その事実を知ったときには目を疑った。まさかの太っ腹企画『ゴールデンカムイ』(野田サトル著)全話無料公開である!
「週刊ヤングジャンプ」で連載中の同作が、7月29日発売の本誌35号にてついに最終章突入を発表。それを記念して、既存のファンにも初めての人にも、これまでのストーリーを読んで最新話に追いついてもらおうという企画だ。まだ連載中なのに本当に全話? 本当に無料!!!?
・閲覧方法と閲覧期間
『ゴールデンカムイ』の魅力を語り始めると止まらないから、大事なことを最初に書くぞ。
閲覧はWebコミックサイト「となりのヤングジャンプ」、もしくはスマートフォンアプリ「ヤンジャン!」にて。会員登録もアンケートもなく、すぐにマンガが始まる読みやすさ。
無料公開期間は2021年7月29日から9月17日23:55までだ。なんと、たっぷり1カ月以上!
野田サトル先生直筆コメントでも、まったくの未読派、コミックス派、雑誌だけ読んでコミックスはもってない派などなど、みんなまとめてどーんとこい、というような懐の深さが伝わってくる。とにかくみんなで最新話まで追いついて、クライマックスを盛り上げようということだ。
・いわずと知れた名作
今さらいうまでもないが、『ゴールデンカムイ』は集英社「週刊ヤングジャンプ」で2014年から連載中の冒険活劇。既刊のコミックス26巻で累計発行部数1600万部を超える人気作である。
舞台はゴールドラッシュに湧いた明治時代の北海道。自然や生活文化をリアルに描く緻密な描写と、主人公・杉元たちの繰り広げる緊迫のアクションが見どころ。人間ドラマも深い。
網走監獄の囚人を追いながら、アイヌ民族の在り方にも迫るという、なかなかにシリアスなテーマなのに、ちょいちょい挟まれるギャグパートが作風を明るく軽快にしていて、「これぞマンガ!」という傑作だと思う。
「マンガ大賞2016」第1位、「第22回手塚治虫文化賞」マンガ大賞、「第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」ソーシャル・インパクト賞など、数々の受賞歴もそれを物語っている。
恥ずかしながら筆者、日本の北方にアイヌという民族が代々住んでいることはおぼろげな知識としてはあるし、学校行事で史料館に行ったなぁという記憶もあるのだが、実態はほとんど知らなかった。
どんな思想をもっていて、どんな暮らしをしていたのか、マンガだから脚色はあれど『ゴールデンカムイ』から得たことも多い。コロナが収束したら絶対に北海道に渡って、アイヌ文化を調べようと思っているくらいである。未読の方もぜひ読んでみて欲しい。
筆者世代だと少年マンガの「人気作の引き延ばし」なんて問題も目にしていたから、最近のマンガの「作者の中でゴールが明確に見えている」「話が終わったら終わる!」という姿勢がとても気持ちいい。終幕は寂しいけれど、みんなで最終章を盛り上げよう!
参考リンク:PR TIMES、Web「となりのヤングジャンプ」、アプリ「ヤンジャン!」
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.