楽しみにしてたやーつ!
OnePlus共同創業者Carl Pei氏の新プロジェクトNothingの製品第1弾、ワイヤレスイヤフォンEar (1)。発表前からとても注目していたので、あれこれ言わずにさっそく米Gizmodoのレビューを見ていきましょう。
OnePlus共同創業者のCarl Pei氏が、OnePlus的アプローチで臨んだスタートアップ企業Nothing。フラッグシップ機能ありのお手ごろ価格端末として地位を確立したOnePlus。つまり、Nothingの製品第1弾も、安定感あるハードに攻めた価格が魅力ということです。
ここ数年のワイヤレスイヤフォン業界の盛り上がりは、目を見張るものがあります。性能・機能を犠牲にして安さに振り切れば、25ドルでワイヤレスイヤフォンが買えます。逆に予算さえ潤沢ならば、バッテリー持ち、音質、ワイヤレス充電、ANCなど、機能にとことんこだわることができます。サウンドクオリティ最高レベルのMaster & DynamicのMW08 Sportは350ドル。おなじみApple(アップル)のAirPods Proは249ドル。イヤフォンは比較的なくしやすいアイテムなので、いくら性能が良くても高額投資は怖いという人も少なくないはず。だからこそ注目したいのがNothingのワイヤレスイヤフォンEar (1)。
Nothing Ear (1)
これは何?:Carl Pei氏のスタートアップNothingの製品第1弾。100ドル以下でプレミアム機能搭載のワイヤレスイヤフォン。
価格:99ドル(日本国内価格 : 1万2650円)。
いいところ:全体的に安定感あり。攻めた価格帯によって他社も同じような製品を出してくれることに期待。
残念なところ:充電ケースがちょい大きい。低音は良好も高音はちょっと苦手かも。
現代版に生まれ変わった90年代デザイン
ワイヤレスイヤフォンのような小さな端末だと、イノベーションの余地はそう残されていません。各社どーんとロゴ入れてもらわないと見分けるのも難しい。これはスマートフォンにも言えることかもしれません。
まずNothingが素晴らしいのは、ロゴがなくても見分けられる特徴的なデザイン。スケルトンなプラスティックは、80年代から90年代に青春時代を過ごした人なら、大流行した中身の見えるクリアな電話やおもちゃのデザインを思い出すかと。あのギミック感あるデザインのリバイバルなのですが、見事に現代版になっているというか、とにかく単なるリバイバルではなくちゃんと今にハマっているのです!
アップル感あり
Powerboats Proを除くと、ワイヤレスイヤフォンの基本デザインはふたつ。バッテリー、アンテナ、ドライバなど主な電子部品を耳にフィットさせるポッド部分に詰め込むか、AirPodsのようにニョロっと飛び出したステム部分に詰めるか。Nothingのデザインアプローチは後者で、個人的にはこっちの方が重さのバランスが良くて、一度フィットすると落としにくい気がしています。
Ear (1)に同梱されているシリコンチップは3サイズ。昨今、チップ3サイズはボトムラインなので、全ユーザーにフィットはしないかもしれませんが、サードパーティのチップもあるのでなんとかなるなる。
見た目&使用感はアップルのAirPods Proに非常に似ていますが、個人的にはNothingのアプローチの方が好き。AirPods Proはステム部分のセンサーをぐいっと握るようにしなくてはいけませんが、Nothingは単純にタップするだけなので、イヤフォンが外れることもないです。音量調整は、ステムサイドの平面部分を指で上下になぞるとボリュームUP・DOWNします。微妙な音量調整はしづらいですが、音量調整というタスクはこなせています。
Ear (1)には、正直特に文句というか、嫌いなところがありません。初製品として、ある程度安パイなところに落とし込んだなという気がします。それでもあえていうなら、充電ケースが大きい。見た目はアップルの初代イヤフォン(コードあり)のケースぽい。大きくはあるんですが、その分AirPods Proよりもバッテリーは増。Airpods Proの24時間に対して、Ear (1)はトータル34時間。
クリアなプラスティックケースは、見た目がなかなかいいです。イヤフォンの左右とケースの左右が色違いのドットが描いてあるおかげでわかりやすい。このドット、ちょっとしたことですが、使い勝手がかなりアップします。
USB-Cケーブルで充電できますが、なんとワイヤレス充電にも対応。100ドル切りのイヤフォンでこの仕様はレア!
専用アプリがいい!
その他、100ドル未満イヤフォンで珍しいのは、専用アプリがあること。 iOS/Androidどちらにも対応で、基本的な機能が入ってます。ANCモードのオン・オフ、3つのイコライザ設定、タップコントロールの設定などなど、アプリからいじることができます。他で見たことがない注目機能は「Find my earbud」で、高音を再生することでイヤフォンを見つけるというユニークな機能。どこで落としたかわからない場合は使えませんが、部屋の中でどこに置いたっけ?ってときは便利ですよ。
安定感ある音質&ANC
ワイヤレスイヤフォンにおいて、他の機能・仕様を犠牲にしても優先したいと個人的に思うのは、サウンドクオリティに直結するドライバサイズ。大きい方がいいわけで、だからこそ11mmドライバを有するMaster & Dynamic MW08の音は素晴らしいわけです。でも、300ドル。なので、Nothingが11ミリドライバを採用していることには、単純に驚きました(ドライバサイズが同じだからといって、MW08と同じ音というわけにはいかないのですけれど)。
Ear (1)は高音が少しブレる、揺れるという印象を受けましたが、音に関しては個人の趣味も大きいと思うので、そこは好き好き。100ドル未満イヤフォンが苦手とする低音はなかなか良かったです。ただ、AirPods Proの方が、音の全体的バランスはいいと感じました。
アクティブノイズキャンセル(ANC)もなかなかいいです。飛行機内の音のような低音にはかなり効いています。人の話し声含む高音はそこそこ、AirPods Proの方が若干マシかなという程度。それでもソニーのノイキャンレベルを求めないのであれば、Ear (1)のACNは十分だと思います。そもそもACNにこだわるなら人なら、イヤフォンではなくヘッドフォンを選ぶでしょうし。
Ear (1)に搭載された複数マイクのおかげで、通話はかなりクリアです。イヤフォンで話してるって言わないと、相手は気づかないレベルでした。
現状ベストなお値打ちイヤフォン
機能・パフォーマンスを考えると、Ear (1)は200ドルでもありかと思います。150ドルでもアップルのオルタネイティブとしてかなりの好敵手になると思います。それなのに100ドル切りという思い切りの良さ! 正直、安価イヤフォンでこれ以上の機能はないと思います。音だけでいうと、130ドルのSennheiser CX True Wirelessの方がいいのですが、あっちはANCやワイヤレス充電は付いていませんから。
ここまでEar (1)が攻めてくると、Nothingの今後のプロダクトはもちろんですが、他社の機能アップや価格ダウンにも期待がかかってきて、消費者としてはうれしい限りです。