常連客と仲良くなって酒の好みを覚えるバーテンダーロボット

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バーテンダーとしてさまざまなカクテルを作ることに加え、顧客と会話を重ねることでお酒の好みや興味のある話題などを学習できるバーテンダーロボット「BRILLO」を、イタリア・ナポリ大学の研究チームが開発しました。

Personalized Human-Robot Interaction with a Robot Bartender | Adjunct Proceedings of the 30th ACM Conference on User Modeling, Adaptation and Personalization
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3511047.3537686

A bartending robot that can engage in personalized interactions with humans
https://techxplore.com/news/2022-08-bartending-robot-engage-personalized-interactions.html

バーやパブなどで顧客にカクテルなどのアルコール飲料を提供するバーテンダーは、単に顧客が望むカクテルを作るだけではなく、時には顧客と会話してもてなすことも重要な仕事の1つです。これまでにも多くのバーテンダーロボットがロボット工学者によって作られてきましたが、それらは正確なカクテルを作ることのみに焦点を当てており、「顧客とのコミュニケーション」を人工的に再現しようとした試みはほとんどないとのこと。


そこで、ナポリ大学電気工学・情報テクノロジー学部のシルビア・ロッシ教授らの研究チームは、顧客と対話することもできるバーテンダーロボットの開発に取り組みました。ロッシ氏は、「バーテンダーのシナリオでは、オブジェクトを効率的に操作して飲み物を作る複雑さと、ユーザーと対話する必要性が組み合わされています」「これはロボットが取り組むには非常に難しいシナリオですが、研究の観点からも非常に興味深いものです」とコメントしています。

研究チームは、バーテンダーとしての役割を効果的に演じるには、ロボットが単に顧客との会話を遂行するだけではなく、顧客ごとに「プロフィール」を作成することが必要だと考えました。個々の顧客が好きなお酒や過去の会話を学習し、パーソナライズを進めることで、顧客がよりバーテンダーロボットを気に入る可能性も高くなります。ロッシ氏は、「バーテンダーはあなたの好みだけでなく、興味を持つものや日常生活についても覚えているべきだと考えています。ロボットは人間のバーテンダーと同様、時には親しい友人のように振る舞うべきです」と述べました。

そして研究チームは、2本のロボットアームとバーテンダーの制服を着た胸部、表情を作れる顔で構成されたバーテンダーロボット「BRILLO」を開発しました。BRILLOの外観は以下のツイートを見るとわかります。


BRILLOにはマイクやスピーカー、カメラが備わっており、顧客のボディランゲージを読み取ったり、話している内容を処理したりできるとのこと。BRILLOは顧客の言葉やボディランゲージを処理し、どのような気分でいるのか、どういうお酒を飲みたいのかを判断するそうです。特徴的なのが「パーソナライズされた方法で顧客と相互作用できる」という点で、過去に会話したことのある顧客のユーザープロファイルを作成し、会話を適応させることが可能だと研究チームは主張しています。


ロッシ氏は、「バーテンダーのシナリオはロボットがユーザーのプロファイルを維持および更新し、継続的に変化するプロファイルに従って、ユーザーとの相互作用を継続的に適応させる方法を調査する挑戦的な試験環境です」「この種のパーソナライゼーションは、私たちの生活にさまざまなサービスや支援を担うロボットを受け入れる鍵であると信じています」と述べました。

すでにBRILLOのプロトタイプは実験環境で有望な結果を収めているとのことで、研究チームは今後、より多くの人間と対話する現実世界の環境でパフォーマンスを評価したいと考えています。

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