricial P5 Plus SSDの主な仕様
容量 500GB 1TB 2TB
フォームファクタ M.2 2280
インターフェース PCI Express 4.0 x4
プロトコル NVMe 1.4
NANDフラッシュメモリ Micron 176層 TLC 3D NAND
コントローラ Micron自社コントローラ
DRAMキャッシュ LPDDR4(容量非公開)
シーケンシャルリード 6,600MB/s
シーケンシャルライト 4,000MB/s 5,000MB/s
ランダムリード 36,000IOPS 63,000IOPS 72,000IOPS
ランダムライト 70,000IOPS
総書き込み容量 300TBW 600TBW 1,200TBW
保証期間 5年

 コントローラは、P5同様に自社開発の独自コントローラを採用。仕様は非公開だが、PCIe 4.0×4/NVMe 1.4対応を果たすとともに、NANDフラッシュメモリの一部をSLCキャッシュとして使用し書き込み性能を向上させる「Dynamic Write Acceleration」や、温度に応じて動作をコントロールする「適応型熱保護機能」、全領域に対するデータ暗号化機能などの機能を備えている。

 アクセス速度は容量によって多少の差はあるが、1TBモデルではシーケンシャルリードが最大6,600MB/s、シーケンシャルライトが5,000MB/s。ランダムアクセス速度はリード63,000IOPS、ライト70,000IOPS。

 競合のPCIe 4.0対応ハイエンドSSDと比べると速度は控えめといった印象だが、従来モデルのP5と比べるとリード、ライトとも大幅な速度向上を実現している。

 また、MicronはP5 Plusについて、ゲーム、動画編集、コンテンツ作成、高い処理能力を必要とするエンジニアリングアプリケーションなどの負荷の高い用途で高い効率を発揮すると説明しており、PCIe 4.0対応SSDとして最大限の速度を追求するのではなく、実利用に即した速度と信頼性のバランスを重視した設計になっていると考えられる。

 このほか、総書き込み容量は500GBモデルが300TBW、1TBモデルが600TBW、2TBモデルが1,200TBW。保証期間は全モデル5年となっている。

 今回試用した1TBモデルでは、チップは基盤表側にのみ実装。基盤表のラベルを剥がしてみたところ、コントローラチップと、容量8Gbit(1GB)のキャッシュ用DRAMチップ、NANDフラッシュメモリチップが2個実装されていることを確認した。

ラベルを剥がすと、コントローラチップ、DRAMチップ、NANDフラッシュメモリチップ2個などを確認できた

右がMicron製の独自コントローラチップ。コントローラ左には、キャッシュ用のMicron製LPDDR4-4266チップ「MT53D512M16D1DS-046 IT:D」を搭載。容量は8Gbit(1GB)

Micron製のNANDフラッシュメモリチップを2個搭載。176層TLC 3D NANDで、容量は1チップあたり512GB。

トップクラスではないがPCIe 4.0 SSDとして申し分ない速度を発揮

 ここからは、ベンチマークテストを通して速度をチェックしていく。利用したベンチマークソフトは、「CrystaDiskMark 8.0.2」と「ATTO Disk Benchmark V4.01.0f2」、「PCMark 10」の3種類。同時に従来モデルとなるP5 1TBでも同様のテストを行なったので、そちらの結果も掲載する。

 テスト環境は以下にまとめた通りで、テスト時にはSSDにマザーボード付属のヒートシンクを装着し、ヒートシンクに空冷ファンの風がしっかり届くようにエアフローも考慮した状態で計測している。また、NVMeドライバは、P5 PlusではWindows 10の標準NVMeドライバを、P5ではCrucialが提供するNVMeドライバをそれぞれ利用している。

【表2】テスト環境
マザーボード ASRock Z590 Steel Legend WiFi 6E
CPU Core i5-11400
メモリ DDR4-3200 32GB
システム用ストレージ Samsung SSD 950 PRO 256GB
OS Windows 10 Pro

CrystaDiskMark 8.0.2の結果

 まずCrystaDiskMarkの結果から。こちらは設定を「NVMe SSD」にしたうえで、データサイズ1GiBと64GiBで計測した。

 結果を見ると、シーケンシャルアクセス速度はリード、ライトとも公称同等以上の速度が記録されている。ランダムアクセス速度も公称同等以上で、申し分ない速度が発揮されているのはもちろん、従来モデルのP5と比べても大幅な性能向上が確認できる。

P5 Plus 1TB

データサイズ1GiB

データサイズ64GiB

データサイズ1GiB

データサイズ64GiB

ATTO Disk Benchmark V4.00.0f2の結果

 また、ATTO Disk Benchmarkの結果は、CrystaDiskMarkとは異なり、リード、ライトとも公称の速度に届いていないが、P5よりも安定して速度を大きく上回っている。

 ただし、いずれの結果も、競合のハイエンド製品と比べてやや劣る結果となっている。Crucialのハイエンドモデルとして位置付けられることを考えると、少々物足りなさを感じる。

P5 Plus 1TB

PCMark10 Storage Full System Drive Benchmarkの結果

 続いて、PCMark 10の「Storage Full System Drive Benchmark」の結果だが、こちらもP5の結果を大きく上回っている。

 PCMark 10のStorage Benchmarkは、Windows環境でのアプリケーション動作やファイルコピーなど実利用を想定した内容のテストが行なわれるため、実利用時の快適さを示す指標となる。今回は競合製品と直接の比較は行なえなかったが、P5 Plusの結果は非常に良好で、P5 Plusの実利用時の快適度はかなり優れると考えていいだろう。

発熱のチェック

 続いて、発熱もチェックした。こちらは、P5 Plusにヒートシンクを装着し空冷ファンのエアフローが届く状態と、ヒートシンクを外し空冷ファンのエアフローが届かない状態の双方で検証。温度やアクセス速度の推移は、ATTO Disk Benchmarkを実行しつつ、ハードウェア情報調査ツール「HWiNFO64」を利用して計測した。

 ヒートシンクを装着しエアフローも確保した状態では、温度は最大でも50℃付近で推移し、速度も安定している。それに対しヒートシンクを外してエアフローのない状態ではどんどん温度が上昇し、テスト開始後135秒ほどで75℃を超え、150秒ほどで最高で77℃まで達した。そして、そのあたりから熱保護機能が働き、リード、ライトとも速度が大きく低下していることが分かる。

 こういったことから、P5 Plusで最大限の性能を引き出すには、ほかのハイエンドSSD同様に、ヒートシンクの装着やエアフローの確保などによる熱対策が不可欠と言える。

ヒートシンクを装着しエアフローを確保した状態。温度は最大でも50度付近で推移し、速度も安定

ヒートシンクを外しエアフローもない状態。温度が75℃を超えたあたりから熱保護機能が働き、リード、ライトとも速度が大きく低下した

PCIe 4.0×4対応SSDのスタンダードとして人気を集めそう

 見てきたように、P5 Plusは従来モデルからの大幅な速度向上を実現しており、はっきりと進化を確認できた。ただ、競合のPCIe 4.0対応SSDではより高速な製品も存在しており、P5 PlusがPCIe 4.0対応SSDとしてトップクラスの速度を発揮するわけではない。

 とはいえ、PCMark 10のStorage Benchmarkの結果は、Micronが説明する速度と安定性のバランスを重視した設計という点を裏付けており、実利用では競合のPCIe 4.0 SSDと比べても遜色のないの快適さが得られるはずだ。

 予想実売価格は、500GBモデルが1万4,000円前後、1TBモデルが2万4,000円前後、2TBモデルが4万8,000円前後と、こちらも十分な競争力がある。そのうえで、自作ユーザーから絶大な支持を集めるCrucialブランドの安心感もあり、従来モデル同様に人気を集める存在となりそうだ。

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