ウクライナの偽情報対策センターは2022年8月19日までに、ロシアが日本の寿司チェーンを利用して誤情報を広めているとしてSNSで注意を呼びかけた。
プロパガンダ(政治宣伝)を巡っては、日本の外務省が17日、在英ロシア大使館に抗議する騒動も起きていた。
ウクライナへの「ヘイト連想」画像
ウクライナ偽情報対策センターによれば、複数のロシアメディアが10日、日本の寿司チェーン「梅丘寿司の美登利」の屋外看板の写真を紹介した。
看板には「話題を変えよう!美味しい寿司について話そう!」と漢字で書かれ、寿司職人とみられる男性が女性の口をふさぐイラストが添えられている。女性の横にはウクライナ国旗が描かれており、ウクライナ人が何かを話そうとするも男性が力づくで止めるような格好になっている。右下には「すしの美登利」と印字されている。
センターは「#RussianPropaganda」「#fake」と注意喚起し、在日ウクライナ大使館とともに梅丘寿司の美登利に連絡をしたとする。
同社も12日、自社のロゴを使用して「ウクライナ共和国へのヘイトを連想させる画像」が拡散しているとして、「当社と一切の関係が無い」「特定の国や人種に対する差別的思想や民族的敵意について一切持ち合わせておりません」と関与を否定した。
日本の民間企業だけでなく、政府高官も”情報戦”の被害にあった。在英ロシア大使館は16日にツイッターで、岸信夫前防衛相がウクライナに関するツイートを投稿後、削除していたと書き込んだ。
添付された岸氏のツイートとするスクリーンショットでは、ロシア軍が占拠するウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所と原爆投下直後の広島とみられる写真を並べ、岸氏が「世界は核災害の危機に瀕しています!ウクライナのミサイルは、ザポリージャ原子力発電所の上空で爆発すべきではありません。アメリカの犯罪を繰り返すな!今日が人類最後の日かもしれない…」と投稿している。
ザポリージャ原子力発電所は、核事故のリスクがあるものの戦火が広がっている。発電所での砲撃の責任について、ウクライナ、ロシアは双方とも「関与していない」と非難しあっており、日米や欧州連合(EU)などは10日、共同声明でロシア軍の撤退を求めていた。
岸氏は「拡散されている私のツイートは元々存在しません。フェイクです。ご訂正願います」と在英ロシア大使館に抗議し、「意図的に偽情報を拡散しているアカウントがいくつか見受けられます。ご注意ください」と呼びかけた。
外務省も17日、在英ロシア大使館に申入れをしたとツイッターで報告し、「ロシアによるウクライナ侵略は、主権及び領土一体性の侵害かつ武力の行使を禁ずる国連憲章の重大な違反であり、ロシアが偽情報を拡散することは、日本として容認できません」と非難した。