屋久島の玄関口・屋久島空港。JAC(日本エアコミューター株式会社)便のプロペラ機のみが離発着する小さい空港は、ゲートが教室の入り口みたいで味がある。どことなく、中学の時通っていた塾を思い出した。
そんなゲートのすぐ前の土産屋には、なぜか定食メニューが貼りだされている。見るからにイートインスペースなどはない。何の変哲もない土産屋なのになぜ? しかも、メニュー数も定食や丼、麺類など40種類以上あるではないか。これ食べれるの? 土産屋のスタッフさんに聞いてみたところ……
・空港の食堂のメニュー
どうやら、これは空港の食堂のメニューのようだ。言われてみれば、確かに、土産屋を通りすぎた空港の端の端に食堂の入り口がある。壁際すぎて気づかなかったが『エアポートやくしま』というどことなくゆるい看板が南国的な空気感を醸し出している。
・食券は土産屋で購入
というわけで食券を購入して食堂へ。入ってみると、入口から予想したより中は広い。大きいガラス窓に解放感があり、その向こうには滑走路。今まさに離陸せんとする飛行機が見える。
防音されてないのか、プロペラ音が「バタバタブーン!」と聞こえてなかなかの迫力だ。飛行機好きにはたまらないスポットかもしれない。
・注文
受け渡し口は滑走路の逆側にあった。そこに食券を出すと、しばらくしてあちら側から料理が置かれる。パチンコの換金口みたいだと思ったことは内緒。
私が注文したのは「屋久島そば(税込1000円)」。ひなびた空港の食堂のそばと考えると、なかなかいい値段である。これでただのそばが出てきたらガッカリだが……
ちゃんと料理で屋久島感を出してきていた。胸ビレそのままで素揚げされたトビウオ料理なんて屋久島以外ではあまり見かけないのではないだろうか。ちなみに、トビウオは屋久島の名物で、実は30種類くらいいるらしい。
さて置き、そばに話を戻すと、姿揚げだけではなく、そばに入ってる練りものもトビウオとのこと。また、つゆの出汁はもう1つの名物であるサバから取っているのだとか。どうやら、屋久島そばの名前は伊達ではないようだ。
・味
食べてみたところ、そんなつゆは優しめの味。東京のつゆよりは、関西のつゆの味に近い出汁の味で勝負するスタイルである。
大阪出身の私としては、この透き通るつゆも悪くはない。しかし、そばに目覚めたのが東京のためか、食べているうちにもうちょっと醤油のコクが欲しくなった。そこで席に常備されている屋久島醤油をたらしてみたところ……
完成した気がした。
綺麗にランデブーする出汁と醤油。初めて見たけど、さすが屋久島醤油。屋久島の名物とのマッチング度が高い。個人的には、うどんだったら従来のつゆ、そばだったら屋久島醤油INバージョンがベストだと思った。
・営業時間の長さが助かる
意外と価格分の満足度は得られる『エアポートやくしま』。そもそも、屋久島では、14時から17時くらいまでのランチタイム終わりで谷間の時間にオープンしている飲食店が少ないので、9時から18時30分までいつでも食べられるのも嬉しいところ。
着いたら、とりあえずここで一杯。港にはそういう店はないので、飛行機でアクセスする時ならではのセーブポイントと言えるだろう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 エアポートやくしま
住所 鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田 屋久島空港
営業時間 9:00~18:30
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.