ネットにこんな記事がありました。
怒るよりも投票へ サイゼリヤ社長が従業員に呼びかけ – 朝日新聞デジタル
サイゼリヤ社長の発言を要約すると、
「冷静に考えてみよう、こういう状況を作ったのは政治家だけなのか、実は我々にも責任があるのではないか?怒るよりも投票に行こう」
とても素敵な社長さんですね。
もしかしたらサイゼリヤの間違い探しゲームには、一度冷静に考えてみようというメッセージが込められているのかも知れません。
小学生の頃から選挙が好きだった
写真AC
読者の皆さん、選挙ってどうしてますか?
「行かなきゃいけないとは思ってるんだけどねえ…」
大丈夫です。日本の場合、投票は義務ではなく、権利です。だから行くか行かないかは自由です。
ちなみに僕は選挙が好きです。
小学生の頃、登下校時の街中に選挙ポスターが沢山あるなぁと思い、友達と誰のポスターが一番多いかを数えていました。◯◯がトップだ!とゲーム感覚で楽しんでいたものです。
そして、選挙速報の番組を目にすると、「あ!ポスターの人だ!」となり、それから選挙というものに興味を持ち始めました。
それ以降、選挙特番でどの局が最初に当確を出すのか?とか、なぜ現状2番手の人が先に当確になるのだろうか?比例のドント式ってなんだ?等々、色々調べるとどんどん選挙が面白くなり、政策以前にイベントとして選挙が好きでした。
もちろん、今は立候補者の考え方などを自分なりに調べてから投票します。そして思うのが、「投票しても何も変わらないなぁ…」です。
そりゃ投票率も下がっていきますよ。
自分自身の生活に変化が感じられないので、選挙が身近な存在ではない。頭では行かなきゃとは思っているんだけど、身体がそっちに向かない。何回目かの緊急事態宣言と同じです。
やっぱり、行きたくなる選挙にしないと。
という事で、今回はサイゼリヤの社長さんの「怒るよりも投票に行こう」という発言を元に、「あなたはどんな選挙だったら行きたくなりますか?」について考えていきたいと思います。
投票率を100%に近づけるためには
ちなみに投票率100%の選挙が究極の理想。投票率が上がる事に文句を言う人はいない筈。(と思いたい)
民主主義国家として、それで物事が決まるなら、その上で生きていく。そのためにまずは投票率をできる限り100%に近づけたい。
投票に行きたくなる要素を僕なりにまとめてみました。
- 投票をする事で、色々変化を感じる事が出来る
- あまりに面白くて参加したくて仕方がなくなる
- 自分にうまみがある
今回はこの3点で提案、アイディア出しをしていきます。
「変化を感じる事が出来る選挙」
共同通信社
僕が取り入れたいと思っているのは、台湾で導入された新しい投票方式「クアドラティックボーティング」です。これは落合陽一さんの番組「ズームバック×オチアイ」(NHK)で台湾のオードリータンさんとの対談をした回で紹介されていたもの。
オードリー・タンの提案する「新しい民主主義」を考える
– 福原将之の科学カフェ
詳しくは上記のサイトなどで調べていただきたいのですが、1人1票ではなく、1人が99ポイント持っていて、1票投じるのに1ポイント、同じ者に2票投じる時は4ポイント、3票の時は9ポイントと、同じ者に複数票を投じるには2乗してポイントを使います。
同じ者には最大9票投票出来ますが、9×9で81ポイントが消費され、99−81=18ポイント余ります。
全ポイントを同じ者には投票出来ず、必ず複数の者に投票をしなくてはならない仕組みになっており、平均で4~6の者に投票をする事になるそうです。
これにより、意思の多様化が生まれ、二極化による敵対意識がなくなる可能性が増え、より民意にそった結果になると。
自分の意見が0か100じゃない時もありますよね。40ぐらいの時もある。というか、大半の人がそうである気がする。この方式を是非日本でもやってみたい!
ちなみに台湾では、携帯電話からでも参加する事が出来るので、気軽に投票が出来るとの事。コストも最小限ですみますね。
そして数年に一度の投票では、なかなか投票方式にイノベーションが生まれない。もっと軽いものからどんどん投票をやった方が良いとオードリータンさんはおっしゃっていました。本当にそう思います。もっと気軽に投票したい!
「あまりに面白くて参加したくて仕方がなくなる」
写真AC
数年に一度の選挙では投票方式にイノベーションが生まれないと書きましたが、もっと選挙は面白く出来るのではないでしょうか。
ゲームも面白くてハマると、より楽しみたいと攻略本を読む。野球もハマってくると、選手名鑑を買って読む。
政治も同じで良いと思います。まずは気になって、面白いと思ってもらう事が大事です。なんなら4年に一度のオリンピックを盛り上げるのは日本のお家芸。そんなにスポーツに興味がない人でもその時だけは盛り上がる。数年に一度の選挙だって盛り上げられるはずです。
オリンピックのエンタメ化には問題点も多々あり、過渡期である事はまた別問題として置いておき、オリンピックがなぜ盛り上がるのかと言うと、事前のあおりが抜群に上手いから。
この選手の能力のここが凄い。そしてここに至るまでの人生がドラマティック。そんな◯◯選手が金メダルに挑みます!そりゃ盛り上がりますよ。
しかし、現状の選挙は事前のあおりが非常に難しい。池上彰さんの選挙特番はエンタメ化されていてとても面白いですが、あれも投票締め切り後のオンエア。番組を見ていると「こういう事は事前に知りたかった!」と切に感じるし、見てから投票に行きたかったと思うのです。
今の選挙をオリンピックに例えると、試合結果を発表してから、勝利者インタビューと敗者のインタビューを見させられているようなもの。でもスポーツが感動するのは、その試合やそこまでのドラマを見たからで、選手をより応援したくなるには、いかに事前にエンタメ化するかが肝ではないのでしょうか。こういうの日本は得意だと思うんだけどな。
公示された後の報道が難しければ、その前に立候補予想リストから勝敗予想をスポーツと同じ様にやれば良いんです。
野球やサッカーの選手名鑑の様に、前回当選した政治家の、前の選挙で掲げたマニフェストの達成率レビューとか読みたいし、競馬予想の様に、立候補者の能力を五角形で有識者に数値化してもらいたい。
そして投票率によって議席の分配が変動しても面白い。なんなら投票率が低かった選挙区からの議席数が減るだけでも良い。議席定数が少なくなったって良いじゃない。
これなら投票に行かない人の民意も反映される。なんなら投票率が高かった都道府県には多額のお金が支給されれば良い。オリンピックだって、頑張った所にお金が行くわけでしょ。
これなら各都道府県も広報を頑張る。誰だってニンジンがぶら下がっている方が頑張れますよね。
さらに若い世代の民意がより反映される様に、世代別に投票を分けて、州別のアメリカ大統領選みたいにその世代総取りみたいな感じでポイント制にすれば、より未来の為の議員が生まれるかも知れない。
選挙制度を政治家自らが決めてるんだから、そりゃ自分が勝った時と変わらない仕組みになりますよね。選挙制度だけを変更する人達を作って、その人達の選挙をしてみたい。
F1もファンが盛り上がる様なレギュレーションを随時変更しながら盛り上げていく。
ゲームアプリのやり方やスポーツエンターテインメントのやり方を参考に出来るなら、選挙でやりたい事が山ほどあります。
「自分にうまみがある」
写真AC
アメリカの「ワクチン接種をしたら金品等がもらえるキャンペーン」みたいに、投票にいったら、何かもらえたって良くないですか。5000マイナポイントがもらえたって良いと思う。
秋には衆議院選挙があります。投票に行かないと何も変わらないし、行っても何も変わらないかも知れない。
でもこれを機にそれぞれが色々と選挙について考えてみる事で、未来が変わるかも知れません。
皆さんも是非、「自分ならこんな選挙方式にする」という事を考えてみたらいかがですか?
長所短所は後で考えれば良い。アイディアは出さないと何も生まれないのです。
著者プロフィール
土屋礼央(つちや れお)
1976年生まれ、東京都国分寺市出身。RAG FAIRとして2001年にメジャーデビュー。 2011年よりソロプロジェクト「TTRE」をスタート。FM NACK5「カメレオンパーティー」TBSラジオ「たまむすび(木曜パートナー)」NHKラジオ第一「鉄旅・音旅 出発進行!~音で楽しむ鉄道旅~」などに出演中。主な著書に「ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。」「FC東京のために200兆円で味スタを満員にしてみた」「なんだ礼央化―ダ・ヴィンチ版」など。