壁を這うロボットがインフラの検査で活躍–人間よりも高速で低コスト

CNET Japan

 米国では、橋の崩落や水路の老朽化、幹線道路の腐食など、インフラが大きな(そしてますます切迫した)ニュースになっている。そのような現場で見かけるようになってきたのが、さまざまな企業が手掛ける新型のロボットや検査用ドローンだ。建物をよじ登ったり、アクロバティックな飛行をしたりして、実際の状況を確認している。

打っルックリン橋
提供:Flickr

 インフラに割かれる連邦予算が増える中、公共事業でテクノロジーが活躍する場面も広がるかもしれない。とはいえ、ロボットがどれだけの差を生むことができるのだろうか。長い間見過ごされてきたインフラの問題への対策としては、不十分で、遅きに失しているのだろうか。また、自律システムの規制はテクノロジーの進歩に即したものなのだろうか。

 上記をはじめとしたさまざまな疑問の答えを探るため、筆者はGecko Roboticsの最高経営責任者(CEO)で共同創設者でもあるJake Loosararian氏と連絡を取った。同社は、RaaS(Robotics as a Service)を利用して、電力や石油、ガス、防衛といった重要な業界で工業検査を実施する企業だ。同社の壁を這うロボットは、工業資産をよじ登って、損傷の有無を検査するだけでなく、従来の検査方法の1000倍のデータポイントを10倍の速度で収集することが可能だ。カメラとセンサーを搭載しており、腐食や孔食、亀裂、膨れなどの欠陥を検出することができる。ロボット工学や人工知能(AI)
、マシンビジョンなどのテクノロジーが効果的に組み合わされている。

–まず、ニュースで話題になっていることからお尋ねします。インフラに問題があると、どのようなリスクがあるのでしょうか。

 Loosararian氏:簡潔に言うと、私たちの生活水準に影響が及びます。インフラが損傷を受けると、停電の増加、公共料金や輸送料の値上げ、必需品の不足、生産とサプライチェーンの混乱などの問題が発生し、経済のほかの多くの側面にも影響が及びます。職場や地域社会に影響を及ぼす壊滅的な災害のリスクもあります。より長期的な視点から見ると、依然として従来のエネルギー源に大きく依存していることを認識することも重要です。社会が許容できるコストで現在のニーズに対応できないのであれば、よりクリーンなエネルギーへの移行は劇的に遅れることになるでしょう。インフレや地政学的混乱、世界経済の不確実性に直面している今、こうした状況は厳しくなる一方でしょう。

–分かりました。とても重要なことなのですね。それでは、解決策について話しましょう。ロボットがインフラ検査の重要なツールになりつつありますが、それはなぜでしょうか。

 Loosararian氏:世界レベル、国家レベル、そして地域レベルで、私たちは迫り来るエネルギー危機に直面しています。燃料などの動力源に大きな注目が集まっていますが、それはインフラの危機でもあります。短期的には、既存の資産の生産能力と耐用年数の両方を最大化する必要があります。それらの資産には、老朽化や異常気象、需要の急増によって、かつてないほど大きな負担がかかっています。エネルギーは最も顕著な例ですが、輸送や水、化学薬品、紙、パルプ製品など、日常生活のほかの多くの側面を支えるインフラについても、同じことが言えます。このような資産の能力や状態を最大化するには、正確で豊富な代表的データという形のグラウンドトゥルース(事実であることが分かっている正解データ)が必要です。ロボットなら従来の方法と比較して、1000倍のデータを5倍~10倍の速度でキャプチャーできる上、必要な人員はこれまでの4分の1程度で済みます。適切なソフトウェアと組み合わせることで、ロボットによるデータ収集や処理は、修理、交換、予防的なメンテナンス、運用調整の実行に必要な分析を推進し、必要に応じて、新しいインフラへの投資を誘導することもできます。

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