棒の先に荷物を下げて歩きたい(デジタルリマスター)

デイリーポータルZ

いったい君は、今までに 「棒の先に荷物をくくりつけた人」 を見たことはあるか。そして意気揚々と、葉っぱでもくわえながら歩くのを見たことがあるか。

私はない。ないよ。あるもんか。そんなバンカラの見事な見本のようなお方なぞ。

しかし漫画の世界や飛脚の世界では、当たり前の旅姿、こしらえ、のようである。見たことないけど、ちょっと憧れる、そういう姿ではある。ではさっそく試してみましょう。「棒の先の荷物を考える」。

2006年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

何に提げるか、何を持つか、それが問題だ

昔は上流階級は籠や馬で旅をし、庶民は 「棒の先に籠」 スタイルで旅をした、と何かで読んだことがある。いったい、そこで出てくるようなあの棒はなんなのだろう。なんなのだろうというか、たぶん木の切れ端、枝の類だろうか。あるいは刀とか。

でもうちは、木の切れ端や刀の置いてあるような住まいではない。

なので、「棒」 と認識できるもの全てを持ち、考えられる荷物やカバンを持ち、とある公園にやってきた。

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傘、エクササイズブレード、カーテンの下がってたつっぱり棒、寝袋など各種を広げ、取り合わせを吟味だ。
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近所の木材店で、自然の竹の棒だけは買ってこれた。200円。

さて、オーソドックスにまずはこの、最も 「棒らしい棒」 である竹に、女性の持ち歩きそうなアイテムを、バンダナでくくりつけることにしよう。

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手帳、財布、化粧道具、携帯、ipod、それに非常用に傘もね♪
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風呂敷がなかったので、より風呂敷っぽいバンダナを選んだが、ちょっとドロボウみたいだ。

総重量、1.3kg。重いか、軽いか。さておき、竹というものにはちょうど節がついているので、漫画のごとく最高の高さの節に留めることにする。そしてしょってみる。

……。

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見た目は理想の 「棒の先に荷物」 ですが。
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なんというか。
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イテテテテ。とにかく重い。
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で、ずれて肩に激突だ。
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うすうすわかっていたことですが

そう、何しろ 「重い」 のだ。

テコの原理でいうと、
「支点 (肩) を挟んで一方の棒に、支点からの距離m (この場合40cmほど) の位置に重さM (1.3kg) の荷物が吊り下がっているとき、もう一方の棒には距離n (30cm) の位置に手をかけている。これで釣り合う (水平になる) ように力 (N )を入れるとするなら、

    m×M=n×N

の関係があるので、

   40×1.3=30×N=52  N=約1.73kg が求められる。

その上、上に高く掲げようとするとその分の重みもプラスとなるので、普通に荷物を持つより1.5倍は重く感じているはずだ。

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撮影の古賀さんにも実感してもらう。水平で「重い!」

まあ、こんなに先っちょにくくりつけなきゃいい、って話なんですがね。やってみたかったのだ。

次は組み合わせをいろいろ変えて実験だ。

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家にあるものは、ダメだ

家のカーテンをひっぺがして持ってきた、このつっぱり棒。プラスチックで、いかにも荷物が滑りそうではあるが、さてやってみましょう。

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長さをくるくると調節して、と。
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重いことには変わりなし。 どんどん下がってくるし

わざわざgifアニメにしてみたが、する必要なかったな。

次、傘。これは一度は 諸兄もやってみたことがあるだろう。この持ち手は、荷物を引っ掛けるためのものでもあったのだ。

だいいち、短くて持ちやすい。「実験」などと大仰に言っているが、もう結論は出ている気がさっきからしている。でもまだ続ける。

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普通にやるぞ、これ今も。

エクササイズブレード。そう、真ん中を持ってブルブル震えさせ、トレーニングする、一時流行ったアレだ。うちに立てかけておいても、ときどきいきなり夜中にバターンと倒れたりする。つまりもう使ってないってことだ。

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ブルブル。

みんな、もう予想はついてると思うけど、さあ吊るしてみよう!

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土佐の一本釣りだ! 白鶴○(マル)!(すいません)
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でも持ち手に引っかかって、ちょうどいい位置ではある

ここからは間違った例を紹介します

上右の写真のように、納まるところに納まれば、このまま東海道を歩いていってもいいだろう。

となると、長旅だ。女性グッズだけでは終点、三条大橋までの旅は厳しいぞ。寝袋を持っていこう。

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竹に寝袋も。 Deuterの、「-2度」まで耐えられるシュラフだ!
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笑っているがとても重いぞ。

今度は荷物を入れるバッグにこだわってみたい。

ヴィトンではどうだろう。結婚式用のミニバッグでは。リュックなのにわざわざ棒に、ってのはどうだろう。

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LVMHに怒られそうだ。「棒の先につけるな!」って。でもこういう広告もいいんじゃないか?と開き直る。
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パーティーシーズンには、ちょっと目立つあしらいはいかが?
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提げずに、しょえ。
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もう棒の存在理由がない。
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本当にやってみたかったこと

さて、実験はあらかた終え、すっかり棒に慣れた私だ。格好もサマになってきた。

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学ランで行進 (学ラン提供:ライター三土氏)。
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鼻にはバンソーコー。何事も形から。
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「オレの行く手をさえぎるものは容赦しないぜ」
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「絶壁もなんてことはないさ」
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「腰がひけてるわけじゃない。これがオレのやり方なのよ」
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「だが時にはあきらめも肝心だ。自分を過大評価するのは間違いだぜ。降りよう」
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すごく疲れた。

「棒の先に荷物をつけて、鼻歌歌ってゲタはいて行進」にはちょっと及ばなかった。

無駄に疲れた気がする。

棒に荷物は、そのやりたい衝動はわかるが、費用対効果(何の費用だ) がよくわからない。

でもバンカラを気取れて満足だ。

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コンビニで買い物して出てきた人 (嘘です)。こんな人はいない。

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