豪雨による“都市浸水”をリアルタイムに予測するシステム「S-uiPS」公開へ、東京23区が対象~早稲田大などの研究グループ 

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S-uiPS(Sekine’s urban inundation Prediction System:スイプス)

 早稲田大などの研究グループが開発したリアルタイム浸水予測システム「S-uiPS(Sekine’s urban inundation Prediction System:スイプス)」が、限定ユーザー向けに先行公開された。

 豪雨によって発生する都市の浸水をリアルタイムで街区レベルまで予測するシステムで、約20分先の状況までを動画で表示する。道路、下水道、河川などの都市インフラや土地利用状況など、関連する情報を入力し、コンピューター空間上に都市を再現したうえで、そこへ実際の雨が降ったときに生じる雨水の流れや浸水の状況を力学原理に基づいて計算する。また、予測計算の結果は動画情報として表示・配信する。

 使用する都市インフラ関連のデータは、道路や下水道、都市河川のネットワークと関連付帯施設(貯水施設、下水道のポンプ場、水再生センターなど)の現状を忠実に捉えられるデータと、都市の土地利用状況、建物の建ぺい率・容積率など。降雨データには、250mメッシュの空間分解能力で1分ごとに得られた観測雨量として提供される国土交通省の「XRAIN」と、気象庁による「高解像度降水ナウキャスト」の降雨予報データを使用する。

 同システムでは文部科学省のデータ統合・解析システム「DIAS(Data Integration & Analysis System)」のリアルタイム・データ利活用プラットフォーム基盤を利用している。

 S-uiPSは、早稲田大学理工学術院の関根正人教授と東京大学地球観測データ統融合連携研究機構の喜連川優特任教授、生駒栄司特任准教授、山本昭夫特任助教、および一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)で構成される研究グループによって2019年に開発され、データベースの点検・修正や計算コードの確認、計算精度の検証など、これまで社会実装に向けて準備が進められてきた。

 今年9月1日からは一部ユーザーに限定して先行公開しており、ユーザーからの意見をもとにさらなる修正・検証を実施。9月下旬に一般公開へ移行するとしていたが、10月4日現在、まだ一般公開はアナウンスされていない。

 一般公開後もユーザーから寄せられた意見や情報を参考に修正・検証を続けていく方針で、子どもから高齢者まで幅広い年代が直感的に浸水の危険を察知できるような画像の分かりやすさを追求する。なお、現時点では東京23区全域が対象となっており、今後はこれをさらに拡大することを検討している。

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