アフガンのJICA職員を見捨てるな – 山内康一

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ついにタリバンが首都カブールを制圧し、アフガニスタンの政権が崩壊しました。タリバン政権ができれば、これまで外国勢力に協力していたアフガニスタン人、アフガニスタン人のジャーナリストやNGO活動家などが迫害を受ける恐れがあります。政治的迫害にとどまらず、生命の危険もあります。

タリバンはパシュトゥン人が主体なので、タジク人やウズベク人、ハザラ人などの少数派は迫害される恐れがあります。女子教育や人権擁護、報道の自由を守るために活動してきた人たちも危険にさらされるでしょう。さらに米軍や援助機関の現地スタッフとして働いていたアフガニスタン人にも危害が及ぶ恐れがあります。タリバン兵が民家を一軒一軒訪問して、住人の職業などを聞き取り調査しており、迫害のための下調べの可能性も高いです。

日本大使館、JICA事務所、JICAプロジェクト、日本のNGOのために働いたアフガニスタン人スタッフ(現地スタッフ)も政治的迫害を受ける可能性があります。JICAで働いていた現地スタッフから日本の外務省に対して、日本に避難するための一時滞在許可、あるいは、第三国定住の支援を依頼する嘆願書が出されています。

難民条約を批准している日本は、政治的迫害を受ける恐れのある難民を受け入れなくてはなりません。まして日本の外務省やJICAのために働いくれたアフガニスタン人スタッフが庇護を求めるのであれば、すぐにでも受け入れるべきです。仮に日本で受け入れるのが難しいとしても、近隣国への避難をサポートしたり、第三国定住の手助けをしたり、できることはあるはずです。

「命のビザ」の杉原千畝氏は外務本省の指示に反してユダヤ人難民の命を救いましたが、ある意味で当時の外務省は恥ずかしい判断をしました。今度こそ外務省は正しい判断をしてほしいと思います。

ここで日本政府のために働いてくれたアフガニスタン人スタッフを見捨てるようなことがあれば、日本の対外的イメージが損なわれ、ソフトパワーが低下します。国家としての威信の問題でもあります。米国、英国、フランス、デンマーク、韓国は、自国の援助事業に関わったアフガニスタン人スタッフの国外避難を支援しています。日本政府はすぐに日本大使館、JICAプロジェクト、日本のNGOのアフガニスタン人現地スタッフのうち希望者の国外避難を支援すべきです。

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