近所のスーパーの野菜売り場には産直コーナーがある。
産直コーナーは筆者が一番好きな売り場。なぜなら新鮮な野菜が安く手に入るし、時々見たこともないような珍しい野菜が入っていることもあるから。
ところが今回の産直売り場は一味違った。絶対にダメだろ~! と言いたくなるような商品が猫をかぶって鎮座していたのだ。
・ある日の買い物中……
その野菜に気が付いたのは、彩りを求めて赤や黄色の野菜を探していたから。
「パプリカかな?」と思いながら手に取った小袋には『その他の野菜』というシールが貼られていて、野菜の名称は書かれていなかった。
が……
コレはどう見てもハバネロだろ!!!!!!!!
ハバネロと言えば2007年まではギネスブックに登録されていた、30万スコヴィルの辛さを持つほどの超激辛唐辛子(タバスコで2500~5000スコヴィル)。今でこそジョロキアなどの更なる激辛唐辛子が登場しているが、2000年代の激辛ブームの火付け役であった。
なぜそんな劇物が産直コーナーの片隅でこんな扱いを受けているのかはわからないが、辛い物好きとしてはスルーするわけにはいかない。即購入してやったぞ!
・洗って食べてみる
うん、やっぱりどう見てもハバネロだわ。
とりあえず生で食べてみることにした。
辛みの強い唐辛子を食べると大幅に体調を崩すことがあるためオススメはできない。以前ブート・ジョロキアという激辛唐辛子を丸ごと食べて病院へ搬送されそうになった男もいるぐらいだ。どうしても食べたい場合は自己責任で、軽い気持ちでは挑戦しないように気を付けて欲しい。
ということで辛い物を食べる前に大切なのが事前準備。コップ一杯の牛乳を飲んでおくことによって胃の粘膜を保護することができる、らしい。
食中の辛さを和らげるのにも有効なので、辛い物と牛乳は必ずセットで用意しよう!
また辛みが強い唐辛子は肌荒れや炎症の原因となる。触れる際は必ず手袋と、目や鼻などの粘膜に触れることがないよう、髪の毛を固定しておくのがオススメだ。
では、いきます!
がぶっ
あれっ?
甘い!!!!!!
パプリカのような甘味が口の中に広がる。なんていうか……フルーティだ。ただし後味はピーマンのエグみだけを集めたような青臭さがあり、美味しいとは言い難い。
なぁんだ。ハバネロに似ているけど違ったのか。産直コーナーに激辛であることを伏せてハバネロを販売するなんて、そんなことあるわけがないか。
と、思った瞬間――
ぐっあ゛ぁあぁあああ!!!!!!
まるでゲリラ豪雨のような鋭さをもって、口の中・唇・舌を突き刺すような痛みが襲い掛かって来たのだ。食べてからおおよそ1分後である。そんな時間差攻撃があって良いのか!?
牛乳を口に含んだ瞬間は嘘のように痛みが引く。牛乳すげェ。が、飲み込んだ瞬間に再び鋭い痛みが走る。
痛みが引くまで30分ほどの格闘があり、その間は牛乳を飲む → 一瞬落ち着く→ 悶える → 牛乳を飲む → 一瞬落ち着く→ 悶える の流れをひたすらにループする羽目になった。さすがは元ギネス。舐めたらアカンな……。
・ハバネロを美味しく食べよう
さて。唇がまだジンジンするが、ここからはこのハバネロたちを美味しく食べてみよう。
生で食べた時に感じた通り、ハバネロには独特の甘みと青臭さがあるためあまり料理に向いておらず、ソースに加工して使われることが多いらしい。
ということで、今回はハバネロオイルを作ってみた! 材料はお好みの量のハバネロ、ニンニク、オリーブオイルのみ。作り方もシンプルだ。
その1:ニンニクはあらかじめみじん切りにしておいた。ハバネロを半分に切り、種とヘタを取り除く。唐辛子の辛みは胎座(ワタの部分)にあるため、好みに合わせて量を調整してほしい。
その2:ハバネロを細かく刻んでいく。
その3:オリーブオイルを200mlほど入れて火にかける。
その4:小さく気泡が出てきたらニンニクを加え、
その5:ハバネロも投入する。
その6:そのまま5~10分ほど火にかける。焦げてしまったら香りが悪くなるので、超弱火でOK! 火を通し切る必要はないぞ!
その7:粗熱を取ったら網で濾(こ)してビンに詰めれば完成。
完成したオイルをさっそく使ってみたところ……
刺激が強くて咳込んでしまった。炒め油としては絶対に使わない方がいいな。
パスタに絡めれば辛み十分で味も香りも最高! 料理のアクセントとしてはかなりオススメ。
もしも生ハバネロが売られているのを見つけたら、そのまま食べずに加工して食べるのがベストであることを覚えておいてほしい。
そして、ハバネロオイルは絶対に炒め油に使ってはいけない。筆者との約束だぞ。
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.